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「AIがあらゆる作業を行う時代に、自分はどこで価値を発揮すればいいのか」——そんな不安を抱えるすべての働き手に向けて、真っ向から答えを出している経営者がいます。函館に本社を置く株式会社ラルズネット代表取締役社長・鈴木太郎さんです。コロナ禍の真っ只中に2代目社長へ就任し、「脱レガシー」「AIファースト」を掲げて地方IT企業を変革し続けてきました。2026年には東京大学松尾研究室AI経営講座を修了し、プレジデント社より書籍出版も予定。地方から、人の暮らしと働きを豊かにすることをパーパスに掲げる鈴木さんに、会社の魅力から求める人材像、AI時代を生き抜くための哲学まで、余すことなく語っていただきました。

鈴木 太郎さん
株式会社ラルズネット 代表取締役社長。函館市出身。2006年明治大学卒業。宅建士資格を取得し、野村不動産ソリューションズ(株)入社。不動産仲介(法人営業)に携わる。その後、学習塾の教室運営・講師業を経て2010年当社入社。営業部にて制作事業の売上を3倍にリード。2014年同社常務取締役就任。営業、商品企画、経営戦略を担当。2020年から現職。2026年、東京大学松尾研究室AI経営講座修了。「人口爆縮時代の中小企業経営」をテーマに、経営者向けセミナーで講師を多数務める。登壇実績に、賃貸住宅業界最大のイベント「賃貸住宅フェア」、宅建協会函館支部、IREM JAPAN北海道支部主催セミナーなど。近日、同テーマの書籍をプレジデント社より出版予定。
ー会社概要を教えてください。
函館に本社を置く、地方の不動産会社様の「集客・効率化・組織化」を支援するIT企業です。主力は地域密着型の不動産ポータルサイト『不動産連合隊』で、運営25年、全国約1,000社もの不動産会社様にご参加いただいています。

加えて、不動産会社様向け業務支援システム『ラルズマネージャー』、不動産会社専門のホームページ制作を行っており、創業以来、延べ3,400社以上を支援してきました。拠点は函館本社、札幌、東京の3か所です。パーパスは「地方から、人の暮らしと働きを豊かにする」、ミッションは「地方の不動産会社の生産性を倍増させる」です。
ー他社との違いを教えてください。
一言でいえば「地域特化」です。全国一律ではなく、地域ごとに不動産会社様が集まって街全体を盛り上げる。その想いが『不動産連合隊』という名前の由来です。大手ポータルでは埋もれてしまう地方の会社様が、適切な予算で最大の効果を出せることが強みです。
株式会社ラルズネットの主な事業領域
地域密着型不動産ポータルサイト『不動産連合隊』(運営25年・全国約1,000社参加)/不動産会社向け業務支援システム『ラルズマネージャー』/不動産会社専門ホームページ制作。函館本社・札幌・東京の3拠点。創業以来延べ3,400社以上を支援。
ー社長就任からこれまでの流れを教えてください。
私が社長に就任したのは2020年、コロナ禍の真っ只中です。組織拡大で表面化していたトップダウンの限界や業務の属人化に向き合うため、新規採用を一旦ストップし、マネジメント層の育成に着手しました。次に「脱レガシー」(古いシステムや慣習を全面的に見直す取り組み)を掲げ、社内制度・業務フローを見直し、主力商品の『不動産連合隊』『ラルズマネージャー』を全面的に作り直しました。2025年5月には「AIファーストな企業になる」と宣言し、2026年に社長直轄の「AX推進室」を新設しています。
ー大変だったエピソードを教えてください。
やはりコロナ禍での社長就任です。「最優先事項を一つだけ選ぶなら何か」と考え、「今いる社員とお客様を徹底的に守る」と決めました。加盟店様には集客に使える広告ポイントを無償提供し、Zoom練習会を開いてWebカメラも無料で配布しました。当社の広告売上は一時減りましたが、長年支えてくださった加盟店様の支援が先決でした。社員には、高騰していたマスクを100万円分購入して家族分まで配り、万一感染しても療養中の給与を全額支給すると決めました。
