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「新卒でベンチャー企業には絶対に行くな」は本当か?

こんにちは。セルバ採用担当のゆうきです。

「新卒でベンチャーには絶対行くな」という言葉を、就活生や若手社会人から耳にすることがあります。
私自身は前職で大企業に入り、現在はベンチャー企業であるセルバにいますが、大企業とベンチャー企業の両方を経験してきたからこそ、この言葉に対して一面的な捉え方では語れないと感じています。

今回は、大企業とベンチャー企業の両方を経験した視点から、それぞれの良かった面・しんどかった面についてお伝えします。
「どちらが正解か」ではなく、「どんな環境が自分に合っているか」を見つけるヒントになれば幸いです。

目次

「新卒でベンチャー企業には絶対に行くな」と言われる理由

「新卒でベンチャーはやめとけ」という声は、SNSや掲示板などでも多く見かけます。
なぜこうした意見が目立つのかというと、ベンチャーでの失敗談は語られやすく、良かった経験はあまり可視化されないという情報の偏りがまずあります。

確かに、「放置された」「制度が整っていなかった」「人手不足でブラックだった」といった声には説得力がありますし、注意喚起として重要な側面もあります。
でもその一方で、入って良かったと思っている人の声が目立ちにくいのも事実です。

では、「新卒でベンチャー企業には行くな」と言われる背景を整理してみましょう。

新卒カードをベンチャー企業に使うのはもったいない?

いわゆる「新卒カード」は、職歴がないもののポテンシャルで評価されるため、選べる企業の幅も最も広い状態です。

大企業の新卒枠は中途採用よりも間口が広いため、「新卒で大手に入れた方が後の転職でも有利」と考える人は少なくありません。
実際、有名企業での就業経験は履歴書に書いた時の印象が強く、キャリアの土台として評価されやすい傾向があります。

また、大企業は新卒向けの教育制度やキャリアパスが整っていることが多く、ビジネスマナーや業務プロセスといった基礎的な社会人スキルを身につけるには理想的な環境だと言われます。
私自身も、実際に大企業に入ったことで基礎的なビジネスマナーはかなり身についたと感じています。(ビジネスマナーについては、大企業はかなり厳しいので)

一方でベンチャー企業は、教育制度や人事評価制度が整っていなかったり、「まず動くこと」が求められる傾向があります。
そのため、「一定の研修期間を設けてきちんと教えてもらいたい」というニーズには応えにくい側面があることも事実です。

「新卒カードをベンチャーに使うのはもったいない」という声が上がるのは、こうした背景によるものです。

しかし、成長する人はどこに行っても成長しますし、「若いうちから裁量が欲しい」「言われたことをやるよりも自分で考えて動きたい」と考える人にとっては、ベンチャーの方が理想の働き方ができる可能性が高くなります。

大企業→ベンチャーへの転職は容易でも、その逆は難しい

大企業からベンチャーへの転職はそこまで難しいものではないですが、逆にベンチャーから大企業への転職は難しいと言われています。
これは単純に「大企業は優秀な人しか入れない」「ベンチャーは誰でも入れる」という話ではなく、求める人物像や選考の重視ポイントが違うという話です。

大企業は応募者が多いため、1人1人に丁寧に向き合って選考するのは現実的ではありません。
そのため最初にある程度経歴で足切りされるケースが多く、選考に進むためには同等レベルの大企業での就業経験が必要になることがあります。
応募者と向き合う時間が少ない分、ミスマッチな人が入ってきてしまうリスクは上がりますが、仮にミスマッチが起こっても組織の人数が多い分、影響は小さいです。

一方でベンチャーは、組織全体の人数が少ない分、1人のミスマッチが与える影響が非常に大きいです。
そのため、経歴で足切りはしませんが1人1人に向き合って人柄や価値観を確認し、自社とのマッチングを重視する傾向があります。

教育制度が未整備で放置されるリスク

セルバは今でこそ新卒や未経験者の教育制度がある程度整ってきましたが(それでもまだまだ課題はあり、社員の意見を反映しつつブラッシュアップしていっている最中です)
ベンチャー企業は立ち上げ期や成長期で、教育制度が不十分なところが少なくありません。

新卒や未経験者を採用はするものの、マニュアルがなかったり、メンターがいなかったりする場合もあります。
「教えなくても自力でキャッチアップできる人だけが残ればいい」というスタンスの企業もあります。

