このブログを運営しているセルバについて
セルバは創業22年のWeb企業です。
求人応募を増やしたい、見込み客からの問い合わせを増やしたい、比較・検索・マッチングの仕組みを作りたいなど、Webを使った事業づくりを支援しています。
要件整理〜構築〜公開後の改善まで対応しているため、
「まずは概算だけ」「何を作るべきかの整理から」でも大丈夫です。
まだ問い合わせるほど固まっていない方はこちら
→ 自社のケースで整理すべきポイントを確認する

セルバは創業22年のWeb企業です。
求人応募を増やしたい、見込み客からの問い合わせを増やしたい、比較・検索・マッチングの仕組みを作りたいなど、Webを使った事業づくりを支援しています。
要件整理〜構築〜公開後の改善まで対応しているため、
「まずは概算だけ」「何を作るべきかの整理から」でも大丈夫です。
まだ問い合わせるほど固まっていない方はこちら
→ 自社のケースで整理すべきポイントを確認する
こんな人気アプリなのに赤字嘘やろ…
— リュウジ@料理のおじさんバズレシピ (@ore825) September 6, 2023
と思うかも知れませんが現在50万ユーザーがアプリを登録し、それに耐えうるサーバーを借りるのに月額100万かかるらしく青ざめてます
なんか良い方法あったら教えてください https://t.co/2BOySPpoeK
2023年ごろ、料理研究家リュウジさんのレシピアプリが「登録ユーザーが増えたのに赤字」「サーバー代(AWSの請求)が月100万円規模」とX上で話題になり、IT界隈も巻き込んで「高すぎる/妥当では?」「設計が悪いのでは?」「委託先が…?」など、いろいろな声が飛び交いました。
この手の話題が広がると、どうしても“人気=儲かっているはず”という前提で語られがちです。
でも、開発会社・運用側の目線で見ると、人気アプリが赤字になるのは、わりと「あるある」 だったりします。
本記事では、特定のアプリの良し悪しを断定するのではなく、「なぜ人気レシピポータルでも赤字になり得るのか」 を、技術・運用・マネタイズの両面から分解していきます。
あわせて、レシピポータルを黒字化するための設計(価値設計+コスト設計)を、できるだけ実務的にまとめます。


レシピコンテンツは画像とテキスト中心だし、動画はYouTube埋め込みならサーバー代は大してかからないのでは?
と思われがちです。
実際、外から見える画面だけなら「静的コンテンツ」に見えることも多いです。
ただ、レシピポータルは“体験”を成立させるための裏側が意外と多いです。
このあたりは、ユーザーが増えて“回る”ほど、雪だるま式にコストも手間も増えます。


人気=儲かる、と思われがちですが、レシピポータルは“人が増えるほど支出も増える”構造を抱えています。
アクセス増でコストが先に膨らむ一方、広告単価や課金率は伸びにくく、収益化が追いつかないことが起こります。
クラウドの多くは従量課金です。ざっくり言うと、人が来れば来るほど課金されやすい構造です。
典型が「配信」と「データ転送」です。
CDN(CloudFront等)は、配信したデータ転送量とリクエスト数に応じて料金が増えるタイプのサービス設計です。
S3のようなオブジェクトストレージも、保存量だけでなくリクエスト(GET/LIST等)でも課金されることが明記されています。
つまり、ユーザーが増えると
結果、「アクセスが伸びた=コストが伸びた」 が起きます。
一方で、収益はアクセスに比例して伸びるとは限りません。
さらにアプリ課金の場合、プラットフォーム手数料の影響も無視できません。
Appleは条件により手数料が15%になるプログラムを提示しています(条件次第で標準手数料に戻ることもあります)。
Google Playも、状況により手数料体系が変わり得ること、そして多くの開発者が15%以下の枠に該当する旨を説明しています。
要するに、コストはアクセスに沿って増えやすいが、売上はアクセスに沿って増えにくい。
このギャップが“人気なのに赤字”を生みます。
レシピポータルに限らず、無料ユーザーは“未来の売上”の候補ではあるものの、無料ユーザーが増えた事実そのものは、PL上の黒字を保証しません。
むしろ、無料ユーザーの増加は「将来の期待」でもあり「当月の負担増」でもあります。
そのため、黒字化の鍵は結局ここに戻ります。
“話題化した時に落ちない・回る・収益化できる設計”
つまり、技術設計と価値設計を最初からセットで作ること。


ここからは、レシピポータル/レシピアプリで“跳ねがち”なコストを、開発会社目線で具体化します。
レシピ体験は写真が命です。
しかし写真は、「保存」「変換」「配信」「キャッシュ」「転送」の全部でコストが出ます。
CDNの料金がデータ転送とリクエストに基づくこと自体が、まさに「人気=課金増」を引き起こす構造です。
そして画像を置くS3なども、リクエスト課金があります。
画像は“閲覧されるほど儲かる”というより、“閲覧されるほど課金される”側面が強いので、収益化が弱いフェーズでは先に赤字が来ます。
ポータルサイトにおいて、検索はユーザー体験の中心ですが、細かく精度の高い検索ができるようにしようとすると、いきなり要求が増えます。
この辺をDBだけで頑張ると、DBが苦しくなります。
かといって検索基盤(例:OpenSearch等)を使うと、今度は“常時稼働のクラスター費用+ストレージ+バックアップ+運用”が乗ってきます。
OpenSearchが従量で使える一方、検索・分析用途のマネージドサービスであること、利用に応じて費用が発生することはAWS側も説明しています。
検索は“便利”の代わりに、地味に固定費化しやすいのが痛いポイントです。
ランキングは一見ただの「並べ替え」ですが、実態は集計システムです。
ランキングの“納得感”が崩れると、サービス自体の信頼が落ちるので、守りが必要です。
そして守ろうとすると、Bot対策・監視・集計基盤でコストが出ます。
たとえばWAFは「Web ACL」「ルール」「処理したリクエスト数」などの単位で課金される形が明記されています。
つまり、話題化してアクセスが増える局面は、同時に攻撃・Bot・スクレイピングが増える局面でもあり、セキュリティコストも連動しがちです。
表に出にくい部分ですが、運用の現場ではここが効きます。
このあたりはサーバー代ではなく人件費です。
今回話題になった件では、“AWS明細ベースで100万円かかっていた”趣旨の言及が報じられていますが、一般論としては“インフラ費+運用費” で月次が膨らむのは珍しくありません。