正直、会社が持ちこたえられるのか不安で、胃潰瘍にもなりました。それでも覚悟を決められたのは、会長からもらった「人の本当の姿は危機下で見える。リーダーはいざというときに頼りにならなければ、一気に信用を失う」という言葉があったからです。平時に立派なことを言っていても、危機で逃げればすべて嘘になる。今も私の指針です。社員の尽力とお客様のご支援のおかげで、最小限の損害で乗り越えられました。感謝しかありません。
あと、もう一つあげるなら「脱レガシー」への取り組みです。創業から20年以上が経ち、システムも古く限界が近づいていた頃、若手エンジニアから「お客様が使う基幹システムをゼロから作り直しませんか。今はよくても将来困ると思います」と提言を受けたことがきっかけでした。どのくらいかかるのか試算したら、少なく見積もっても3年以上、莫大なコストと人員がかかることがわかりました。一方、目の前には売上に直結する案件が山積み。未来を取るか、短期の売上を取るか、悩んだ末にすべてゼロから作り直す道を選びました。そこからは泥臭い数年間でしたが、今では動作スピードが3倍になり、保守もしやすくなり、新機能のリリースペースが格段に上がりました。
ーコミュニケーションで意識していることや、チームの価値観・行動指針を教えてください。
モチベーションを無理に上げようとすることと、お世辞で褒めることはしないと決めています。良し悪しの評価も、褒めるも叱るも、お客様からいただくものだからです。もし私に褒められたと感じた人がいるなら、それは本当にお客様のために良いと思ったから、素直にその事実を伝えただけです。スタッフには「上司の顔色ではなく、お客様の方を向いてほしい」と伝えています。実際、入社後に一番成長しているのは、サービスを良くしたい一心で、お客様だけを見て没頭している人です。
当社が判断軸にしているのは次の4つです。
ラルズネットの4つの判断軸
① 顧客起点
仕事はお客様からしか生まれない。全体会議では毎週「お客様の声」を共有
② 価値創造
価値とは課題の裏返し。相手の悩みへの解決策を形にするまでが仕事
③ AI前提
仕事を1〜10の工程とすると、入口の1(顧客理解・企画設計)と出口の10(最終チェック・意思決定)は人、2〜9の「作業」はAIが担う
④ 誰でもできる化
ベテランのノウハウを仕組み化し、誰でも動ける体制に。言語化された業務はそのままAIにも任せられる
ー北海道新聞社様の取材で高く評価された、AI活用の取り組みを教えてください。
2025年5月のAIファースト宣言以来、全部署が当たり前にAIを使う文化になりました。営業では全国約1,000社の顧客データをAIに取り込み、商談準備が1時間から15分に。Web制作のイメージボード作成は4時間が20分に、法務の契約書チェックは3時間が15分になりました。
最近つくったのが「上流工程AI」です。お客様のお困りごとを聞いた打ち合わせの音声に少し情報を足すだけで、モックアップ、要件定義、競合調査、差別化ポイント、告知文、サムネイル画像まで一気に出てきます。課題と解決策が言語化されるので、営業・開発・マーケが同じ前提で動けるようになりました。
労働生産性は前年比約130%に向上しています。目指すのは、退勤時に業務をAIエージェントに引き継ぎ、翌朝AIから報告を受け取る、人とAIの協働組織です。ミッションに掲げる「生産性倍増」を、まず当社自身が体現していきます。
ラルズネットのAI活用による業務効率化実績
① 商談準備:1時間 → 15分
② Webサイト制作イメージボード作成:4時間 → 20分
③ 契約書リーガルチェック:3時間 → 15分
④ 商談後報告書:AIが自動作成・改善点まで抽出
⑤ 上流工程AI(自社開発):打ち合わせ音声からモックアップ・要件定義・競合調査・告知文・サムネイルまで一気通貫で出力
ーAI活用で大切なマインドは何ですか?
メタ思考、好奇心、即やってみる姿勢の3つです。
メタ思考とは、目の前の作業を一段上から眺めて「そもそも何のための仕事か」「主目的を達成する、まったく別のアプローチはないか」と問い直すこと。たとえば、作業を速くするより、作業そのものをなくすほうが重要です。そして、どれだけ便利なAIが出ても、好奇心がなければ情報を取りに行かないし、すぐ使わなければ効果を肌で感じられません。
ー社員へのAI活用の浸透はどのようにしていますか?
ー社員へのAI活用の浸透はどのようにしていますか?
