資金調達4億円!買取価格比較サイト「ヒカカク」ジラフの施策とは
目次
2017年11月2日に複数の投資家から4億円の資金調達を達成した株式会社ジラフ。これまでも複数の企業や個人投資家から資金調達を成功させており、合計資本金は6億円になりました。
ジラフの主要サービス買取比較サイト「ヒカカク!」は月間140万人以上のユーザーが利用する、売りたい物の買取査定額の比較ができるサービスです。
本記事ではジラフが運営する買取比較サイト「ヒカカク!」が人気サービスに至るまでに行なった施策について紹介します。
- <目次>
- 買取比較サイト「ヒカカク!」とは
- サービスの始まりは大学生だった麻生氏の小さな疑問から
- 成功の秘けつ1. KPIを定めた地道なサイト改修
- 1年がかりのSEO対策
- 半年間のCVR向上施策
- 成功の秘けつ2. 働きやすい環境で向上心UP
- 社員の多くがリファラル採用
- 未経験者のサポートが手厚い
- スタッフの向上心を動かすチャレンジ体制
- 新サービス、フリマサイト「スマホのマーケット」とは
- 国内の中古スマホ市場
- 広がる海外の中古スマホ市場
- 赤ロム端末を始めとする1ヶ月の動作保証オプション
- まとめ
買取比較サイト「ヒカカク!」とは
「ヒカカク!」には2017年11月時点で月間140万人以上の利用者がいます。2017年3月時点では100万人のユーザーを突破したという発表があったため、半年間で約1.5倍成長したことになります。
これまで商品の価格を複数の販売サイトから比較できるサービスは価格.comをはじめ、すでに大衆に認知されていました。
しかしながら、買取査定額の比較を行うサイトは当時めずらしく、その点で「ヒカカク!」は独自のブランディングに成功したといえます。
サービスの始まりは大学生だった麻生氏の小さな疑問から
「ヒカカク!」を開発するきっかけになったのは、創業者である麻生氏が大学生であった21歳の頃、不要になったタブレットを売却する際に生まれた不満からだといわれています。
タブレット端末の売却先を探していたところ、売却先が見つかるまでに数店舗も歩き回るはめになり、このような非効率な行為を解消するために始めたサービスが「ヒカカク!」です。
「ヒカカク!」は、WEB上で買取業者の査定額を比較できるサービスです。
買取に対するユーザーの不満
「モノをどこに売ればいいのかわからない」「高く買い取ってくれる業者が知りたい」といったニーズに対して必要な情報を提供し、多くのユーザーを抱えるようになりました。
代表が感じた小さな不満から生まれたウェブサービスだった「ヒカカク!」は、現時点で口コミ投稿数では26,000件を突破しました。
2018年6月時点で、100万点以上の商品について売り先を比較・調査することができます。
成功の秘けつ1. KPIを定めた地道なサイト改修
「ヒカカク!」を2014年9月にローンチしてから現在のユーザー数にいたるまで、ジラフは様々は施策を行なってきました。
新規サービスを開始する際は、組織独自の業績評価指標「KPI」を定める必要がありますが、おそらく大抵の事業者はもっとも利益に直結する売買の成約率を追うことでしょう。
しかし、ジラフではあえて「買取業者サイトへの遷移数」をKPIに設定したといいます。
買取業者サイトへの遷移数をKPIにするメリット
ユーザーの中にはサイトで価格だけを調べてお店で購入する人や、お店で大体の金額を見積もり等で把握した上で買取に合意しない人もいるので成果が見づらいため、そのようにしているとのこと。
買取業者サイトへの遷移数を指標とすると、サイトの価値を広告価値として換算して算出できます。
そうすることで、その指標を追いつつ全体のサイト流入数をいかに増加させるかを考えた施策を行ってきたそうです。【参考:https://seleck.cc/1149】
1年がかりのSEO対策
SEO対策の効果を実感しはじめたのが2015年9月。「ヒカカク!」のローンチは2014年9月になるので、実に1年という歳月をSEO対策にあてています。