結果として、数ヶ月で「十分に教えてもらえなかったのが嫌だった」と辞めていく人も一定数出てきます。

「ブラックベンチャー」に当たる可能性

まず前提として、いわゆる「ブラック企業」は企業の規模を問わず存在します。
長時間労働を強要したりハラスメントが横行している大企業もありますし、ヒット商品を出したり資金調達に成功して、高待遇でホワイトな環境を実現しているベンチャーも存在します。

ただし、ベンチャー特有の“ブラック企業化しやすい構造”が存在するのも事実です。

  • 分業化が進んでいないため、1人あたりの業務負担が重くなりやすい
  • 成果を出すことが絶対とされ、労働時間やプロセスが軽視されがち
  • 制度やルールが未整備で、労務管理が甘い傾向がある

特に創業初期や急成長中の企業だと、「とにかくやりきること」「気合いで乗り越えること」が正義とされがちで、結果として社員に過度な負担を強いてしまうことがあります。

また、組織が未成熟であるがゆえに、上層部の方針やマネジメントスタイルがそのまま職場文化に直結しやすく、上司や経営者と価値観が合わないと非常に働きづらい環境になるリスクもあります。

新卒・未経験でベンチャーに入って良かったこと

「新卒でベンチャー企業には絶対に行くな」と言われるのは単なる噂や思い込みだけではありませんが、セルバの社員や過去に在籍していた社員の声、そして私自身の経験からも、新卒や未経験でベンチャーに入る良さも確かにあると感じています。

  • 早いうちから上流工程や顧客折衝が経験できる
  • 若手の意見やアイデアも反映されやすい
  • 転勤やジョブローテーションがない(少ない)
  • 若いうちから裁量を与えられる
  • 人材が流動的なので既得権益にしがみつく人が少ない

人数が少ない分チャンスは多いので、自分から動くことで大きな挑戦ができる可能性があります。

新卒・未経験でベンチャーに入って後悔したこと

もちろん、良い面ばかりではなく、「こういうところがネックだった・もう少しこうならよかった」という声もあります。
私自身もデメリットだと感じる部分があったり、ベンチャーの長所が裏目に出ると感じたこともあります。

  • 教育や人事評価の制度があまり整っていない
  • マニュアルがなかったりメンターがいなかったりする
  • ジョブローテーションがなく(少なく)合わない仕事や人から逃げづらい
  • 主体性のある人が集まる反面、意見の衝突が起きやすい
  • 自走力がある人が多く成長スピードが早い反面、ステップアップを求めて離職しやすい

私は実務未経験でセルバに入りましたが、社内で前例のないポジションだったこともあってマニュアルもなくメンターもいなかったので、最初は本当に大変でした。笑
今は新卒・未経験にはメンターがつき、監督・指導のもとで無理なくスキルを伸ばしていける仕組みが出来上がったので、セルバでは「教えてもらえず放置されるのに成果だけは求められる」という心配はしなくても大丈夫です。

大企業で働いて思った大企業のデメリット

私が大企業で働いていた時に感じたデメリットについても触れておきます。
あくまで一つの大企業で働いた経験と、同等の大企業で働いていた人から聞いた話からですが、「大企業で働くとはどういうことか」の参考になればと思います。

合理的でないルールや慣習がなかなか変えられない

正直なところ、大企業には形骸化していたり合理的でないルールや慣習が多かったです。
一見不要に見えるルールや慣習も、組織の人数の多さや上層部の既得権益などが壁となって、改善することは容易くありません。

通るのはそれなりに権力がある人の改善提案だけで、若手の改善提案が通ることはほぼありませんでした。
そもそも、若手や権力がない立場の人が意見することはあまり歓迎されない空気がありました。

言わずとも察する・空気を読むことが求められる

個人的には、大企業のデメリットとしてはこれが一番大きいと感じました。

例えば始業時間よりも30分以上早く出勤する決まりや、時間外の飲み会への参加など、昔なら企業側から社員へ指示していた行動も、今ではコンプライアンスが強化されて明確な「指示」をすることが難しくなりました。

その結果「やらなくていい」となるわけではなく、ルールや慣習をなかなか変えられない大企業だからこそ、事実上強制する形は続きます。
企業としてはあくまで“任意であって強制ではない”という姿勢を取り、「従業員が自発的に行った」という形にするために空気を読むことが求められ、それが評価や人間関係に影響していました。

