外国人が利用するインバウンドアプリ|アプリ事例11選と特徴

多くの外国人が観光に訪れ、インバウンド需要が高まっています。
観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によると、2024年には年間3,600万人を超える外国人観光客が来日し、過去最高を更新しています。
2025年も訪日外国人観光客は増加傾向にあり、こうした観光業の活性化の流れで、インバウンド向けアプリも急速に進化しています。
本記事では、訪日外国人に人気のアプリを中心に、どのような情報が求められているかもあわせてご紹介します。
アプリ需要増加の背景
-4.png)
-4.png)
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001884192.pdf
上のグラフは、外国人観光客の日本滞在中の情報収集手段に関する調査結果です。
この調査によると、9割近い訪日外国人がスマートフォンを利用して情報収集を行っていることがわかります。
また、2024年の訪日外国人旅行消費額は8兆1,257億円(観光庁調べ)に達し、過去最高を更新しており、インバウンド市場は、もはや無視できない規模となっています。
どんな情報が求められている?
-1.png)
-1.png)
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001884192.pdf
上のグラフは、滞在中に役立った情報についての調査結果です。
最も多かったのは「交通手段(68.9%)」で、移動に関する情報を積極的に探していることがわかります。
日本は公共交通機関が発達している一方で、路線が複雑で外国人には分かりにくいケースも多いため、情報の需要が非常に高いといえます。
次に多いのが「飲食店(57.9%)」です。
同調査で、訪日前に期待していたこと(複数回答可)を調査したところ、「日本食を食べること」を楽しみにしていた人は82.2%にのぼり、食体験を旅行の主目的にしている人も多く、飲食店に関する情報を求めている人が多いと考えられます。
続いて、「観光施設(37.2%)」「宿泊施設(37.0%)」「買い物場所(33.5%)」といった項目が続き、旅行者が、具体的な行動計画を立てるうえでアプリを活用していることがうかがえます。
また、「無料Wi-Fi(19.0%)」「ATM(10.2%)」「クレジット決済可能店(7.6%)」など、滞在を快適にするための生活インフラ関連の情報も一定数検索されています。
このように、訪日外国人の情報ニーズは「観光地紹介」だけではなく、交通・食・宿泊・買い物・生活サポートまで様々な情報を求めていることがわかっています。
多数の外国人が訪日しているため、それに伴い旅行に関するアプリの需要も高まっています。
ここからは、そんな外国人に人気のアプリをジャンルごとにご紹介します。
ナビゲーション/交通アプリ
Google Maps


- ルート検索:目的地までの経路を、電車・タクシー・自転車・徒歩など複数の移動手段で表示
- 交通情報:乗換案内・料金・所要時間・ホーム番号などをリアルタイムで確認
- 観光支援:飲食店や観光地の口コミ・写真・混雑状況などの観光情報
地図と交通情報、レビュー機能を統合した、直感的に使える総合ナビアプリです。
Japan Travel by NAVITIME


訪日外国人向けに設計されたナビゲーションアプリ。
交通情報はもちろん、ATM・両替所・コインロッカーなど旅行に関する情報に特化した情報を提供します。
画像引用元:株式会社ナビタイムジャパン「Japan Travel by NAVITIME 英語版公式サイト」
- 詳しい交通機関情報:多くの条件でソート可能な検索機能
- 交通機関の種類
- 一日乗車券などのフリーパス利用可否
- 歩く速度、最少乗換、最短歩行距離など細かな条件検索
- 細かな情報提供:ATM・Wi-Fiスポット・コインロッカーなどインフラ関連の便利な情報
旅行に役立つ細かな情報や最適化された情報提供を行う、滞在を快適にするためのナビゲーションアプリです。
モバイルSuica


日本で最も利用されている交通系ICカードである「Suica」をスマートフォン上で利用できるアプリ。
交通だけでなく、コンビニ・飲食店・自販機などの決済手段としても利用ができる電子マネーです。
画像引用元:東日本旅客鉄道株式会社「モバイルSuica 公式サイト」
- スムーズな乗車:スマートフォンをかざすだけで利用可能
- チャージ機能:事前にチャージしておくことで、わざわざ切符を購入する必要がなくなる
- 決済機能:バスやタクシー、コンビニ、自販機の決済手段として利用可能
「モバイルSuica」は、公共交通機関でのスムーズな決済だけでなく、電子マネーとして幅広い店舗や施設で利用可能な交通系電子マネーアプリです。
翻訳サポートアプリ
google 翻訳


- 多言語対応:200以上の言語1を翻訳する多言語対応(2025年11月時点)
- リアルタイム会話:言葉をリアルタイムで翻訳表示する会話機能
- カメラ翻訳:カメラをかざすだけで看板やメニューを翻訳
テキスト翻訳に加えて、音声会話やカメラを用いたリアルタイム翻訳にも対応しており、言語の壁を感じさせないスムーズなコミュニケーションを実現しています。
Google Lens


- 画像検索:建物・ランドマーク・風景を撮影することで、場所の特定と解説の表示
- 商品検索:バーコードを読み取り商品を検索
- 翻訳機能:文字を自動検出して翻訳を行う機能
建物や看板といった「文字以外の情報」を理解できる画像検索アプリです。
直感的で操作しやすく、カメラを向けるだけで対象物の情報をすぐに調べることができます。
Payke(ペイク)