まず、私自身がほぼすべての業務でAIを使っていることです。いくら社員に「AIを使おう」と号令をかけても、肝心の社長本人が口だけなのであれば、これほど説得力に欠けることはありません。まずは自分が誰よりも活用している姿を見せる。次に、評価制度にAI活用を明記しました。AIは大事だと伝え、皆が頷いても、それだけで組織が変わることはありません。AIを活用し、生産性向上に貢献した人がしっかり報われることが重要です。
一方で、使い方を手取り足取り教えることはしていません。もちろん社内のAI活用で良い事例があればシェアしますし、SNSに出ている使い方も含め役立ちそうな情報があれば共有します。しかし、AIの学習においては、何よりもまず自分の手で触ってみることが大事です。今の子どもたちは、やり方が分からなくても「なんとかして」とAIに伝えて、好みの動画や音楽をつくってしまいます。大人は理解してから進めがちですが、AIの進化スピードは早すぎて、理解する前に次のバージョンが来てしまう。すぐ触ることがAI時代の最善の学び方だと思っています。
ーどんな人材を求めていますか?
好奇心が強い人、想像力が豊かな人、即行動に移す人、そしてコミュニケーション力がある人です。想像力とは、お客様が言葉にしていない困りごとまで想像できる力のことです。コミュニケーション力は、AI時代にこそ重要です。人に分かりやすく説明できない人は、AIにも説明できません。これからは、人と人、組織とAIをつなぐ結節点になれる人材が求められると思います。
ー社員はどんなキャリアを描けますか?
「AI時代に価値を発揮できる人」になれます。当社では営業もデザイナーもエンジニアも、職種に関係なく直接お客様の話を聞き、その声から即座にモック(試作品)をつくって、触っていただきながら高速で改良します。ここで身につくのは、現場の一次情報を自ら取りに行き、お客様の課題を解決するプロダクトをつくる力です。AIはその手段にすぎません。AI時代こそ、AIの使い方よりも、現場の生の情報を獲得し、価値に変換する力が求められます。当社でプロダクトをつくれば、その意味を肌で感じることができると思います。
ー福利厚生や働き方について教えてください。
年間休暇は130日超で、夏季・年末年始は9〜10連休。有給休暇は全社員が取得しています。プロダクト部はフルリモートが可能で、札幌・函館・埼玉・長野・神戸など各地から参加しています。残業ペースはシステムが把握して事前にアラートを出すので、オーバーワークも防げます。
特に喜ばれているのは3つです。一つ目は奨学金返還支援制度で、勤続10年目までは毎月1万円、11年目以降は返済額の全額を会社が負担し、上限はありません。これは話題になり、文部科学省をはじめ、各メディアから取材が来ました。

二つ目は学びへの投資で、書籍・セミナー費用の会社負担や資格受験料の還付もあります。当社は、自ら学ぶ人にどんどん投資するという文化が根付いています。
三つ目は独自の健康診断プログラムで、通常の健康診断に加え、私自身が実践して意味があると感じた検査を会社負担で追加しています。35歳以上の社員は、血糖値センサー配布、胃カメラ・ピロリ菌検査、大腸カメラなどを任意で受けられます。
各種制度以外では、やはりベースとして、休みの取りやすさと、残業の少なさ、フルリモート勤務で時差出勤までできるという働きやすさが大きいのかなと思っています。
ラルズネットの主な福利厚生・制度
年間休暇130日超(夏季・年末年始9〜10連休)/有給休暇全社員取得/フルリモート勤務可(プロダクト部)/時差出勤/奨学金返還支援(上限なし)/書籍・セミナー費用会社負担/資格受験料最大5万円還付/独自の健康診断プログラム(血糖値センサー・胃カメラ・大腸カメラ等)/保育料半額補助(最大月3万円)/勤続10年ごとの表彰(10万円進呈)/本社内に無料自動販売機/交通費全額支給/退職金制度
ー社内交流の工夫を教えてください。
当社はリモートワークが多く、皆、全国に散らばって働いているので、Zoomを常時つないでいます。そのため、一人で働いている感覚にならず、いつでも相談できる。むしろオフィスに通うよりもコミュニケーションが増えたという人までいます。会議は「Zoomの何番の部屋に集まろう」といったかんじで行われたり、各部署専用のルームがあったりと、まるでオンライン上にオフィスがあるイメージです。あまり意味はないかもしれませんが、社長室もあります(笑)
各部署のマネージャーとの1on1面談では、目標や課題だけでなく、要望や悩みもざっくばらんに話せます。ほかにも年1回の社長賞・年間MVP賞、社内飲み会の費用負担、誕生日プレゼントなどがあります。
ー今後のビジョンを教えてください。
日本は2050年までに人口の約5分の1が減り、働き手は3割以上減る「人口爆縮時代」に入ります。この状況で中小企業が生き残る道は、生産性の飛躍的な向上しかありません。自社で実践したAI活用のノウハウをモデルケースとしてお客様に示し、マーケティング・業務効率化・組織づくりの3領域で、少ない人数でもこれまで以上の成果を出せる製品・サービスを提供していきます。
ー普段の生活で意識していることは何ですか?
