飲食店選びにもはや欠かせないと言っても過言ではないポータルサイト。
その中で「Retty(レッティ)」は、あえて口コミ投稿に“実名制”を採用することで、他社とは一線を画す存在になりました。
「信頼できる人のおすすめでお店を選ぶ」という発想を軸に、Rettyは口コミ・店舗支援・広告の三本柱を融合した独自のビジネスモデルを築いています。
本記事では、そんなRettyの仕組みや収益構造、成長戦略をわかりやすく整理します。
同時に、プラットフォーム運営や店舗集客に関わる方が自社に活かせる視点も解説します。
Rettyとは?

Rettyは2011年にサービスを開始した実名制のグルメプラットフォームです。
ユーザーは本名で飲食店を評価し、写真付きで投稿。
匿名のレビューサイトと異なり、「誰が薦めているか」が明確です。
- 共感できる“食の好み”を持つ人をフォローできる
- 「星いくつ」ではなく、口コミを書いた人ベースでおすすめを探せる
- 投稿が誹謗中傷ではなく、“推し文化”に近いポジティブ口コミになりやすい
この特徴が「信頼性」と「心地よさ」を両立し、ユーザーの支持を集めています。
Rettyのビジネスモデル概要
Rettyの事業構造は、以下の3つの要素で成り立っています。
| 事業区分 | 内容 | 収益の柱 |
|---|---|---|
| 飲食店支援(FRM事業) | 店舗の集客支援・予約・販促サービス | 月額・従量課金(SaaS型) |
| 広告・タイアップ事業 | ブランドや企業との共同企画、広告掲載 | 広告費収益 |
| プラットフォーム運営 | 実名口コミによるUGC(投稿データ)基盤 | ユーザー成長・SEO資産 |
口コミプラットフォームとしての強みを生かしつつ、店舗支援と広告事業で収益化する「メディア×SaaSハイブリッドモデル」が特徴です。
飲食店支援サービス(FRM事業)
飲食店向け支援サービスは、Rettyの主軸となる収益です。
店舗が有料会員になることで、集客・販促・露出強化などのサポートを受けられます。
主な機能は以下の通りです。
- 優先掲載・露出強化:カテゴリ・地域別検索で上位表示
- 店舗情報の拡張:写真・PR文・タグ設定・クーポン機能
- 予約・問い合わせ機能:ネット予約・顧客対応を一元管理
- 効果分析ツール:PV・予約率・来店数などを可視化
- 営業サポート:代理店・直販による導入支援
この仕組みにより、店舗側は「広告を出す」よりも低コストで安定した集客導線を確保できます。
解約率と継続率の改善が鍵
FRM事業はストック収益(サブスクリプション)が中心です。そのため課題となるのがチャーン率(解約率)。
Rettyでは、店舗に“成果を実感”してもらうために
- 効果レポートの充実
- 営業体制の見直し(直販比率の向上)
- アップセル(上位プラン誘導)施策
を強化していることにより、安定した月額課金モデル=収益の柱を育てています。
広告・タイアップ事業
Rettyのもう一つの収益軸が広告・ブランドタイアップ事業です。
飲食・食品・観光・生活関連の企業が
- 特集ページの共同企画
- ブランドタイアップ記事
- イベント・キャンペーン展開
を通じて、“食”をテーマにしたブランド訴求を行います。
単なる広告枠販売ではなく、「実名口コミ×生活者のリアルな声」を活かした“コンテンツ広告”に近いモデルです。
広告は期による波がありますが、UGC(投稿コンテンツ)の質と量が高いほど、広告単価とCTR(クリック率)が上がりやすい構造になっています。
Rettyの競合と差別化ポイント

飲食ポータルサイトとして、Rettyには、食べログ・ぐるなび・ホットペッパーなど多数の競合が存在します。
その中でも後発であるRettyが築いてきた独自ポジションを整理すると、以下の通りです。
| 観点 | Retty | 他社 |
|---|---|---|
| レビュー形式 | 実名制・推薦型 | 匿名・点数評価型 |
| 口コミの性質 | “推しの好きなもの紹介”に近い | 多数決的なスコア |
| 投稿文化 | 共感・共有中心 | 比較・評価中心 |
| 集客構造 | コミュニティ×紹介導線 | 検索×予約導線 |
| 店舗との関係性 | 支援・伴走型 | 広告掲載型 |
Rettyは、「信頼」と「共感」を軸に、口コミの“質”で勝負するポータルサイトだと言えます。


Rettyの強みと成功要因

サービス開始から10年以上、数多くのグルメサービスが登場しては消えていく中で、Rettyは独自の存在感を保ち続けています。
その背景には、単なる口コミサイトではなく、「信頼をベースにした体験設計」と「店舗とユーザー双方に価値を生む仕組み」がありました。
Rettyが成長を続けられた理由と、他社にはない強みを整理します。
信頼を軸にした口コミ構造
Rettyは「実名だからこそ事実と違うことや誇張した内容は書きづらい」ことから、告発目的や営業妨害になるような口コミは完全には防げないものの、匿名性の高いサイトよりは信憑性の低い口コミが投稿されにくくなっています。
また、口コミ投稿による報酬は基本的にはなく、ユーザーには「投稿しない自由」もあるため、忖度だらけの口コミやサクラレビューへの心配も少なく、ユーザーにとって信頼性の高い口コミだけが投稿されやすい仕組みです。
「炎上しにくく、推奨しやすい」設計が長期的なブランド資産になっています。
コミュニティによる自然拡散
フォロー・共感・リアルイベント(オフ会)など、ユーザー同士が「食の好みが近い人」をフォローしての関係性を築きやすくなっています。
競合のポータルサイトよりもSNSのようなコミュニティ形成の色が強く、口コミの持続性が高い点も特徴です。
データとAIによるマッチング精度
Rettyではユーザーの投稿データ・行動履歴・位置情報などのデータをもとに、ユーザーの嗜好に合った店舗をリコメンドするアルゴリズムが進化しています。
OpenAI社の大規模言語モデルを活用し、ユーザーが探しているお店により出会いやすくなるシステムも実装しています。

Rettyの抱える課題

どの事業にも成長痛はあります。Rettyが抱える主な課題は次の通りです。
- 競合の追随:匿名性の高い競合サイトの機能模倣による同質化の懸念あり
- 地方・小規模店舗の導入ハードル:地方や小規模店舗はギリギリの人員で回していることも多く、運用リソースの確保が難しいことから成果が出づらい
- 広告依存のリスク:期による波動を吸収しづらい
- チャーン率の抑制:契約店舗が成果体感を得られなければ解約される
- ARPU(平均単価)上昇の壁:値上げやプラン拡張は容易ではなく、上回るメリットを提示できなければ解約率を上げてしまう
これらを克服するには、データ活用・機能拡張・顧客教育の三軸が欠かせません。
まとめ
Rettyは飲食店ポータルサイトの中では後発ながら、「実名口コミ」という一点突破から出発し、“信頼を可視化する飲食ポータルサイト”として成長を続けています。
- 信頼が人を集め、投稿が価値を生み、店舗が支援に投資する
- ユーザーと店舗の双方が価値を感じる二面市場モデル
- SaaS+メディアのハイブリッドによる収益の安定化
この構造は、あらゆる業界のプラットフォーム構築にも応用できる考え方です。
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