手間を惜しまず社員1人1人にインタビューする「パーソナルブランドブック」。つむぎ株式会社・前田亮氏が語る、葬祭業界のHR支援と「やりがい」を軸にした組織づくり

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「1人1人が、自分の価値観をどれだけ言語化できるかがやりがいにつながる」——そう語るのは、葬祭業界に特化してHR支援を手がけるつむぎ株式会社の代表・前田亮さんです。2020年の創業以来、理念設計から組織開発までを支援するHRブランディング事業と、社員1人1人にインタビューを重ねて「パーソナルブランドブック」を作成するブランディング事業の両輪で、個人と組織をつなぐ会社づくりを続けてきました。前職での「組織崩壊」という経験から生まれたその原点、そして求める人材像やこれからのキャリアに必要な姿勢について伺いました。

目次

プロフィール紹介

前田 亮さん
つむぎ株式会社 代表取締役。前職での組織崩壊の経験をきっかけに、「働く時間をやりがいのある時間に」という思いのもと2020年1月に創業。葬祭業界に特化したHRブランディング事業と、社員1人1人のパーソナルブランディング事業を展開する。

2020年設立、葬祭業界に特化 ── つむぎ株式会社とは

葬祭業界のお客様に対して、理念を軸とした会社作りをお手伝いしている会社です。事業としては大きく2つあります。1つは「HRブランディング事業」で、理念の設計から組織開発、採用・教育・評価までをコンサルティング的にサポートする事業です。もう1つは、社員1人1人のブランディングをサポートする「カケハシ事業」。社員1人1人の思いを言語化することを通じて、こちらも組織作り・組織開発に貢献するということをやっています。

つむぎ株式会社の主な事業領域

葬祭業界の企業向けに、理念設計・組織開発・採用/教育/評価を支援するHRブランディング事業と、社員1人1人にインタビューを行い「パーソナルブランドブック」を作成するカケハシ事業を展開。個人と組織の両面から、理念を軸とした会社づくりをサポートしています。

弊社は「働くがやりがいに、そして人生を幸せに」というメッセージを掲げているのですが、これ自体、私自身の経験がきっかけになっています。前職の時に、組織崩壊のような経験を私自身も体験しました。その中で、働く時間に対してすごく苦しい思いをした時期があったんです。

そういう経験を自分自身がしながら、やっぱりすごくしんどかったので、そういう人を1人でも減らしたいなと。せっかく働くなら生き生きとやりがいを持って働けるような時間にしたいと思って、そういう会社作りを支援するために、今のこの「つむぎ」という会社を作ったのです。

業界を絞り、個人と組織の両輪でアプローチする

大きな観点で言うと、HRコンサルティングという業態は多くあると思っています。ただ、業界を葬祭業界に絞ってやっているところまで細かくやっているところはないかなと思います。これは業界の理解を深めるという意味合いと、弊社はお客様にかなり寄り添ったサポートをするので、そのために業種をかなりグッと絞っているというのがあります。

もう1つ、通常のHRコンサルティング会社と違うのは、弊社は未来を起点とした逆算式のコンサルティングをしつつ、もう一方で1人1人にも目を向けた組織開発のアプローチをする点です。経営的なアプローチで会社を良くするという話と、1人1人のいわゆる思いや価値観というところからもアプローチして、個人と組織、両輪で会社作りをサポートするというのは、あまり他社にはない形です。

手間を惜しまない、社員1人1人への「パーソナルブランドブック」

弊社には「パーソナルブランドブック」というサービスがあります。これは何かと言うと、例えば社員が30人でも100人でも、その人数分のブランドブックを作るんです。1人1人に我々がインタビューをさせていただいて、何のために、何を大切にして働いているのか、そう思うようになったきっかけは何か、といったことをインタビューしながら、1人1人のブランドブックを作っていきます。

こういったものを通じて、1人1人が今どんな方向を向いているのか、どんな思いで仕事をしているのかを言語化する。それが会社の考えているものと同じ方向を向いているのか、それともずれているのか。それがある意味、組織開発のヒントにもなったりするので、そういった活動を通じて、1人1人の考え方にもアプローチしていますね。

そうなんですよ。これはやってみると分かるんですが、非常に手間がかかって、正直そんなに収益的には良くないんです。だから、ここまでしっかりやる会社は多分ないと思っていて。それでも我々は、1人1人自分自身の価値観と会社の価値観が一致することが、ある意味やりがいを持って働く上で大事だと思っています。そうなると個人の価値観にアプローチしないとこれが実現できない。なので、これは我々から外せないんです。

