学生起業はやめとけ?大学生の成功率とアプリ起業の現実

学生のうちに起業して、大きな事業を作りたい。
自分で考えたアプリを世の中に出し、アルバイト以上の収入を得たい。そう考えること自体は、決して無謀ではありません。
一方で、周囲から「学生起業はやめとけ」「社会人経験を積んでからの方がよい」と言われることもあります。
実際、開発費を使い切った、共同創業者と揉めた、学業との両立ができなくなったという失敗は起こります。
ただし、学生起業そのものが危険なのではありません。顧客がいるか確認せずにアプリを作る、大きな借金をする、売上がない段階で退学するといった、失敗したときの損失を大きくする進め方に問題があります。
学生起業で避けたいのは失敗ではなく、検証していないアイデアに時間とお金を使い切ることです。
ここでは、学生起業が難しいと言われる理由、成功率の考え方、アプリ起業を小さく始める手順を解説します。
学生起業はやめとけと言われる理由

学生起業に反対する人の意見には、単なる思い込みだけでなく、実際の失敗から生まれたものもあります。
まずは、どのような進め方をすると「やめておけばよかった」となりやすいのかを確認しましょう。
顧客より先に商品を作ってしまう
学生起業で起こりやすい失敗が、アプリやサービスを先に作り、その後で利用者を探すことです。
たとえば、大学生向けのイベント検索アプリを考えたとします。
開発者同士で話していると、次のような機能が欲しくなります。
- 会員登録
- イベント検索
- お気に入り登録
- チャット
- 地図表示
- プッシュ通知
- 口コミ投稿
- 主催者用の管理画面
機能を増やすほど、本格的なサービスに見えます。
しかし、学生がイベント情報を探すときに、本当に新しいアプリを使うかは分かりません。
SNSや大学の掲示板、友人からの紹介で足りている場合もあります。
半年かけて完成させた後に利用者を募集しても、登録者が数十人で止まれば、開発時間の多くが無駄になります。
アプリを作れることと、利用者がお金や時間を使ってくれることは別の問題です。
学業と事業の両立が難しい
起業は、好きな時間だけ作業できる活動ではありません。
利用者から不具合の連絡が来れば、授業中でも気になります。
法人向けサービスなら、平日の昼間に商談や問い合わせ対応が入ります。
試験期間とサービス公開日が重なることもあります。
特に注意したいのは、事業が少し伸び始めた段階です。
利用者がいない時期よりも、問い合わせが増え、障害対応や営業が必要になった時期の方が忙しくなります。
代表者しか判断できない状態では、試験前だからといって運営を止められません。
履修する授業数、通学時間、アルバイト、就職活動まで含めて、週に何時間を事業へ使えるかを先に計算しておく必要があります。
経験不足で契約やお金を軽く見る
学生であっても、事業として商品やサービスを販売すれば、顧客に対する責任が発生します。
「友人に頼まれたから無料で作った」「口約束で売上を半分にすると決めた」といった進め方は、後から揉める原因になります。
実際には、次のような項目を決めなければなりません。
- 誰が費用を負担するか
- 売上をどのように分けるか
- 作ったプログラムやデザインの権利を誰が持つか
- 途中でメンバーが抜けた場合にどうするか
- 顧客情報をどこに保存するか
- 返金や解約をどのように扱うか
- 不具合が起きたときに誰が対応するか
最初は仲が良くても、売上が発生すると意見が変わることがあります。
契約書を作るほどではないと思う段階でも、決めた内容は文章で残してください。
友人との共同起業で揉める
仲の良い友人と起業すれば、楽しく進められそうに見えます。
しかし、友人として相性がよいことと、事業の共同経営者として相性がよいことは別です。
たとえば、開発担当者は「自分が最も作業している」と感じ、営業担当者は「自分が顧客を取っているから売上がある」と感じることがあります。作業時間だけでは、それぞれの貢献度を比べられません。
共同で始める場合は、少なくとも次の点を決めます。
- それぞれの担当範囲
- 週に確保する作業時間
- 最終的な意思決定者
- 費用の負担割合
- 売上や株式の分配
- 途中で抜ける場合の扱い
- 開発物や顧客情報の権利
「細かく決めると関係が悪くなりそう」と避ける方が、後で大きな問題になります。
学生という肩書きに頼ってしまう
学生起業家は、イベントやメディアで取り上げられることがあります。
大学の支援制度やビジネスコンテストへ参加できることもあります。
ただし、注目されることと、商品が売れることは別です。
コンテストで賞を取っても、顧客が料金を払わなければ事業にはなりません。
SNSで話題になっても、継続利用されなければ売上は止まります。
「学生なのにすごい」と評価される時期は、卒業すれば終わります。
肩書きがなくなっても選ばれる商品なのかを確認しなければなりません。
大学生の起業成功率は?

