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エンジニア売り手市場の終わりと、今後の生き残り方

こんにちは。採用担当のゆうきです。

エンジニアは人手不足で売り手市場だから、未経験でも簡単に採用されるのでは?

未だにそう信じられている部分もありますが、実際にそうだった時期は既に終わっています。

目次

2023年が分かれ目だった

いわゆるエンジニアバブルの頃、経験者にはとにかく大量のスカウトメールが送信され、未経験者でもポテンシャルがあると判断されれば大量のスカウトメールが送信されていました。
各社の待遇競争が過熱し、企業は内定辞退を防ぐために応募から数日で内定を出すケースも珍しくありませんでした。

その空気が変わったのは、2023年頃のこと。
コロナ禍で膨らんだIT投資は落ち着き、採用現場も「本当に必要な人だけ採る」方向へシフトしていったため、自然と採用ハードルも高くなっていきました。
エンジニア売り手市場は終わり、エンジニアバブルも崩壊したのです。

誤解してほしくないのですが、「企業側に有利な買い手市場になった」わけではありません。
エンジニアの採用が簡単になったわけではなく、求める人材像がよりシビアになっただけ。
買い手市場というより、企業もエンジニアも互いに慎重になったというのが現実に近いです。

数字だけ見て勘違いする人たち

とはいえ、求人倍率の数字を見れば「まだ売り手市場じゃん」と思う人も少なくないと思います。
表面的な求人数とエンジニアの人数を見ればそうですが、ではなぜ「エンジニアバブルが終わった」と言われているのでしょうか。

未経験・微経験者は飽和状態

2018年以降のプログラミングスクールブームで、プログラミングを学んだ人は急増しました。
その結果、エンジニアを採用したい企業にとっては「候補者が増えた」ように思えるかもしれませんが、スクールを卒業した未経験・微経験者は飽和状態なのが現実です。

うちを卒業すれば引く手あまた!

未経験からフルリモートの仕事に就ける!

フリーランスになって少ない労働時間で高収入を実現!

このような謳い文句で訴求しているスクールは今でもありますが、スクールを卒業していても実務経験がない人材は企業が一定期間教育(投資)する必要があり、即戦力にはなりません。

スクールでしっかり学んだのだから、実務経験がなくてもスキルは即戦力レベルなのでは?

と思うかもしれませんが、多くのスクールで学べる内容は基礎レベルですし、顧客折衝の経験などは実務に入らないと積めません。
はじめのうちはマネージャーや先輩エンジニアの監督の下で、難易度の低い作業から入って、徐々に仕事を覚えていってもらう必要があります。

このことから、企業にとっては未経験・微経験者をいきなり高待遇で採用する理由がなく(かといって未経験者は労働条件が悪くてもいいとは思いませんが)、大量に採用することも難しいので、ちゃんと未経験者をエンジニアとして育ててくれる企業ほど狭き門です。
その狭き門を突破したとしても、「期待したような高待遇じゃなかった」「もっとキラキラした仕事がしたかった」という理由で早期離職する人は少なくなく、それが更に未経験者の門戸を狭めているのが現状です。

数ヶ月~1年で辞めてフリーランスになる未経験者

先述の話と繋がりますが、未経験で入社した企業を、わずか数ヶ月〜1年で辞めてフリーランスになるエンジニアをよく見かけるようになりました。
プログラミングスクールの広告や、SNSやYouTubeで繰り返し流れてくる「1年で高収入フリーランスに!」「いつでもどこでも自由に働ける」というストーリーに影響されて、「自分もこうなりたい」と考えた人が、数ヶ月~1年で基礎的なスキルをつけたらすぐ離職する……というパターンです。

しかし実際には、企業側からの「未経験・微経験のフリーランスに仕事を頼みたい」というニーズはほぼありません。
理由はシンプルで、数ヶ月~1年では得られる経験も顧客からの信頼も知れていますし、教育コストをかけて育てるなら正社員で雇う方が合理的だからです。
スキル的に難易度の高い仕事は任せられないにもかかわらず、それに見合わない高い報酬を求めるケースが多く、フリーランス全体のイメージの低下にもつながっています。