ナビゲーションメニューを見直し、さらに全ページの内容を確認し、他ページと重複しない内容にするため掲載文章や要素の統合・削除・調整を行いました。1ページずつオリジナルコンテンツになるようにブラッシュアップすることで検索結果の順位が上位にくるように手を加えました。
その次に、ヘッダーとフッターの重複した文言を削除し、タイトルの文字数も読みやすくなるようにカットし、ページの滞在率が上がるように調整しました。検索キーワードの発掘も行い、ユーザーの潜在的なニーズを引き出せるようにしたところ、1年間のSEO対策によってユーザー数は7倍ほどに成長しました。
半年間のCVR向上施策
サイトへの訪問者数やユーザー数が増加すると、次はCVR、コンバージョン率の改善が必要になります。
そのためにジラフが行った施策は「WEBページ高速化対応」「申し込みフォームへの導線をあらゆるページに追加」、そしてコンバージョンのポイントなる箇所には「無料という言葉がフックになるように文章を調整」しました。サービス自体の機能としては、「一括査定機能」を追加しました。
CVR向上対策は対策前と比較して700%上昇し、月間利用者数も1.5倍に増加したそうです。次々とサービスの機能追加を急ぐのではなく、既存の仕組みの改善や細かいテストによって成果を上げてきました。
成功の秘けつ2. 働きやすい環境で向上心UP
「ヒカカク!」の成功の秘訣には社員の働きやすさが要因としてあげられます。以下に「ヒカカク!」のスタッフに関わる背景やサポート体制について紹介します。
社員の多くがリファラル採用
「ヒカカク!」を運営する株式会社ジラフで働く社員のうち、半分以上が紹介で入社しています。いわゆる、リファラル採用を行なっていることが株式会社ジラフの特徴です。
社員の紹介による入社が続くと、さらに入社した人の様子を知った友人が一緒に働きたいと思い、さらに紹介によって入社するといった好循環な採用サイクルがジラフの社内体制として築かれています。
スタッフを雇用するにあたって転職エージェントを使用しないので必要以上に経費を使う必要がなく、その分の費用を社員に対して還元できる仕組みが評価されています。
未経験者のサポートが手厚い
未経験者のサポート体制が整っている点も株式会社ジラフの特徴です。
既存の仕組みとして、勉強会は1対1で教える教育体制が用意されていますが、株式会社ジラフではすぐに実際にコードを書いてもらい、コードレビューを重ねて洗練させていく方法をとっています。
また、エンジニアの面接は未経験者と経験者で面接の担当者を変更している点も特徴としてあげられます。経験値や即戦力になるかどうかではなく、今後の伸び代や人柄を見て採用可否を判断できるようにしているためです。
スタッフの向上心を動かすチャレンジ体制
ジラフでは、ジョブチェンジといって営業職で入社したが企画をやってみたい等の職種を越えたチャレンジをサポートする体制が整っています。スタッフの向上心に働きかけ、新しい試みにチャレンジしようという意欲が生まれるようになりました。
ジラフが成長した理由として、「上記の体制のもと集まった優秀な人材と共に各部署全体の連携をとり、組織として利益を出せる体制や、スピーディーに事業展開が行える組織づくりがなされていることが大きい」と話しています。
【参考:TechCrunch 買取価格比較サイト「ヒカカク!」運営のジラフがミクシィ子会社やメルカリ等から4億円調達——月間140万人以上が利用 https://jp.techcrunch.com/2017/11/02/jiraffe-fundrasing/】
新サービス、フリマサイト「スマホのマーケット」とは
【引用:https://smama.jp/】
ジラフは「ヒカカク!」で買取比較サイトを運営していたノウハウを使って、スマートフォンに特化したフリマサイトをオープンしました。
取引の間に運営会社であるジラフが入ることで、端末に残っているデータの消去をしてくれたり、万一売れ残った際は提携している買取業者に下取りに出せるので売れ残る心配がほとんどありません。
【参考:MM総研 中古携帯端末の利用実態と市場規模(2017年10月調査)https://www.m2ri.jp/news/detail.html?id=263】
中古スマートフォンを購入する人の理由としては以下が挙げられます。