学生起業を考えると、「成功率は何%なのか」が気になるかもしれません。
しかし、数字だけを見て起業するか判断するのは難しく、調査の対象や成功の定義を確認する必要があります。
学生起業だけの成功率は分からない
大学生による起業だけを対象にし、全国共通の基準で算出した成功率は確認できません。
経済産業省の令和7年度大学発ベンチャー実態等調査では、2025年10月時点の大学発ベンチャー数は6,220社とされています。
ただし、ここでいう大学発ベンチャーには、学生ベンチャーだけでなく、大学の研究成果を基にした企業、共同研究ベンチャー、技術移転ベンチャー、教職員ベンチャーなども含まれます。
企業数が増えていることは分かりますが、大学生の起業成功率を示す数字ではありません。
また、「成功」の意味も人によって異なります。
- 法人を設立できた
- 1円でも売上が発生した
- 事業が黒字になった
- 生活できる収入を得た
- 資金調達できた
- 会社を売却した
- 株式上場した
- 卒業後も事業を続けている
これらをすべて同じ成功として扱うことはできません。
「大学生の起業成功率は何%か」という問いに、根拠のある一つの数字で答えることはできません。
黒字と成功は同じではない
黒字の事業であっても、経営者が生活できるだけの収入を得ているとは限りません。
日本政策金融公庫の2025年度調査では、2021年から2025年に起業した人のうち、採算状況が黒字基調と答えた割合は72.6%でした。一方、現在の月商が50万円未満の割合も68.3%を占めています。
この調査は18歳から69歳までを対象としており、学生起業だけの調査ではありませんが、「黒字であること」と「大きく稼いでいること」が同じではないと分かります。
月商20万円で経費が5万円なら、事業としては黒字です。
しかし、複数人で運営している場合や、毎月100時間を使っている場合は、アルバイトよりも時間当たりの収入が低くなることがあります。
売上や黒字だけでなく、次の数字まで確認してください。
- 1か月の利益
- 事業に使った時間
- 顧客1人を獲得する費用
- 1人の顧客から得られる利益
- 翌月も利用する顧客の割合
- 代表者が作業しなくても残る利益
自分なりの成功条件を決める
起業前に、自分にとっての成功を数字で決めておくと、続けるか撤退するかを判断しやすくなります。
たとえば、学生向けの有料サービスなら、次のような目標が考えられます。
- 3か月以内に10人から料金を受け取る
- 半年以内に月5万円の粗利益を作る
- 有料利用者の半数以上が翌月も継続する
- 顧客1人の獲得費用を初月の利益以内に収める
- 週15時間以内の作業で運営できる状態にする
「有名な会社を作る」「大きく稼ぐ」といった目標だけでは、途中経過を判断できません。
まずは、小さくても他人がお金を払った状態を一つ目の成功と考える方が現実的です。
学生起業に向いている人

学生起業は、行動力がある人やプログラミングが得意な人だけに向いているわけではありません。
むしろ、目立つアイデアより、地道な検証を続けられるかどうかが事業の結果を左右します。
小さく試してから判断できる
学生起業に向いているのは、最初から完璧な商品を作ろうとしない人です。
たとえば、大学生向けのアルバイト紹介サービスを考えた場合、いきなり求人検索サイトを作る必要はありません。
最初は、企業から求人情報をフォームで集め、希望する学生へメールやLINEで紹介できます。
この方法で企業から掲載料や紹介料を得られないなら、システムを作っても収益化できるとは限りません。
見栄えのよいサービスを作ることより、簡単な方法で料金を受け取れるかを優先できる人は、損失を抑えられます。
顧客へ直接話を聞ける
アイデアを人に話すのが恥ずかしい、否定されたくないという気持ちは自然です。
しかし、顧客へ聞かずに事業を始めると、自分の想像だけで機能や料金を決めることになります。
聞くべきなのは、「こんなアプリがあったら使いますか」という質問だけではありません。
次のように、現在の行動を確認します。
- 今はどのような方法で解決しているか
- どの部分に時間やお金がかかっているか
- 過去にどのサービスを使ったか
- そのサービスを使わなくなった理由は何か
