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「広報は経営そのもの。中小企業が自分たちの手で広報をできるようになってほしい」——そう語るのは、中小企業向けに「広報の内製化」を支援する株式会社ネタもと 代表取締役社長の本村衆さんです。学生時代に起業し、セールスプロモーション事業や飲食店経営など数々の挑戦と失敗を経て、2000年に現在の広報支援ビジネスへとたどり着いた本村さん。会社設立から26年目を迎える今、事業にかける思いと、これからのキャリアに悩む読者へのメッセージを伺いました。

本村 衆さん
株式会社ネタもと 代表取締役社長。学生時代の19歳で起業し、セールスプロモーション事業をスタート。新規事業として飲食店(水餃子業態)の直営展開に挑戦するも撤退。その後、中小企業向けの広報支援事業に着手し、2000年に法人化。旧社名「リアライズ」から「ネタもと」へ社名変更し、現在は設立26年目を迎える。著書に中小企業経営者向けの広報・経営戦略に関する書籍がある。
ーまず、御社がどんな会社か教えてください。
簡単に言うと、中小企業向けの広報の「学校」ビジネスです。ノウハウを学んでいただき、自分たちで広報活動ができるように、いわゆる「内製化」していただくことをコンセプトにしています。ほとんどの中小企業には広報部も専属担当者もいません。であれば、トップが兼務でもいいので広報を担当する人を1人、場合によっては2〜3人のセクションとして決めていただき、私たちがその方を育てさせていただく。それが私たちのビジネスモデルです。
ー会社としては何年目になりますか?
2000年に法人化し、今年11月で26年目に入ります。四半世紀を超えて、中小企業の広報支援という領域を続けてきました。
ー他社との違いやアピールポイントはどんな点ですか?
いろいろなPR会社がありますが、基本的にはクライアント企業の広報業務を代行し、メディア露出をゴールにしているところがほとんどです。私たちは「広報の学校」というビジネスモデルなので、ゴールはあくまで「内製化」です。自分たちでできるようになれば、私どもと契約する必要はなくなります。有名な近江商人の「三方良し」ではないですが、売り手良し、買い手良し、世間良しという状態を目指したいんです。
また、広報セクションはメディアに対する営業セクションでもあります。代行としてPR会社が動くのではなく、その会社のことを一番よく分かっている社員自身が直接アプローチしたほうが、説得力があるんですよね。「内製化」を掲げている会社は他にないので、そこが一番の強みだと思っています。
なぜ他社は「内製化」に力を入れないのか?
内製化が進めば、当然その企業との契約は終わります。それでも本村さんが内製化にこだわるのは、日本企業の99.7%は中小企業という圧倒的なマーケットの大きさがあるから。「卒業」してもらっても、それだけ市場が広がっている。加えて自社の営業力の強さも、新たな顧客開拓を支える強みだといいます。
ー設立の経緯について教えてください。
学生時代の19歳で起業し、当初はセールスプロモーション事業を行っていました。お客様にヒアリングをして、どうやって商品を売っていくかをプランニングし、展示会などを企画・実施する仕事です。
ただ、セールスプロモーション事業には明確な「商品」がなく、育てた社員が辞めるとお客様も一緒に離れてしまう、今年ある仕事が来年もあるかは分からない、という不安定さがありました。仕組みで会社を伸ばしたいと考え、新規事業として水餃子の飲食店を直営で5店舗ほど展開したんです。そこからフランチャイズ展開も考えていたのですが、これが大失敗。事業からは撤退しました。
ーそこから今のPRプラットフォーム事業に至った経緯は?
当時、広報と言われる領域はほとんど大手企業だけのものでした。でも本当に広報が必要なのは中小企業だと感じたんです。中小企業には広報の体制がなく、自分たちでできるようになるためのビジネスモデルもなかった。だからこそ、これはいけるという確信があり、セールスプロモーション事業は他社に譲渡し、今のPRプラットフォーム事業一本に絞りました。
ーこれまでで特に大変だったエピソードはありますか?
PRプラットフォーム事業を始めた当初、月額は8万円ほどでした。金額は安いのですが、当時の旧社名は「リアライズ」。この無名の会社が、それまで大手企業だけのものだったPRの世界に営業をかけていくのは簡単ではありませんでした。PR業界は広報担当者とメディアが個人的に繋がっている、いわば「記者クラブ」のような閉じた世界だったので、そこへの理解を得るのが大変でしたね。
もうひとつは、そもそも「PR」の意味を理解している方がほとんどいなかったこと。PRはパブリックリレーションズ、一言で言えば「共感者づくり・ファンづくり」です。でも多くの方は宣伝広告(アドバタイジング)だと思っている。意味が全く違うのに、そこを理解していただいてからでないと契約にはつながりません。この土台づくりが一番大変だったところだと思います。
ーサービス内容について教えてください。
契約はすべてBtoB、つまり1企業単位でのご契約になります。より手厚いサポートをご希望の企業様には、ベースとなるプランに加え、家庭教師のように個別に伴走するオプションプランもご用意。企業ごとに広報の現状や課題は異なるので、状況に応じて最適な形をご提案するようにしています。
大切にしているのは、金額の大小以上に「内製化」というゴールに向けてしっかり伴走できるかどうかです。私たちが代わりにメディア対応をするのではなく、企業の担当者ご自身が広報スキルを身につけ、自走できるようになることを目指しています。
また、「卒業」後も関係が完全に途切れるわけではなく、卒業後を見据えたフォロープランもご用意しています。内製化がゴールとはいえ、担当者の異動や体制変更などのタイミングで再びサポートが必要になるケースもあるため、そうした企業様にも対応できるようにしています。