創業2年目、100人規模の案件を2人で乗り切った日々

それこそ、ブランドブックを本当にありがたいことに気に入っていただいて、まだ創業2年目ぐらいの時に、100人ぐらいの規模感でご依頼をいただいたんです。ただ、当時はまだ体制も整っていない中で、調整もインタビューも執筆も、とにかく2人でやっていました。

それで、すごくお客様にご迷惑をかけてしまって。修正も多いし、すごく待たせてしまう。ただ、そのお客様のおかげで、その後しっかり体制を整えようというきっかけになったり、そのお客様とは実は違う形でご縁が広がったりもしているので、とても感謝しています。あの仕事は本当に大変だったな、という思い出ですね。

完全フルリモートでも、「質」で築くコミュニケーション

まず弊社は完全フルリモートワークなんです。なので、コミュニケーション量自体はどう考えても取りにくい。そこで、コミュニケーションを量でカバーすることはもう諦めていて、質を高めようということを意識しています。

具体的には、年2回の合宿ですね。基本全員、全国から集まってもらって1泊2日で行います。それから、理念を中心においた対話の時間を月に1回、必ず1時間ほど設けています。あとうちで大事にしているのは「プロジェクト活動」というもので、通常の業務ではない活動です。今で言うと「やりがいを研究しよう」というプロジェクトがあって、こうした業務ではないところでコミュニケーションの機会を作り、そこで質の高い会話をする場をどれだけ作れるかを大事にしています。量では勝負せず、質をいかに高めるか、ですね。

会社のビジョンだけでなく、「自分自身」のビジョンを描く

弊社は、明確に「こんなキャリアやスキルをみんなに作らせる」という話はないんです。ただ、大事にしているのは、会社にビジョン・ミッション・バリューがあるように、社員1人1人にも自分自身のビジョン・ミッション・バリュー(パーソナルVMV)をしっかり作ってもらうことです。入ったメンバーはみんな、自分にベクトルを向ける時間がすごく多いと言いますね。

これは、自分が何を実現したいのか、どういうキャリアを描きたいのかも含めて明確にしようということなんです。その上で、それを実現するためにつむぎという会社を有効活用しておいで、という話をしています。実際、コーチングの資格を取りに行って、その後コーチとして独立していったメンバーもいますし、会社を作ってそれを広げるために独立していったメンバーもいます。やりたいことに目を向けて、それを実現できる環境がうちにはあるかなと思います。

はい、「VMV実現予算」というものがあって、年間10万円まではその実現のためにお金を出すと決めています。それこそワークショップに行くにしても、しっかりしたものだと5万円、7万円とかかかってくるじゃないですか。それを自分の投資だけで行くとなるとハードルが高いので、それが自分のやりたいこととつむぎでの貢献にどう接続しているのかがちゃんと説明できれば、うちは最大10万円まで出します。本についても、年間一定額までは購入費を補助していますね。

「働きやすさ」と「やりがい」、2軸で設計する福利厚生

福利厚生の設計思想として大事にしているのは、「働きやすさ」と「やりがい」の2軸です。働きやすさの上にやりがいが乗っかって、働きがいになるという構造があると思っているので、その両方を整えるようにしています。

働きやすさを整えるものとしては、「ラウンドロビンランチ」という、月1回会社のお金でランチをしてきていいという制度や、部活動の創設サポート、活動費の支給などがあります。また業務委託メンバーに対して、という点では珍しいと思うのですが、健康診断の補助も出しています。業務委託の方って、なかなか健康診断に行かないんですよね。でもやっぱり健康じゃないと働けないので、行ってねという意味で費用をサポートしています。正社員か業務委託かに関わらず、働きやすさを整えられるものは整える。一方で、やりがいにプラスになるものとして、先ほどのVMV実現予算や書籍導入補助といった制度を用意しています。

あと、オンラインでサンクスカードを送り合うような「つむぎコネクト」というツールも運用していて、これはバリュー浸透のためのツールとして、実はクライアント企業にも提供しています。

求める人材像 ── 「やりがいへの共感」がすべての土台

結果的に活躍しているのは、自分のやりたいことが明確になった人がうちにはまっていくケースなんですが、入る段階では、むしろそこに迷っている人の方が多いんです。シンプルに、働く時間はやっぱり人生でかなりの部分を占めますよね。その時間を楽しい時間、やりがいのある時間にできた方が幸せだよね、というここに完全に共感してくれていることが、多分前提なんだと思います。その上で、自分のVMVを定めていく中で、結果的にやりがいを持って働けるようになっていく、という流れですね。

「やりがい」の土台は、自分の価値観を知ること?