- 解決できるなら、いくらまで払えるか
- 誰の許可があれば契約できるか
「使いたい」と答える人が多くても、実際に料金を払うとは限りません。
可能であれば、事前登録や予約、少額の申込金まで試します。
地味な作業を続けられる
起業というと、企画、プレゼン、資金調達などの華やかな場面が注目されます。
実際の運営では、次のような作業に多くの時間を使います。
- 営業先を探す
- 問い合わせへ返信する
- 掲載情報を入力する
- 利用者の要望を整理する
- 請求書を作る
- 不具合を確認する
- 利用されなかった理由を聞く
- 毎月の数字を集計する
利用者が少ない時期は、同じ作業を続けても成果が見えません。
それでも改善を続けられるかが問われます。
学業を保険として残せる
学生起業の強みは、大学を辞められることではなく、在学したまま事業を試せることです。
事業がうまくいかなければ、授業へ戻り、就職活動を続けられます。
大学の施設、教員、卒業生、起業支援窓口などを利用できる場合もあります。
経済産業省の大学発ベンチャー調査でも、大学側が有効と考える支援環境として、伴走支援を行う人材や起業・経営相談窓口などが挙げられています。
退路を断つことより、失敗しても再挑戦できる状態を残す方が、学生の立場を活かせます。
学生がアプリ起業する前の注意点

学生起業では、スマートフォンアプリやWebサービスを作りたいという相談が多くなります。
ただし、最初に考えるべきなのは開発方法ではなく、誰のどの問題を解決するかです。
アプリを作ることを目的にしない
「起業したいのでアプリのアイデアを考える」という順番では、必要とされない機能を作りやすくなります。
アプリは、問題を解決する手段の一つです。
たとえば、大学内で教科書を売買できるアプリを考えたとします。
この場合、利用者が欲しいのはアプリではありません。
学生が解決したいのは、次のような問題です。
- 不要になった教科書を売りたい
- 新品より安く教科書を買いたい
- 同じ大学の人から安全に受け取りたい
- 授業開始までに必要な教科書を入手したい
この問題が、SNSのグループや既存のフリマアプリで十分に解決されているなら、新しいアプリを使う理由は弱くなります。
開発前に手作業で需要を試す
アプリの主要なサービスは、人が手作業で代行できることがあります。
教科書売買サービスであれば、次の方法で試せます。
- 売りたい人からフォームで情報を集める
- 買いたい人へ一覧を共有する
- 条件が合う学生同士を運営者がつなぐ
- 成約時に手数料を受け取る
- 取引後に不便だった点を聞く
10件程度の取引でも、必要な機能が見えてきます。
「本の状態を写真で確認したい」「受け渡し場所を決めにくい」「連絡先を直接教えたくない」といった要望が出てから、その問題を解決する機能を作ります。
誰がお金を払うか決める
利用者が多くても、料金を払う人がいなければ事業にはなりません。
アプリの主な収益方法には、次のようなものがあります。
- 利用者から月額料金を受け取る
- 取引成立時に手数料を受け取る
- 掲載企業から掲載料を受け取る
- 広告を掲載する
- 一部の機能を有料にする
- アプリから既存事業への問い合わせを獲得する
広告収入を選ぶ場合でも、広告主が出稿するだけの利用者数や属性が必要です。
「利用者を増やしてから収益化を考える」という計画では、利用者が増えるほどサーバー費用や対応工数だけが増えることがあります。
開発前に、次の一文を作ってください。
〇〇に困っている人へ△△を提供し、□□から料金を受け取る。
この一文を説明できなければ、機能より先に収益構造を整理する必要があります。
最初の機能を絞る
試作品には、最終的に欲しい機能をすべて入れる必要はありません。
たとえば、学生と企業をつなぐインターン募集サービスなら、最初に必要なのは次の程度です。
- 企業が募集情報を登録できる
- 学生が募集情報を検索できる
- 学生が応募できる
- 運営者が掲載内容を確認できる
チャット、口コミ、AIによる推薦、スカウト、ポイント、ランキングなどは、利用者が集まってから追加できます。
機能を絞る際は、

この機能がなければ、利用者は目的を達成できないか
と考えてください。
なくても手作業で補える機能は、最初の開発対象から外せます。
