会員制サイトの構築にはセキュリティ対策が重要

会員制サイトは多くの企業にとって重要な集客・顧客維持の仕組みになっています。
会員登録をしてサイトを利用してもらうことで、ユーザーごとに最適な情報を提供したり、限定コンテンツやサービスを展開したりすることで、リピーターの獲得やブランドの信頼性向上につなげることができます。

しかし一方で、会員制サイトは「個人情報」「決済情報」「行動履歴」などの機密性の高いデータを扱うことから、セキュリティ対策の甘さが致命的なリスクになることも少なくありません。
たとえデザイン性や使いやすさに優れていても、セキュリティ面が脆弱であれば、ユーザーの信頼を失い、企業の信用そのものを揺るがす結果にもつながります。

会員制サイトの基本的な仕組みから実際の事例、構築時に重視すべきセキュリティ対策と制作会社の選び方までを、わかりやすく解説します。
これから会員制サイトを構築しようと考えている方、あるいは既存サイトのリニューアルを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

会員制サイトとは

会員制サイトとは、ユーザーが会員登録やログインを行い、限定コンテンツや会員専用機能を利用できるWebサイトのことを指します。
商品購入履歴や会員ランクに応じた特典の提供、マイページ機能などを通して、一人ひとりのユーザーに合わせた体験を提供できるのが特徴です。

会員制サイトは「誰がどこまでの情報にアクセスできるか」を明確に制御できるため、BtoCだけでなく、企業間取引(BtoB)や社内ポータルなどでも幅広く活用されています。
ここでは、その公開範囲の違いによって分類される3つのタイプを紹介します。

オープンサイト

オープンサイトとは、誰でも自由に閲覧できるタイプのサイトです。
会員登録をしなくてもコンテンツを見ることができ、会員登録はあくまで利便性を高めるための手段として設けられています。

たとえば、ECサイトなど「商品を閲覧するのは誰でも可能だが、購入時にログインが必要」といったケースが典型的です。
会員登録を促すことで購買履歴やお気に入り登録などの機能を利用でき、顧客データの蓄積やリピート購入につなげやすくなります。

クローズドサイト

クローズドサイトは、ログインしないと一切の情報を閲覧できない、完全会員制のサイトです。
非会員に対してはログイン画面や登録案内ページのみが表示され、内部コンテンツは外部からアクセスできません。

この形式は、社内向けポータルサイトや取引先限定の情報共有サイトなど、機密性の高い情報を扱う場合に適しています
また、特定の顧客層にのみ情報を提供する「VIP専用サイト」「パートナー専用サイト」などもこの分類に含まれます。
セキュリティの高さと引き換えに、一般ユーザーからの新規流入は見込めないため、目的に応じた設計が重要です。

セミクローズドサイト

セミクローズドサイトは、オープンとクローズドの中間にあたる形式です。
一部コンテンツは誰でも閲覧できますが、詳細な情報や特定機能はログインした会員のみが利用できる仕組みです。

例えば「非会員でも販売している商品は見られるが、価格や在庫は会員だけが閲覧できる」「会員登録するとレビュー投稿や購入履歴管理ができる」といったケースが該当します。
このタイプは、一般公開による集客効果を維持しながら、登録者にはより価値の高い体験を提供できる点が強みです。
BtoBサイトやスクールサイト、求人マッチングサイトなど、幅広い業種で採用されています。

会員制サイトの事例

実在する会員制サイトの中から、公開方式・目的・業種に応じた事例をいくつか紹介します。

B’z PARTY(アーティスト公式ファンクラブ)

引用:https://bp.bz-party.com/

日本のロックユニットB’zの公式ファンクラブ。
会員向けにグッズ販売、先行チケット抽選、会報誌発送、会員専用WEBページなどを提供しています。

「誰でも閲覧可能なコンテンツ+会員限定コンテンツ」が混在する構造で、まさに「セミクローズド」タイプの典型と言えます。

音楽アーティスト向けファンクラブとして、アクセス制御・会員識別・特典配信といった機能が構築されており、セキュリティ面・運用面の参考になります。

Lemino(映像配信サービス)

引用:https://lemino.docomo.ne.jp/

LeminoはNTTドコモが提供していた「dTV」をリニューアルしてできた日本の動画配信サービスで、会員登録することでコンテンツが見られるようになっている事例です。

配信している動画のラインナップは登録せずとも見られますが、メインとなる動画コンテンツの閲覧には会員登録が必要という、クローズド~セミクローズド型の構造をもっています。