結論から言うと、どちらも“可能性はゼロではないが、断定はできない”です。
設計が荒いと、クラウドは簡単に高くなります(特にデータ転送、ログ、検索)
逆に、設計が良くても、ピーク負荷・成長・セキュリティ要求によって高くなることもあるため、「どこにいくらかかっているか」は請求明細を見ないと判断できません
そして、ここが誤解されがちですが、クラウドは、“安く作る”ことはできても、“安く回し続ける”には継続的な設計判断と運用が必要です。
「初期に安く作って、後で伸びたら考えよう」は、かなりの確率で火を噴きます。
なぜなら伸びた瞬間、落とせない/止められない/急に直せないからです。


SNSでは時々、次のような推測も出ます。



赤字告白→応援課金(サブスク加入)」の流れを狙ったのでは?



有料プランの布石っぽい。
ただし、ここは強く言っておきたいのですが、このシナリオは再現性が高い戦略ではありません。成立条件がかなり厳しいからです。
これらが揃ってはじめて、「話題化→応援課金」が“戦略”になります。
一般的な企業が安易に行っても、「赤字アピールが痛い」「運営が不安」という不信だけが残るリスクもあります。
なので本質は、マーケの巧拙よりもこちらです。
話題化した時に “落ちない・回る・収益化できる” 設計になっているか。


レシピのサブスクを成功させるコツは、ざっくり言うと 「無料で習慣化」→「有料で摩擦を消す」 です。
ポイントは、有料=コンテンツ追加だけにしないことです。
“便利さ”や“失敗しにくさ”のような、日々の摩擦が消える機能のほうが、継続課金に効きます。


ここからは、黒字化の設計図をもう少し実務寄りにします。
重要なのは、事業KPIと技術KPIを同じ表で管理することです。
最低限、この形にしてから着手すると失敗率が下がります。
そして、機能追加が必要かはこう判断します。
その機能は、売上を増やすか/変動費を下げるか/解約を減らすか
“便利そうだから”で積むと、コストだけが跳ねます。
レシピポータルで効きやすい順に並べると、だいたいこうです。
CDNやストレージは、配信とリクエストの積み上げで効きます。
クラウドの運用で黒字化を支える考え方として、FinOpsはかなり有効です。
FinOps Foundationは、FinOpsを「クラウドの価値最大化」「データに基づく意思決定」「エンジニア・財務・事業の協業による説明責任」といった枠組みとして説明しています。
レシピポータルに当てはめると、こうです。
これを毎月やるだけで、クラウド費が“よくわからないけど増加している”事態にはなりにくいです。


広告とサブスクだけに依存すると、どちらも伸び悩んだ時に詰みやすいです。
レシピポータルは、組み合わせができます。
重要なのは、「どの収益モデルを採用するか」ではなく、その収益モデルが成立する“導線”が、プロダクトに組み込まれているかです。
導線がないと、収益は“いつかやる”のまま止まります。


よくある失敗パターンを軸に、現場でよく見る形に整理します。
機能は増えたのに、課金理由が薄い。
結果、ユーザーは無料で満足し、コストだけが伸びます。
レシピ領域は“生活”に近いので、信頼を失うと戻りにくいです。
中でもランキングへの不信感は、回遊の死に直結します。
検索が弱い(利便性が低い、精度が低い)と、ユーザーはSNSで見た1レシピだけ作って終わってしまいます。
“ポータルサイト”にならないので、広告も課金も伸びません。
ポータルサイトやアプリは開発して終わりではありません。保守、監視、問い合わせ、クラウド従量、セキュリティなど、リリース後も決して安くない運用費がかかります。
運用費を見ずに作ると、人気化したときほど苦しくなります。
「リュウジのバズレシピ」のような人気アプリでも赤字になるのは、“人気=コスト増”と“収益化の遅れ”が同時に起きるからです。
そして黒字化するには、価値設計(課金理由)とコスト設計(伸びても耐える)を、最初からセットで作ることです。
レシピポータルの立ち上げ・リニューアルを検討している場合は、要件定義の段階で「黒字化の式」と「ピーク時に落ちない設計」を先に置くのが、いちばん堅い進め方です。
セルバは、ポータルサイト構築〜公開後の改善まで一気通貫でサポート。
会員数100万人・月売上9億円規模の運用ノウハウをもとに、集客・問い合わせ増まで見据えて設計します。
※AI活用(検索/レコメンド/運用自動化)やAWSなどインフラもまとめて相談OK。
まずは概算・要件整理からOK。
無料で方向性をご提案します。