学生起業を始める手順


学生起業では、会社設立やアプリ開発から始める必要はありません。
顧客確認、販売、手作業での提供、試作品の順に進めると、大きな費用を使う前に問題点を把握できます。
顧客の困りごとを確認する
最初に、想定する利用者へ話を聞きます。
友人だけでは意見が偏るため、可能であれば面識のない人も含めて10人から20人程度へ確認します。
質問する際は、自分のアイデアを長く説明するより、相手の行動を聞きます。
たとえば、学生向けの時間割管理サービスなら、次のように質問できます。
- 現在は何を使って時間割を管理しているか
- 履修登録で困った経験はあるか
- 課題の提出を忘れたことはあるか
- その問題を解決するために何をしたか
- 有料の管理サービスを使ったことはあるか
話を聞いた結果、困っている人が少なければ、別の問題を探します。
開発せずに販売してみる
問題が確認できたら、システムを作る前に料金を提示します。
たとえば、就活生と学生起業経験者をつなぐ相談サービスなら、フォームで申込みを受け、オンライン会議で相談を実施できます。
予約システムや専用アプリがなくても、最初の売上は作れます。
Web上で人や情報をつなぐサービスを検討している場合は、開発へ進む前に、利用者、収益源、集客、継続利用を整理しておく必要があります。
Webサービス企画の簡易整理フォームでは、現時点の構想を入力すると、集客、収益化、市場性、運用体制などの観点から簡単なフィードバックを受け取れます。
電話番号の入力は不要で、原則としてフィードバックメールが1回送られる形式です。
継続的な営業メールや打ち合わせを希望しない段階でも利用できます。
小さな試作品を作る
手作業で申込みや取引が発生したら、繰り返し行っている作業を試作品へ置き換えます。
最初にシステム化するのは、次のような作業です。
- 同じ情報を何度も入力している
- 条件に合う人を探すのに時間がかかる
- 申込みの確認漏れが起きる
- 利用者自身に情報を更新してもらいたい
- 件数が増えると表計算ソフトでは管理できない
この段階でも、見た目を完璧にする必要はありません。
利用者が目的を達成でき、運営者が管理できる状態を先に作ります。
継続利用と利益を確認する
試作品を公開した後は、登録者数だけで評価しないようにします。
無料登録者が1,000人いても、利用するのが50人で、料金を払う人が5人なら、収益化できる範囲は限られます。
少なくとも、次の数字を毎月確認してください。
- 新規登録者数
- 実際にサービスを使った人数
- 有料利用者数
- 翌月も利用した人数
- 1人当たりの売上
- 顧客獲得に使った費用
- 問い合わせ対応に使った時間
- 売上から経費を引いた利益
登録者数が増えても、継続利用されなければ、集客を続けるほど運営負担が増えます。
必要な段階で法人化する
起業するために、最初から株式会社を設立する必要はありません。
個人で販売や検証を行い、売上が継続してから法人化を検討する方法もあります。
法人化を検討する場面には、次のようなものがあります。
- 法人でなければ契約できない取引先が現れた
- 共同創業者と株式を持ちたい
- 従業員を雇用したい
- 外部から出資を受けたい
- 事業上の責任と個人の財産を分けたい
- 継続的な売上と利益が見込める
会社を作ると、売上がなくても会計、申告、各種手続きなどが発生します。
「学生起業家と名乗りたい」という理由だけで法人化せず、事業上の必要性で判断してください。
学生起業に必要な費用


アプリやWebサービスの起業には、開発費以外にも運営費や集客費がかかります。
費用をまとめて考えず、検証、開発、運営、集客に分けて見積もると、使い過ぎを防げます。
最初に発生する費用を分ける
事業によっては、次のような費用が発生します。
- Webサイトやアプリの開発費
- サーバーやドメインの費用
- デザインや文章作成の外注費
- 広告費
- 決済手数料
- 会計ソフトの利用料
- 法人設立費用
- 契約書や利用規約の確認費用
- 問い合わせ対応を行う人件費
初期費用だけでなく、毎月発生する費用も計算してください。
開発費が安くても、広告費と運営費が毎月10万円かかり、売上が3万円しかなければ継続できません。