「何とは言わないけど、わかるよね?」と言われる場面が多く、そこで察することができなければ評価が下がったり、上司からの扱いが悪くなる。そういう風潮でした。

社内政治がキャリアに影響する

大企業では、評価や出世が必ずしも成果だけで決まるわけではありません。むしろ、「誰と仲が良いか」「どれだけ上司に気に入られたか」などで決まる部分の方が多かったです。

もちろん、ベンチャーでも社内政治のような動きはゼロではありません。
組織で仕事をする以上、どこでも「好き嫌い」や「誰と誰が仲が良い」といった影響は多少なりとも存在します。
ただ、大企業とベンチャーではその影響の大きさと構造が異なります。

大企業の場合、評価制度や昇進ルートが複雑で、実際の業務成果よりも「誰に認められるか」「どれだけ失点しないか」といった点が重視されやすく、政治的な立ち回りがキャリアに直結する構造です。

一方でベンチャーは人数が少ない上に成果が見えやすく、評価制度も成果ベースであることが多いので、そもそも社内政治に力を入れても得しにくい構造になっています。
若手が意見を言いやすいのも、これが理由です。

いわゆる大企業病

大企業病とは一言で言えば、意思決定に時間がかかり、誰も責任を取りたがらない状態です。
大企業は組織の人数が多く、部署や役職も細分化されているため、ちょっとした改善案や挑戦にも、多数の承認や合意が必要になります。

  • 前例がないと提案が通らない
  • 挑戦よりも失敗しないことが重視される
  • 会議で結論が出ても実行されない
  • 部署ごとの壁が厚く、連携に苦労する
  • ルールが形骸化していても、変えることが困難

車を発進させるのに例えると、5人に確認を取り、そのうち3人以上の承認を得てからでないとアクセルが踏めないような状況です。

ベンチャーが合う人・合わない人

大企業のネガキャンのように見えたかもしれませんが、そういうつもりはなく、大企業で働く恩恵があったのも事実です。
ただ、合理的でないルールや社内政治にストレスを感じる人にとっては、大企業よりもベンチャーの方が合う可能性が高いと感じました。

私自身の経験:なぜベンチャーのほうが合っていたのか

私が大企業で働いていたとき、大きなストレスを感じていたのは言わずとも察する・空気を読むことを求められる文化と社内政治です。
もともと空気を読むのが得意でないのもありましたが、形骸化したルールや慣習を強要されることに納得できなかったし、苛烈な社内政治に巻き込まれたり利用されることにも嫌気がさしていました。

セルバに来てすぐの頃は大企業と違う部分が多くて戸惑いましたが、ベンチャーは「大企業で感じていたストレス要因が構造的に発生しづらい」こともあり、自分には合っていたと感じています。

ベンチャーが向いている人・向いていない人の特徴

セルバで活躍している人の傾向や、これまでの採用活動で感じた、ベンチャーに向いている人・向いていない人の特徴をまとめました。

ベンチャーが向いている人の傾向
  • 若いうちから裁量が欲しい
  • 若手の意見やアイデアが反映されやすい環境がいい
  • ルールや制度を自分で作っていきたい
  • 成果が見えやすく、成果ベースで評価される方がいい
  • 会社が持つブランド力に興味がない
ベンチャーに向いていない人の傾向
  • 与えられた仕事を確実にこなすのが得意
  • 誰かに確認しながらでないと不安
  • 決まりがないことに不安を感じる
  • 成果より協調を重視する
  • 会社にネームバリューを求める

どちらが良い・悪いという話ではないです。
私自身は大企業が合わなかったからこそ、大企業で昇進しつづけている人はすごいと思いますし、ベンチャーにいるからこそ、「変化への柔軟さ」「自分で判断する力」「結果を出し続けること」を求められるプレッシャーもわかります。

自分に合いそうな方を選択してほしい

ベンチャー=危険、大企業=安全という極論はSNSでも伸びやすいですが、誤解も多いです。
実際はベンチャーの中でも会社によって大きく違いますし、大企業も同じです。

誰かの意見に流されるのではなく、自分の価値観や目指す働き方を基準に、後悔しない選択をしてほしいと思います。

ベンチャー企業であるセルバではエンジニアを募集しています

もし「自分は大企業よりベンチャー企業の方が向いていそう」「ベンチャー企業に興味が出てきた」という方がいましたら、ご応募お待ちしています!