SEO対策では「コンテンツファースト、コンテンツの内容が何より重要」とよく言われますが、ポータルサイトなどの大規模なサイトになるほど、情報量が少なく「品質が低い」と判断されるページも大量に生成されてしまうため、最初の構築が重要となります。
逆に言えば、無対策でサイト全体の評価が下がってしまった場合、後から挽回するのは莫大な工数と費用がかかります。
ポータルサイトの開発を多数手がけ、自社でもポータルサイトを運営してきた弊社も、そのような失敗を経験してきました。
コンテンツの内容だけでなく、適切に構築・運用できるかどうかが、SEO成果を大きく左右します。
本記事では、大規模サイトのSEO対策で押さえておくべきポイントを整理していきます。

大規模サイトの定義

まずは「大規模サイト」とは何を指すのかですが、これは「大きな組織が運営するサイト」という意味ではありません。
大規模サイトがどのような特徴を持つのかを整理してみましょう。
大規模サイトの実例
大規模サイトの実例としては、以下のようなものが代表的です。
- 求人サイト(例:Indeed、マイナビ転職など)
- 不動産ポータルサイト(例:SUUMO、HOME’Sなど)
- 口コミ・レビューサイト(例:食べログ、カカクコムなど)
- ECモール(例:Amazon、楽天市場など)
これらのサイトは検索機能を持ち、条件ごとに動的にページを生成します。
結果として、数万〜数百万単位のページが存在することもあり、構造設計やSEO戦略の難易度が非常に高くなります。
ページ数が多く、構造が複雑なWebサイト
「大規模サイト」に分類されるサイトの一つとして、「ページ数が多く、構造が複雑なサイト」があります。
ポータルサイトのように動的にページが生成されるサイトは、数千~数万ページを超えることが珍しくないため大規模になりやすく、カテゴリ・タグ付け・検索結果など、階層構造が複雑に分かれ、サイト全体の内部リンクが網目のように張り巡らされた構造を持ちます。
構造が複雑なほど、検索エンジンのクロール効率が落ちやすく、SEO観点では「どのページをインデックスさせるか」「どのページを除外するか」といった管理が不可欠になるため、設計段階からSEOを意識しなければ成果が出にくい構造です。
コンテンツが多様で情報量が多いサイト
大規模サイトでは、ニュース、特集記事、コラム、検索結果、商品詳細など、コンテンツの種類が多岐にわたります。
ユーザーが求める情報に素早くアクセスできるように、「情報設計(IA)」の段階からSEOを意識する必要があります。
また、ポータルサイトのように自動生成でページが増えると、検索エンジンが低評価とする「重複コンテンツ」が増えやすく、1ページあたりの品質が薄まりやすいため、情報量が多く高品質なページだけを検索エンジンに認識させる設計が求められます。
大規模サイトのSEO対策で必要なこと

自動でページが生成されページ数が膨大になる大規模サイトでは、1ページごとに手動で最適化するのは現実的ではありません。
全体構造の整理、クロール制御、キーワード戦略などをシステム的に設計する必要があります。
大規模サイト特有のSEO対策で押さえておくべき重要ポイントを解説します。
ページを検索エンジンにクロールさせる
大規模サイトでは「そもそも検索エンジンに見つけてもらえていないページ」の割合が大きくなっているケースが非常に多く見られます。
クロール効率を高めるには以下の対策が効果的です。
- XMLサイトマップを正しく生成・送信する
- クローラーが回遊しやすいように内部リンクを最適化する
- 重要なページをサイト内の多くのページからリンクさせる
- ページネーション(ページ分割)を最適化する
クロールされなければインデックスもされないため、「クロールさせる設計」がまずSEOの第一歩です。
品質の低いページはnoindexにする
大量に自動生成されるページの中には、情報量が少なく価値が低いページも存在します。
例えば、検索条件が細かすぎて結果が0件になるページや、類似情報ばかりの重複ページなどです。
何も考えずにこれらをそのままインデックスさせると、検索エンジンから「低品質なページが多い」と判断され、結果としてサイト全体の評価が下がってしまうリスクが高くなります。
情報量が少なく品質が低いページはnoindex指定を行い、クロールリソースを有益なページに集中させましょう。
検索上位が取れそうなキーワードを選定する
大規模サイトでは、キーワード選定が「ディレクトリ単位」「ページテンプレート単位」で求められます。
単にボリュームの大きいワードを狙うのではなく、以下のように粒度を分けて設計するのがポイントです。
- トップページ:包括的なビッグキーワード
- カテゴリページ:中分類・地域・業種などのミドルキーワード
- 詳細ページ:ニッチなロングテールキーワード
テンプレートごとにキーワードを明確化しておくと、メタ情報や構造化データの自動生成にも役立ちます。
他のページに遷移しなくてもコンバージョンが発生するようにする
大規模サイトに限らず、ページ遷移が多すぎると離脱率が上がり、CVR(コンバージョン率)が下がります。
検索結果ページや詳細ページ内にもCTA(お問い合わせ・応募・資料請求に繋がるボタンなど)を配置し、ユーザーが別ページに移動しなくてもアクションを完結できる導線設計が重要です。
また、CTAまで誘導ができていても、フォームへの入力内容が多すぎたり、プライバシーポリシーを載せていないなどで安全性が損なわれているのも離脱を招きます。
コンバージョンには個人情報を伴うので、ユーザーに安心感を与えるデザインや情報提供も重要です。
大規模サイトを制作するなら