短期離職→フリーランスは本人にとってもリスクが大きく、企業側からすれば「教育コストだけかけさせて去るフリーライダー」でしかありません
こうした動きが増えて未経験者採用のハードルが上がり、本当にやる気のある人のチャンスまで減っている悪循環が生まれています。

スキルや経歴を詐称するエンジニア

中には、スキルや経歴を盛って応募してくるエンジニアもいます。
「一度入社してしまえばこっちのもの」とばかりに、選考時点では経験や実績を過大にアピールし、あたかも即戦力であるかのように振る舞います。

しかし経験者として採用される以上、現場に入ればすぐに実力は明らかになります。
日々の業務でコードレビューや設計議論をすれば、実際のスキルレベルは隠しようがないからです。

セルバでも経歴詐称が発覚したケースがありましたが、長く続いた人は一人もいません。
職務経歴書や面接で聞いた内容を信頼して採用する以上、信頼を失う行為なので、正社員なら試用期間で終了になりますし、フリーランスなら契約終了になるだけです。
また多くの場合、こちらから伝える前に、本人が業務についていけず自主的に退職しています。

こういった候補者もいることから、企業もエンジニアの採用には慎重にならざるを得ません。
数字上の求人倍率と、本当に採用される人数のギャップが広がっていくのは、こういった背景もあります。

経験者だからといって安泰ではない

じゃあ詐称していない経験者なら引く手あまたでは?

と思うかもしれませんが、ここにも落とし穴があります。

エンジニアバブル期では、各社がエンジニアを確保するために待遇競争が過熱していたため、転職を繰り返して年収をどんどん上げてきたエンジニアが少なくありませんでした。
そんな経験者が、今では書類選考で落ちるケースが増えています。

理由はいくつかありますが、よく聞くのは「スキルと希望年収が見合わない」というもの。
そこに「フルリモートで出社は一切不可、マネジメントや顧客折衝はやりたくない、最新技術に触れられる仕事がいい」などの希望条件も乗っかると、企業側からは「わがままで使いづらいエンジニア」と見られてしまいます。

エンジニアバブルの頃なら通った条件交渉も、今は企業のニーズと合わなければ通りません。
実績のあるリーダー・マネージャー層なら高待遇で採用する企業は今でも多くありますが、「〇〇言語での開発実務経験が数年ある」だけのエンジニアを高待遇で採用する理由がなくなったからです。

生き残る人と消えていく人

誰しも譲れない条件はあるでしょうし、自分の希望条件に合う企業を求めることは悪くありません。
ただし、現在の転職市場を正しく把握し、「その条件で自分を採用する企業がどれくらいあるか?」という視点がないと、選択肢は一気に狭まります。
市場価値と希望条件のバランスを冷静に見られなければ、応募しても不採用が続き、キャリアアップは難しくなります。

「実績があって優秀でさえあればどの企業も欲しがる」というのも、今はもう違います。
一部の仕事はAIや自動化に置き換わりつつあり、単純にスキルだけで評価される時代は終わりに近づいています。
どれほど技術的には優秀でも、協働する上での信頼感やコミュニケーション、人格面に問題があれば淘汰される流れは今後さらに加速していくでしょう。

エンジニアに限りませんが、求人倍率やニュースの見出しに振り回されず、自分の市場価値をどう高めるかを考えられる人が、今後は生き残っていきます。
自分の強みや経験を整理し、条件に優先順位をつけて求人を探せば、希望を叶えつつ採用される確率も上がります。
理想と現実をどうすり合わせるか、人として信頼される振る舞いをできるかが、長期的なキャリアの選択肢を決めます。

セルバではエンジニアを募集しています

エンジニアバブルが終わり、売り手市場ではなくなりましたが、買い手市場になったわけではありません。
求職者にも企業にも、かつてより厳しいバランスを求められるようになっています。

セルバでは経験者・未経験者ともにエンジニアを募集しています。
上流工程やマネジメント、顧客折衝の経験を積みたい方のご応募をお待ちしています!