ー社内のコミュニケーションで意識していることはありますか?
少し大きな話になりますが、私は「経営とは宗教だ」と考えています。いかに「信者」を広げるか、ということです。危険な会社に聞こえるかもしれませんが(笑)、弊社には「ネタもとライフブック」という、会社の考え方や経営理念をまとめた冊子があります。
ポイントは、「会社のために働くのではなく、自分の人生を豊かにするために仕事をする」という考え方です。プライベートも含めて目的を持ち、成長意欲がある方だけの集団にしたい。だからこそ、この考え方に賛同できない方は、そもそも採用しないというのが大前提としてあります。
ー社員にはどのように成長していってほしいですか?
「全員営業、全員採用、全員広報、全員経営者感覚」を持ってもらうことに力を入れています。会社の看板がなくても生きていける人間になってほしい、というメッセージです。そのために経営感覚や営業力、広報力といったスキルが必要になると考えています。
ー採用ではどんな点を重視していますか?

ネタもとライフブックに書かれている考え方に共感できるかどうかが大前提です。新卒の会社説明会では、私自身のビデオメッセージを20分ほど流していて、その中で「この考え方に共感しない方は面接に来ないでください」とはっきり伝えています。選考でも個人の主観ではなく、共感度を測る質問内容を用意し、定量的な評価で判断したうえで、最終的には私が見て決めています。
もうひとつの特徴は、ネタもとライフブックの考え方を浸透させるための超礼を毎朝行っていることです。実はこの超礼、社員だけでなく毎月50〜80人ほどの経営者の方も見学に来られます。
弊社では全社員参加の朝礼『超礼』を実施しており、目的は「会社の理念浸透」「学びの共有」「プレゼン力の向上」になります。
進行は以下の流れで行っています。
①各部共有事項(成果・成功事例の共有)
②パーパス達成に向けた数字進捗の共有
③司会による3分間プレゼン
④フィードバック
⑤ミッション・ビジョン・行動指針の唱和
社員の当事者意識や発信力が育まれ、実際に弊社でも定着率や業績の向上につながっています。
今は新卒・中途の選考過程でもこの超礼を実際に見ていただくのですが、他社の超礼と比べても非常にテンションが高いようで、それを見て辞退する中途の方も少なくありません。でも、それでいいと思っています。入社してから「合わない」と気づくよりも、入る前に気づいてもらったほうがお互いのためですから。