月並みですが、健康管理です。健康は「社員と家族を守るための仕事」と割り切っています。糖質を控え、昼はサラダと肉、夜は野菜鍋と魚。14時以降はカフェインを取らない、朝は日光を浴びる、寝る2時間前に湯船に浸かる、寝る前はスマホではなく本を読む、というルールです。息抜きは週2回のテニス、月1回のゴルフ、週1回の温泉。今年から東京と函館の二拠点生活を始め、地元・函館の湯の川温泉街で温泉開拓を楽しんでいます。
ー70本以上の社長ブログ(ラルズレター)を書き続けてきた理由は?
コロナ禍で社長に就任した当時、近所のスポーツジムや飲食店のスタッフが「この店も来月どうなるか分からない」と不安を口にしていて、客の私まで心配になりました。トップが情報発信をしなければ、社員やお客様にまで不安が広がる。そう確信して、就任直後に顧客向け会報誌「ラルズレター」を書き始め、社長ブログとしても発信を続けてきました。あれから6年が経ち、出した数は70本以上になりますが、今でも思いは変わりません。すべてのステークホルダーに向けて、私の考えや、スタッフの取り組みなど、自社のありのままの姿を届けることで、少しでも当社のことを知ってもらえればという気持ちで書いています。
ー好奇心の原点はどこにありますか?
子どものころはファミコンやスーパーファミコンのロールプレイングゲームに熱中しました。「この扉を開けたら違う世界に行けるんじゃないか」「この世界の外側に、とてつもなく大きな世界が広がっているんじゃないか」。そのワクワク感が原点かもしれません。日常の中の非日常を見つけるのが今も好きで、20代のころは伊豆大島に一人で行き、写真を撮ったり小説を書いたりしていました。休日は宇宙や人類史の本を読み、AIともよく会話します。散歩中に、街のマンションを見上げながら「人はいつから空中に住むようになったの?」とか、素朴な疑問を気兼ねなく訊けるのが楽しいんです。物事の起源とこれからの未来を考える癖が、仕事にも役立っている気がします。
ー最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
「AIがあらゆる業務を行う時代に、自分はどこで価値を発揮すればいいのか」と不安に感じている人は多いと思います。それは、机の上だけで考えているからです。
需要は必ず人間から生まれます。AI時代こそ、現場に出て、お客様の話を聞き、困りごとを貪欲につかみに行く。業界の商習慣、横のつながりやしがらみ、ベテランが無意識に手を動かす順番。そうした一次情報は検索しても出てこない、AIでは埋められない最後のピースです。それを拾えるかどうかが、これからの命運を分けます。
そして現在進行中であるAI革命の次にも、必ず新しいルールチェンジは来ます。そのたびに昨日までの常識を捨て、ゼロベースで考え直してすぐ動けるか。本当に身につけるべきは固有の技術ではなく「変化への適応力」です。ラルズネットは、どんな状況にも適応できる力が身につく会社でありたいと考えています。当社・スタッフ・お客様の三者が刺激を与え合いながら、ともに成長していける関係を築いていきたいと思います。
好奇心旺盛なリーダーのもとで、あなたもAI時代のキャリアを切り拓いてみませんか。
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異業種に転職された方、フリーターから正社員になられた方、ブランクから復帰された方、未経験からフルリモートの仕事に就かれた方など、様々なキャリアの方をお待ちしています!
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