前田さんが語る「パーソナルVMV」は、単なる自己分析シートではなく、社員が自分自身の価値観を言語化し、会社の理念と接続していくためのツールです。入社時点でやりたいことが明確でなくても、対話を重ねる中でやりがいを見つけていく——そんなプロセスを大切にしている点が、つむぎ株式会社らしさと言えそうです。

今の課題は、「個人重視」と「仕組み化」のバランス

これはまだ答えが出ていないんですが、見ていただいている通り、1人1人に向き合う、1人1人の考え方を大切にする会社であるがゆえに、ビジネスモデル的な仕組みを嫌うところがあります。結局そちらに重心を置きすぎて、仕組みで何かをやるということには圧倒的に欠けているんです。そうすると、会社の成長という意味では伸ばしにくいというか。

ある程度仕組み化した方が、企業としての成長は絶対的にいけます。でも仕組み化すればするほど、1人1人のやりがいとは違うことになりかねない。これをどう両立させるかは、会社としての課題になっていますね。

AIに「使われる」のではなく、使いこなす

かなり意識してAIを使っていますね。効率化を図るという意味では、もちろん活用しています。ただ、AIにただ使いこなされることのないように、ということは繰り返し伝えています。AIを使うこと自体はいいのですが、例えばAIを使っても、誰が作った文章かが分かるレベルの使い方をしなさいと。誰が作ったか分からないものではダメで、つむぎが作った、この人が作ったという「らしさ」が出ているものにしていかないと、あなたがいる意味がないよね、ということをライターにもコンサルタントにも言っています。

分析すること自体は、もう今すぐAIでできてしまう時代です。だからこそ、どんな視点で分析したのか、それをどう実行させるのかというところに、自分自身の価値を出さないといけないよね、という話をしています。

つむぎ株式会社が大切にしている3つのこと

① 個人と組織、両輪でのアプローチ
経営的な理念設計だけでなく、社員1人1人の価値観にも向き合い、組織開発につなげる

② 手間を惜しまない「パーソナルブランドブック」
社員全員に直接インタビューし、1人1人の思いを言語化。効率よりも本質を重視する

③ 自分自身のVMVを描く文化
会社のビジョンだけでなく、社員1人1人が自分自身のビジョン・ミッション・バリューを描き、実現をサポートする

目指すのは「やりがい情勢のパイオニア」── 30社への集中

我々は「やりがい情勢のパイオニア」のようなポジションを作っていきたいと思っています。ただ、我々自身が日本全体、1億2000万人のうちの何割かに対してやりがい情勢を実現できるかとか、会社として100億企業を目指すかというと、そういう発想はあまりないんです。

どういう風にこの社会貢献をしていこうかと考えた時に、我々のクライアントを通じて、やりがいを持つ人を最大化したいと思っています。今すごく意識しているのは、本当に30社に集中して、その30社が何かしらの形で日本一になるようなお手伝いをすること。実際にクライアントの中には、業界で日本一を目指す会社さんや、何かしらの賞を取っている会社さんもいます。グレートプレイス系の賞など、働きがいが高いことを評価いただけるような賞を受賞したり、業界・地域でナンバーワンの企業になったりする。そういうことを実現すると、その影響力を持って、我々の考え方も社会に広がっていくと思っているんです。

徹底的にお客様に集中して、お客様がオンリーワン・ナンバーワンを取れるお手伝いをする。そしてその影響力を通じて、我々が大事にしている考え方が日本に広がっていき、結果として日本を豊かにする。そういうことを目指していきたいなと思っています。

読者へのメッセージ

私自身、働くことのやりがいがこれほど人生を左右するものだと感じているので、働く時間をやりがいのある時間に変えていけたら、人生は幸せになると思っています。ただ、そのためには、自分自身がどういう人なのかを理解することがすごく大事だと思っているんです。

自分にとって何がプラスで、何がマイナスなのか。それが自分で分かるようにならないと、そもそもやりがいを見つけることもできないと思っています。だからこそ、迷っている時ほど自分にベクトルを向けていけたらいいなと思いますし、迷っている時ほど、自分の価値観がより見えるようになっていく時期でもあると思うんです。迷っている時こそ大事にして、自分の価値観をどんどん言語化していく。それがきっと、やりがいにつながっていくんじゃないかなと思います。そういう風に、自分と向き合うことを大切にしていただきたいなと思います。

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異業種に転職された方、フリーターから正社員になられた方、ブランクから復帰された方、未経験からフルリモートの仕事に就かれた方など、様々なキャリアの方をお待ちしています!

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この記事を書いた人

キャリアクラフトは大阪・東京を拠点に20年、人材事業やシステム開発を行ってきたセルバが運営する「新しい働き方を創るメディア」です。
従来の新卒や転職だけでなく、フリーランスやパラレルキャリアなどの新しい働き方や、リモートワークや時短勤務などの新しく浸透しつつある制度について発信しています。
自身のキャリアに迷っている人のお役に立てればと考えています。

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