- 商品の検索・翻訳機能:化粧品・医薬品・食品・日用品など商品に特化した機能
- 高い正確性:メーカーが提供している情報を正確に翻訳
- 成分表示:商品の成分を表示し、専門用語を正しく翻訳
「Payke」は、商品をただ検索するのではなく「正しく理解する」ための翻訳アプリです。
バーコードを読み取るだけで、成分や使い方を母国語で確認できるため、安心して商品を選ぶことができます。
食事体験アプリ
食べログ


- 豊富な情報量:88万店舗2にのぼる豊富な情報
- 日本人も多く利用しているため、現地で評価の高い飲食店を探すことができる
- 月間9,400万人が利用する大規模サイトならではの、豊富な口コミ
- 検索機能:エリアやジャンル、予算などの条件から検索
- 予約機能:アプリやWeb上から電話なしで予約
豊富な店舗情報と口コミにより、信頼性の高い飲食店を探せる検索サービスです。
ただし、アプリ版は日本語のみ対応のため、インバウンド向けには多言語に対応したWeb版の食べログを推奨しています。
HappyCow(ハッピーカウ)
- 色カテゴリーごとの色分け:店舗の提供スタイルにより以下のような色分けがされている
- 緑 ヴィーガン:肉・魚・卵・乳製品・蜂蜜など、動物由来の食材を一切使っていない店舗
- 紫 ベジタリアン :肉や魚は使用していないが、卵・乳・はちみつなどが含まれている店舗
- 赤 ベジタリアン可:メニューの中に、ヴィーガン/ベジタリアン向け料理を一部提供している店舗
- 飲食店以外の店舗情報:有機農法やヴィーガン製品を使用したコーヒーショップや食品を提供する店舗
- 地図・口コミ機能:地図、口コミ、写真などの情報が記載されている
「HappyCow」は、世界中で利用されているヴィーガン・ベジタリアン向けの飲食店検索アプリです。対応レストランやカフェ、健康志向のショップを地図から探すことができ、海外旅行者に人気があります。
ただし、地方エリアではヴィーガン対応の飲食店が少なく、選択肢が限られる点に注意が必要です。
決済/予約アプリ
Wise(ワイズ)


海外から日本円への送金・決済を低手数料・リアルタイムレートで行う国際送金アプリ。
銀行送金よりも安く、早く、分かりやすい料金体系で多くの人に支持されています。
画像引用元:Wise「日本版公式サイト」
- 低価格な手数料:独自の送金システムと為替レートでの海外送金により手数料がかなり低い
- 透明性のある設計:送金前に手数料と為替レート表示し、高い透明性を持っている
- デビットカード機能:Wiseが発行したデビットカードを利用することで、最小限の手数料で支払いと引き出しが可能になります。
Wiseは、従来の銀行送金やクレジットカードに比べ、圧倒的に安い手数料で利用できる決済サービスです。
為替レートや手数料が表示されため、取引内容を明確に把握できる高い透明性を備えています。
Klool(クルック)


- 豊富な決済手段:42の通貨、クレジットカード、Apple Pay、Google Payなど多くの決済手段を備えている
- 幅広いジャンル:交通手段、アクティビティ、テーマパーク、文化体験などジャンルを問わない予約機能
「Klook」は、旅行に関する交通・宿泊・観光の予約を一つのアプリで管理できる、ワンストップ型の予約サービスです。
移動や体験、チケットなどの予約・購入をまとめて行えるため、旅行計画をスムーズに進めることができます。
防災アプリ
Safety tips(セーフティチップス)


- 多言語対応:15の言語に対応(英・中・韓など)
- 通知機能:緊急地震速報・津波警報・避難情報のプッシュ通知
- 豊富な情報:医療機関、避難所、緊急連絡先などの情報を提供
「Safety tips」は、観光庁が提供する訪日外国人向けの多言語防災情報アプリです。
災害が多いことで知られる日本において、防災アプリの需要は高く、政府公式アプリとしての高い信頼性と安心感が、多くの旅行者から支持されています。
まとめ
日本を訪れる外国人観光客が急増しており、2024年には過去最高となる年間3,600万人を突破。
2025年も外国人観光客は増加傾向にあり、インバウンド(訪日外国人旅行)市場の規模も大きくなっています。
多くの旅行者がスマートフォンを主要な情報源として活用しており、交通・観光・飲食・宿泊・決済・防災など幅広い情報が求められています。
こうした背景により、外国人観光客に情報を提供するインバウンド向けアプリの需要は、現在も高まっていると言えるでしょう。
自治体や企業は、こうした旅行者のニーズを的確に捉え、アプリを含めたデジタルサービスの導入と強化が求められています。
- 出典:Google 翻訳 公式サイトhttps://translate.google.com/?hl=ja&tab=TT&sl=en&tl=ja&op=translate ↩︎
- 出展:株式会社カカクコム「食べログ 店舗会員登録ページ」https://owner.tabelog.com/home/registration/ ↩︎
- 出展:HappyCow「Vegan & Vegetarian Restaurants in Japan」https://www.happycow.net/asia/japan/ ↩︎