ー福利厚生や社員から評判の制度はありますか?
福利厚生の前に、まず分かりやすいのは報酬だと思います。弊社は女性比率が75%、平均年齢は26.5歳ほどです。社員の平均年収は昨年で700万円ほど、今年は800万円ほどになる見込みです。一般的な中小企業と比べると、かなり高水準だと思います。しっかり儲かる仕組みをつくり、その利益を社員にも還元することを大切にしています。
ー社内でAIは積極的に取り入れていますか?
取り入れている部分はありますが、まだまだこれからだと思っています。前提として、「社員にしかできないこと」と「社外・AIでもできること」を明確に分けるようにしています。例えば営業活動では、以前は主婦の方などにアポイント取得の電話をお願いしていた時代がありましたが、今はAIによるコール発信の仕組みを導入したり、私自身のクローンがお客様の商材に関する質問に答えたりする仕組みも取り入れています。
社内的にも、AIでできることは作業効率化につなげるためにさまざまな取り組みを進めている最中です。AIがもっと使えるようになれば、社員数をそこまで増やさなくても事業は回るかもしれません。だからこそ社員には、AIを使いこなす前提として、それを正しく判断できるビジネス感覚を持ってほしいと伝えています。これはネタもとに限らず、これからどの会社でも求められる人材像だと思います。

ー今後の展望を教えてください。
AIをどう活用するかは、あくまで手段の話です。もっと大きな話として、私たちは広報・PRという領域から、超礼を活用した社員教育や、社長がどう社員にメッセージを伝えるか、あるいはホームページの見せ方まで、PR以外の領域の仕事の相談を受けることが本当に増えています。
この領域を、私たちは「コミュニケーションデザイン」と呼んでいます。広報があり、PRがあり、それをもっと包括するのがコミュニケーションデザイン。私たちの定義では「企業におけるコミュニケーションを戦略的な経営判断として設計すること」です。
PRはやるかやらないかという経営の傍流の話ではなく、PR=経営そのものだと考えています。経営戦略の中にしっかりPR戦略を組み込めば、企業は成長します。日本企業の99.7%は中小企業なので、その中小企業が成長して元気になれば、日本全体が元気になる。そこに社会的な意義がある事業だと思っていて、これからもこの領域を広げていきたいと考えています。
ー出版された書籍「経営にPRを 経営者の広報は「社員のファンづくり」から」について、簡単に教えてください。
これまでの広報関連の書籍は、あくまで広報「担当者」向けのものがほとんどでした。私の本は、まさに中小企業の「経営者」向けの一冊です。経営戦略の中にPR戦略をしっかり取り入れれば会社は成長する、という内容で、ある意味「経営の本棚」に並ぶような本を目指しました。そこが、これまでの広報本と大きく違う点だと思っています。
経営にPRを 経営者の広報は「社員のファンづくり」から
本村 衆 (著) 形式: 単行本(ソフトカバー)
ー最後に、転職やキャリアに悩む20〜40代の読者へメッセージをお願いします。
若い方に限らず、40代の方でもまだまだ成長できると思っています。人生100年時代だからこそ、自分自身がしっかりした軸を持てるかどうかが重要です。
これはビジネスだけでなく、プライベートから考えるとイメージしやすいと思います。どういう人生を送りたいか、そのためにどういう働き方をすればいいか。そこにお金は切っても切り離せないものです。だからこそ、先ほどお伝えした仕事の実力や人間力を身につけなければ、稼ぐことはできません。そういう志を持って人生を歩んでいくことが、一番重要なのではないかと思っています。
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キャリアクラフトは大阪・東京を拠点に20年、人材事業やシステム開発を行ってきたセルバが運営する「新しい働き方を創るメディア」です。
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