借金を前提に始めない
日本政策金融公庫の2025年度調査では、起業した人の32.2%が「起業費用はかからなかった」、29.4%が「50万円未満」と回答しています。
パートタイム起業家では、「費用はかからなかった」が53.2%、「50万円未満」が36.8%でした。学生だけを対象にした数字ではありませんが、小規模な起業では多額の資金が必須とは限らないことが分かります。
学生の場合、安定した収入が少ないため、借入金の返済が生活や学業へ影響しやすくなります。
店舗、在庫、高額なアプリ開発などへ投資する前に、フォーム、SNS、表計算ソフト、オンライン会議などで代用できないか確認してください。
資金調達より売上を優先する
資金調達は成功そのものではありません。
投資家から資金を得ると、短期間で事業を成長させることや、経営状況を説明することが必要になります。
自由に使えるお金が増える一方で、株式や意思決定に関する調整も発生します。
まずは、少額でも顧客から料金を受け取れるか確認してください。
顧客が一人もいない状態で資金調達を目指すより、次の実績がある方が事業を説明しやすくなります。
- 有料利用者がいる
- 継続利用されている
- 問い合わせが増えている
- 一件当たりの利益を計算できる
- 開発すれば削減できる作業が明確になっている
外注する範囲を限定する
プログラミングができない場合でも、開発のすべてを外注する必要はありません。
企画、顧客への聞き取り、掲載情報の収集、営業、問い合わせ対応は、自分で行えます。
外注する場合は、「アプリを一式作ってほしい」と依頼するのではなく、必要な機能を分けます。
たとえば、最初は次の範囲だけを依頼します。
- 会員登録
- 情報登録
- 条件検索
- 問い合わせ
- 運営者用の管理画面
外注範囲を絞れば、費用を抑えられるだけでなく、公開までの期間も短くできます。
アプリの開発方法を選ぶ


需要を確認できたら、事業の規模や必要な機能に合わせて開発方法を選びます。
安さだけで決めず、検証段階なのか、長期運営の段階なのかを基準に比較してください。
ノーコードで検証する
ノーコードツールは、プログラミングをせずにフォーム、会員ページ、データ一覧などを作れる方法です。
次のような段階に向いています。
- まだ有料利用者が少ない
- 必要な機能が固まっていない
- 数週間から数か月だけ試したい
- 運営者が手作業で補える
- 大量の個人情報を扱わない
- 複雑な外部連携がない
仕様変更が多い検証段階では、作り直しやすい点がメリットです。
ただし、利用者やデータが増え、複雑な検索、権限管理、決済、外部システム連携が必要になると、別の構成への移行が必要になることがあります。
オリジナルアプリを開発する
スマートフォン固有の機能がサービスの中心になる場合は、オリジナルアプリの開発を検討します。
たとえば、次のような機能です。
- 位置情報を継続的に使う
- カメラやセンサーと深く連携する
- オフライン環境でも利用する
- 頻繁にプッシュ通知を送る
- 端末上で複雑な処理を行う
一方、検索、比較、予約、応募、問い合わせが中心なら、最初はWebサービスで提供できる場合があります。
「利用者がスマートフォンを使うから」という理由だけで、専用アプリにする必要はありません。
スマートフォンのブラウザで使いやすいWebサービスにすれば、アプリをインストールしてもらう手間を減らせます。
Webサービスとして構築する
求人、口コミ、比較、店舗検索、専門家紹介、マッチングなどは、データベースを持つWebサービスと相性がよい分野です。
一般的には、次のような機能を組み合わせます。
- 会員登録
- 情報の登録・編集
- 条件検索
- お気に入り
- 問い合わせ・応募
- 掲載者用の管理画面
- 運営者用の管理画面
- メール通知
- 決済・請求管理
このようなサービスは、機能数が増えやすいため、すべてをゼロから開発すると費用と期間が大きくなります。
基本機能を持つ構築パッケージを基に、事業に必要な部分をカスタマイズする方法も選択肢になります。
| 開発方法 | 向いている段階 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| フォーム・表計算 | アイデア検証 | 低コストですぐ試せる | 件数が増えると管理が難しい |