- 価格が安い
- 自分にとって必要な機能が備わっているから
- 2年間利用の前提がなく、契約期間に縛られることなく利用しやすいから
- 見た目が新品と大差ないから
新品かつ最先端のハイテク機種を手に入れたいと思う人がいる一方で、動けば中古で構わない、最新機種が欲しいが新品は高くて手が出せない、といった学生もいるでしょう。
国内の中古スマホ市場
MM総研が2017年9月に実施したWEBアンケートによると、新しい機種の購入などにより自宅で保管している携帯電話・スマートフォン、退蔵端末の台数はスマートフォン6,737万台存在すると試算しています。この台数に平均売却金額・下取り価格を掛け合わせた中古スマートフォンの市場価値は、6,779億円と推定されました。
また、現在の中古スマートフォン市場は2020年には231万台に市場が拡大すると予測しています。
これは、まだ利用できるけれど新しい端末が欲しいユーザーと、古くてもいいのでスマートフォンを買いかえたいユーザーを結びつけるサービスが普及したからだと考えられるでしょう。
【参考:https://www.m2ri.jp/news/detail.html?id=263】
広がる海外の中古スマホ市場
オークネット総合研究所が2017年11月14日に発表した世界のスマートフォン流通市場の実態を探るレポートによると、海外中古スマホ市場は現在、拡大傾向にあるといえます。
特に、日本市場で利用されたスマホ端末は中古スマホ市場でも価値が高いものとしてニーズが高くなっています。
海外で中古スマホ市場のニーズがある大きな理由を3つ紹介したいと思います。
日本ほど通信インフラが整っていない
日本では旧型のモデルは急速に価値が下がっていく傾向にありますが、海外はそこまで下がりません。
理由として、世界の新興国や発展途上国では、まだ3G(第三世代)ネットワークが中心であったり、中には2G(第二世代)でなければ通信できないエリアも存在します。
このような国にとっては最新技術を搭載したハイテクなスマートフォンよりも2~3世代前のものでも十分に利用することができます。
新品は高すぎて買えない
例えば、バングラディッシュでは製造業のスタッフとして働く人の月額賃金の平均は12,000円〜15,000円といわれています。
2017年11月に発売されたiPhoneX(約140,000円)は、月収の約10倍の金額です。
新型のスマートフォンに憧れは抱きますが、現実を受け入れて中古のスマートフォンを購入するのが一般的です。
USED in JAPAN という価値
海外の中古スマートフォン市場にとって、日本人が利用したスマートフォンは状態が良いため価値が高いものだと考えられています。
日本ではスマートフォンにカバーをつけて使う習慣がありますが、海外ではあまり広まっていないので、差が出るのだと考えられます。
また、日本人の物を大切に使うきれい好きな一面も要因としてあげられるのではないでしょうか。
【参考:http://ecok.co.jp/wp/blog/global_market/】
赤ロム端末を始めとする1ヶ月の動作保証オプション
「スマホのマーケット」では購入した全ての端末に1ヶ月の動作保証がついています。一時期フリマアプリで問題になった”赤ロム”の対策も行われています。
「赤ロム」とは、通信キャリアによってネットワーク通信の制限がされている端末を指します。ネットワーク利用制限がかかる原因は様々ありますが、主に盗難品や端末代金の踏み倒しなどが考えられています。落札時に問題なくネットワーク通信ができていても後に利用制限がかかってしまうケースもあります。
中古スマホを求めているユーザーは購入時に赤ロムでないか確認する必要がありますが、「スマホのマーケット」では赤ロム保証を行なっているので安心して購入端末を選ぶことができます。
まとめ
4億円の資金調達に成功した株式会社ジラフの施策は、社員を大切にする社内体制とリファラル採用、そしてサービスの地道な内部改修でした。
すでに大手サービスが市場を支配している状況下でも、逆転の発想でサービスを捉えた時、そこに新たなビジネスチャンスが生まれてくる事実は、間違いないでしょう。