大規模サイトの構築には、美しいデザインよりも「技術力」と「構造理解」が求められます。
検索エンジンに正しく評価される仕組みを設計できるかどうかが、成果を左右するからです。
ここでは、制作パートナーを選ぶ際に重視すべきポイントを解説します。
WEB制作会社よりもWEBシステム開発会社
大規模サイトは、静的ページの集合体ではなく「動的にページを生成するシステム」のため、一般的なWeb制作会社では対応が難しいケースが多いです。
そのため、データベース構造や検索機能を理解したWebシステム開発会社に依頼することを推奨します。
SEOの知識がある会社を選ぶ
SEOの本質である「ユーザーが求める情報を高い品質で提供する」「ユーザー体験を向上させる」ことは大規模サイトであっても重要ですが、大規模サイトのSEOは、オウンドメディアやLP等のSEO対策とは異なるアプローチが必要になるケースが多いです。
大規模サイトの多くは検索機能をもつことから、ユーザーの行動によって多くのページが動的に生成されるため、サイト全体で見ると自動生成されたページの比率が高くなります。
前述の通り、そういったページの中には情報量が少なく、検索エンジンから低品質と判断されるページも少なくありません。
この性質を理解せず、大量の低品質なページをインデックスさせてサイト全体の評価が落ちてしまうと、後から高品質なコンテンツを追加しても挽回することは難しいです。
だからこそ、大規模サイトのこの性質とSEOの両方を理解して設計できる会社に依頼する必要があります。
たとえば以下のような技術的SEO要素を考慮できる会社が理想です。
- クロール制御(robots.txt、noindex、canonical等)
- 内部リンク最適化
- 構造化データ(JSON-LDなど)
- PLP(Product Listing Page)や検索結果のインデックス制御
- ページの表示速度の向上

開発会社とは別に、SEOコンサル会社を入れればいいのでは?
という考えもあり、実際そうされている企業も多数ありますが、SEOコンサルと開発を別会社に分けると、実装レベルで齟齬が生じやすくなるため、可能であればSEOの知識がある開発会社に依頼することをおすすめします。
CMSや構築パッケージがあれば費用・納期を抑えられる
ゼロからのフルスクラッチ開発は費用も納期も膨らみがちですが、大規模サイトは大きな工数が必要になるため、なおさら費用は高く、納期は遅くなりがちです。
CMSや構築パッケージを活用すれば、基本的なデータベース構造や検索ロジック、SEO最適化があらかじめ組み込まれているため、短期間・低コストでの開発が可能になります。
ただし、選定時には以下の点を確認することが重要です。
- クロール・インデックス制御などのSEO設定を柔軟にカスタマイズできるか
- 将来的な拡張(データ項目の追加、API連携、外部DB統合)に対応できる構造か
- 独自テンプレートやUIを実装する余地があるか
既存パッケージをベースにしつつ、自社のビジネスモデルに合わせて構造へ最適化することが、成功のポイントです。
まとめ
大規模サイトのようにページ数が膨大になるほど、コンテンツの内容だけでなくサイトの構造にも気を配る必要があります。
一度検索エンジンから低品質と判断されてしまうと、後から高品質なコンテンツを追加しても挽回は難しくなるため、初期の構築が重要になるのです。


弊社セルバは大規模サイトの開発・運用の実績が多数あり、SEOについての相談もお受けしています。
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