| ノーコード | 初期サービス | 短期間で形にできる | 複雑な機能や大規模運営に制約がある |
| 構築パッケージ | 事業化・拡大 | 基本機能を利用して開発できる | パッケージに合わない機能は追加費用がかかる |
| フルスクラッチ | 独自性が高い事業 | 仕様に合わせて自由に作れる | 費用と開発期間が大きくなりやすい |
開発会社へ相談する時期
開発会社へ相談するのは、アイデアが完全に固まった後である必要はありません。
ただし、少なくとも次の内容を説明できる状態にしておくと、具体的な相談ができます。
- 誰が利用するか
- どのような問題を解決するか
- 誰から料金を受け取るか
- 現在はどのように検証しているか
- 最初に必要な機能は何か
- 自分たちで運営できる範囲はどこか
- 公開後にどのように利用者を集めるか
検索、会員、掲載、応募、口コミ、マッチングなどを持つサービスを検討している場合は、セルバのポータルサイト構築・集客支援も、開発方法を比較する材料になります。
セルバでは基本機能を備えた構築パッケージを基に、事業に合わせた機能追加を行っています。
公式ページでは、スタートアップから大企業まで120社以上の支援実績や、会員数30万人、月間売上9億円規模のポータルサイトの開発・運用実績が掲載されています。これらは事業成果を保証する数字ではありませんが、将来の機能追加や運用まで含めて開発会社を選ぶ際の判断材料になります。
検証段階ではフォームやノーコードを使い、利用者と売上が増えた段階で構築パッケージへ移行する進め方もあります。
最初から大規模な開発を依頼するのではなく、自分たちで対応する範囲と外部へ任せる範囲を整理した上で比較してください。
学生起業の撤退基準


起業では、続ける努力だけでなく、やめる条件を先に決めておく必要があります。
撤退は失敗の確定ではなく、残った時間や資金を別の方法へ使うための判断です。
お金を払う顧客が現れない
無料なら使う人がいても、有料になると申込みがなくなることがあります。
料金を下げ続ける前に、次の点を確認します。
- 解決している問題が弱くないか
- 料金を払う人を間違えていないか
- 他の無料手段で十分ではないか
- 顧客へ価値が伝わっているか
- 申込みまでの手順が複雑ではないか
一定期間試しても料金を払う人が現れない場合は、機能追加より、対象者や問題そのものを見直します。
継続利用されない
初月だけ使われ、翌月に利用されないサービスは、毎月新しい利用者を集め続けなければなりません。
退会や利用停止の理由を聞き、改善できる問題か確認します。
「一度使えば目的を達成できるサービス」であれば、月額課金ではなく、単発料金や成果報酬へ変更する方法もあります。
継続利用されないこと自体が悪いのではなく、料金体系と利用頻度が合っているかが問題です。
集客方法が見つからない
良い商品でも、顧客へ知らせる方法がなければ売れません。
SNSで偶然広がることを前提にせず、次のどこから顧客を獲得するか決めます。
- 大学内の団体やサークル
- 既存のSNSアカウント
- 検索エンジン
- Web広告
- 企業への直接営業
- 提携先からの紹介
- イベントやコミュニティ
一人の顧客から得られる利益より、顧客を集める費用の方が高い状態が続くなら、価格、対象者、集客方法のいずれかを変えなければなりません。
学業や生活が崩れている
売上が少し伸びていても、睡眠、授業、生活費が崩れている場合は続け方を見直します。
次の状態が続いているなら、縮小や一時停止も選択肢です。
- 単位を大幅に落としている
- 授業中も問い合わせ対応をしている
- 生活費を事業へ使っている
- 借金で運営費を補っている
- 共同創業者との関係が悪化している
- 体調不良が続いている
- 顧客対応を放置している
事業のために大学生活のすべてを失う前に、作業範囲や投資額を小さくする判断が必要です。
学生起業のよくある質問


学生起業では、休学や法人化、開発スキル、資金調達について迷いやすくなります。
ここでは、起業を始める前に確認しておきたい代表的な疑問へ回答します。
起業するなら休学した方がよい?