映像配信という「高頻度・大容量・継続利用」が求められる分野のため、会員制サイトで要求されるセキュリティ・アクセス制御・課金・ログ管理などの機能設計の観点からも有用です。

biz人(ビジネスパーソン向け会員制メディア)

引用:https://bizto.jp/

biz人(ビズット)は、WordPressをベースに構築された会員制情報サイトです。
ビジネススキルや専門知識を提供する「会員限定コンテンツ+無料公開コンテンツ」の併用モデルで、集客+会員化の流れを取りやすい形です。

セキュリティという観点では、会員データ管理・アクセス権・ログイン制御・会員レベル管理などが必要になってきます。

会員制サイトの制作を依頼するなら

会員制サイトを社内で構築できる場合を除き、多くの企業では外部に制作・開発を依頼します。
依頼先を選ぶうえで押さえておきたいポイントを整理します。

セキュリティ対策に力を入れている会社を選ぶ

会員制サイトでは、個人情報・ログイン情報・決済情報など機密性の高いデータを扱います
そのため、デザイン性や費用よりもまず「セキュリティ体制が整っているか」を重視すべきです。

制作会社を選ぶ際は、次のような基本対策が実装されているかを確認しましょう。

  • SSL/TLS(通信の暗号化)
  • WAFや不正アクセス防止システムの導入
  • 二要素認証・アカウントロック機能の有無
  • 脆弱性診断や監視運用の実施
  • 定期的なバックアップとログ管理

これらが揃っていれば、万一の障害や攻撃にも迅速に対応できます
セキュリティは後から追加できるものではなく、初期設計から組み込むことが重要です。
構築段階で安全性を確保できる開発会社を選ぶことが、長期的に信頼されるサイト運営につながります。

WEB制作会社よりもWEBシステム開発会社

コーポレートサイト制作、WordPress構築、LP制作などを手掛けるWEB制作会社でも会員制サイトを実装できるケースはありますが、以下の点で限界が出やすいです。
そのため、WEB制作会社よりもWEBシステム開発会社に依頼することを推奨します。

  • セキュリティ対策に弱い傾向がある
  • 機能の追加などはできる範囲に限りがある
  • 権限管理・決済連携・ログイン制御・API連携などシステム的な機能が求められるため、単なるサイト制作の枠を超えることが多い
  • 専門的な開発・運用体制(サーバ、ネットワーク、インフラ設計)が必要になる

CMSや構築パッケージがあれば費用・納期を抑えられる

フルスクラッチ(一から構築)で開発するとコスト・開発期間・運用負荷が大きくなります。
細かいところにまでこだわってオリジナリティのあるサイトを作りたいのであればフルスクラッチが適していますが、どうしても納期は遅く費用は高くなりがちなので、費用を抑えたり急ぎで欲しいのであれば、CMSや構築パッケージの活用が有効です。

特に会員制サイトの場合、革新的な機能やUIで差別化を図るよりも、広く利用されているフォーマットにならった方がユーザーにとって使いやすいものになることが多いため、必要な機能があらかじめ揃っているCMSや構築パッケージを活用するメリットは大きいです。
CMSや構築パッケージを基盤としながらもカスタマイズに対応してもらえることが多いので、作りたい会員制サイトと類似の実績がある開発会社に相談してみることをおすすめします。

ただし、利用するパッケージがセキュリティ対策(暗号化、ログ管理、アップデート対応)をきちんと行っているかは必ず確認してください。
安心して使える構築基盤を前提に選定することが重要です。

まとめ

会員制サイトは、ユーザーとの長期的な関係を築くための強力な仕組みですが、個人情報を扱う以上、デザインや機能性よりもまず「安全性」を最優先に考える必要があります。

どんなに魅力的なサービスを展開しても、情報漏えいや不正アクセスが起きれば、その価値は一瞬で失われます。
これから会員制サイトを構築する際は、ぜひ 「安全性 × 使いやすさ × 拡張性」 の3つを意識しましょう。

弊社セルバは会員制サイトの開発・運用の実績が多数あり、セキュリティについての相談もお受けしています
お気軽にお問い合わせください。

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2003年創業。大阪・東京を拠点にWEBシステム開発、WEB集客支援、人材事業、補助金コンサル等を行っています。
ただシステムを作るだけではなく『売れる仕組み』を創ることを意識して、クライアントの利益向上を追求します。
開発会社の選定代行やレベニューシェアでの開発も積極的に行っているので、まずはお気軽にお問い合わせください。