アイデア段階や検証段階で、すぐに休学する必要はありません。
まずは授業と両立できる範囲で、顧客への聞き取りや手作業での販売を行います。
休学を検討するのは、たとえば次のような段階です。
- 売上が継続して発生している
- 利用者が増え、平日の対応が必要になった
- 休学中の生活費を確保できる
- 休学期間中に達成する目標が決まっている
- 目標未達の場合に復学する期限を決めている
「時間が増えれば何とかなる」という理由だけで休学すると、検証されていない事業へ使う時間が増えるだけになることがあります。
最初から法人化するべき?
顧客確認や試験販売の段階なら、個人で始められる場合があります。
法人でなければ契約できない、出資を受ける、共同創業者と株式を持つなど、明確な理由が出た段階で法人化を検討してください。
事業内容によって許認可や契約条件が異なるため、必要に応じて行政窓口や専門家へ確認します。
友人と一緒に起業してもよい?
友人との起業自体に問題はありません。
ただし、仲の良さだけで相手を選ばず、役割、作業時間、お金、権利、撤退方法を文章で決めてください。
特に、プログラム、デザイン、顧客情報、SNSアカウントを誰が管理するかは、開始時に明確にします。
プログラミング未経験でもアプリを作れる?
ノーコードツールや外注を利用すれば、プログラミング未経験でも試作品を作ることはできます。
ただし、開発を外部へ依頼する場合でも、次の内容は自分で決めなければなりません。
- 利用者
- 解決する問題
- 収益方法
- 必要な機能
- 運営方法
- 集客方法
- 利用規約や個人情報の扱い
プログラムを書けないことより、何を作るか説明できないことの方が開発を難しくします。
学生でも資金調達できる?
学生でも、融資、出資、補助金、助成金、ビジネスコンテストなどを利用できる場合があります。
ただし、利用条件や審査基準は制度ごとに異なります。返済が必要な資金と、株式を渡す出資も同じではありません。
また、「必ず資金調達できる」「簡単に稼げる」と説明し、高額な支援契約を求める事業者には注意が必要です。
消費者庁も、簡単に稼げるとうたって高額なサポート契約を結ばせる事業者について注意喚起しています。
資金を集めることを目標にせず、何にいくら使い、どの売上で回収するかを説明できる状態にしてください。
まとめ
- 学生起業は、顧客確認をせずに開発や借金を進めると失敗時の損失が大きくなる
- 大学生の起業成功率を示す全国共通の数字はなく、自分なりの成功条件を決める必要がある
- アプリは先に作らず、手作業で販売してから必要な機能だけをシステム化する
学生起業で最初に目指すべきなのは、立派な会社や多機能なアプリを作ることではありません。小さくても、知らない相手から料金を受け取り、もう一度利用してもらえる状態を作ることです。
学業を続けながら試せる範囲から始め、利用者、売上、継続率を確認した上で、休学、法人化、外注開発などの次の判断へ進んでください。







