「多様な子どもたちの学び」に向き合う。すららネットが20年続ける教材開発の裏側

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「全員が高学力の学校を目指す必要はない。自分の力で生きていける力を身につけてほしい」——そう語るのは、デジタル学習サービス(Edtechサービス)「すらら」を軸に教育格差の解消に取り組む株式会社すららネットで人財戦略グループのグループ長を務める坪田未歩さんです。学力が伸び悩む子や不登校、発達障がいのある子どもたちにも寄り添う教材づくりを20年近く続けてきた同社に、事業の特徴や求める人材像、AI時代の働き方について伺いました。

目次

プロフィール紹介

坪田 未歩さん
株式会社すららネット 人財戦略グループ グループ長・マネージャー。入社時から教材開発部署に所属し、教材サービス開発に携わってきた。子どもだけでなく大人も含めた「学び」全般に興味関心が広がり、自ら手を挙げて、教材開発の傍ら人事・人材育成の領域も自身のキャリアに組み込んだ経歴をもつ。

教育格差をなくす、デジタル学習サービス「すらら」── 株式会社すららネットとは

弊社の代表的な商品はデジタル学習サービスの「すらら」です。それらサービスの開発・提供を行う、いわゆるEdTech分野の会社です。提供先は幅広く、公立・私立学校、学習塾をはじめとする様々な民間の学習機関、一般家庭、そして一部海外でもサービス提供を行っています。

弊社が創業から一貫してミッションに掲げているのが、様々な教育の格差をなくしていくことです。学力の格差、家庭環境や住んでいる地域による教育機会の差、そして最近では不登校や発達障がい、日本語に困難さを持つ子どもたちへの専門的なサポート体制の差など、教育には様々な格差があります。本来必要なサポートを受けられていない子どもたちに対しても、ICTの力があれば質の高い学びを届けられるという確信を持って活動しています。

海外展開には2つのパターンがあります。新興国の子どもたちが現地の言葉で学べる算数コンテンツの提供、そして日本での就労を希望している、現地の外国人材への日本語教育コンテンツの提供です。新興国は日本以上に教員と教材の質や確保の問題が深刻なケースも多く、弊社の理念を実現する上で欠かせないフィールドだと考えています。

株式会社すららネットの主な事業領域

デジタル学習サービス「すらら」の開発・提供を軸としたEdTech企業。公立・私立学校、学習塾などの民間教育機関、放課後デイサービス、一般家庭、海外(日本語学習教材・新興国向け算数コンテンツ)まで幅広く展開。教育格差の解消をミッションに掲げています。

教材づくりと「活用コンサルティング」── 他社にはない強み

事業戦略面と、掲げている理念の面と、両方に強みがあると思っています。事業戦略面では、「すらら」を中心とした学習コンテンツを20年近く前から開発に着手し、アップデートを繰り返しながら提供してきたことです。特に不登校や発達障がい、勉強が苦手だったり好きではなかったりする子どもが弊社のユーザーには多くいらっしゃるので、誰でも分かる、誰でもできたと思える教材づくりをずっと突き詰めてきました。

ただ、教育現場にとってデジタル領域はまだ新しい分野であり、どんなに良い教材サービスでもただ提供するだけでは活用・定着まで進まないことが少なくありません。だからこそ、先生たちと一緒にデジタル学習サービスを使ってどんな学校づくり・授業づくりをしていくかを、細かくコミュニケーションを取りながら考える「活用コンサルティング」まで行っているのが、戦略上の大きな強みです。たとえば公立学校の場合はまず教育委員会とお話しさせていただくことが多いのですが、自治体が掲げる教育目標の実現に向けてデジタル学習サービスをどう取り入れるべきか、営業担当と自治体の担当者が密にコミュニケーションを取っていて、時には教育目標を作り上げるところからお手伝いさせていただくこともあります。

「自分でもできた」という最初の一歩を大切に

私たちは、子どもたちに学びにおける初めの一歩を踏み出してもらい、自分でも分かった、できたという経験を積んでもらうことで、自己肯定感や自己効力感を芽生えさせたいということを大事にしています。そのきっかけは別に勉強でなくてもいいのですが、勉強は子どもたちが平等に直面する一つの壁であり、勉強でつまずくと「自分はダメだ」という感覚につながってしまうこともあります。

「すらら」の強みは、勉強が苦手な子が「自分でもできた」と感じられる最初の一歩をサポートできることだと思っています。そこから「やればできるんだ」というマインドセットが生まれて、勉強でなくても好きなことや興味のあることに向かって頑張っていってほしい。最終的には、自らの力で未来を切り開ける力をつけていってもらえたらと思っています。

営業・開発・バックオフィスの3機能、マーケティング部門の5つの部署

大きく分けると、マーケティング・営業機能、開発機能、そしてバックオフィスの3つの機能に分かれています。営業部署は提供しているマーケットが幅広いため、マーケットごとに部署が分かれています。

公立学校向け公共ソリューショングループ:
教育委員会や公立学校、一時保護所などのお客様への提案・サポートを担当。
私立学校向け学校ソリューショングループ:
私立学校、専門学校のお客様への提案・サポートを担当。
民間教育機関向け民間教育グループ:
学習塾などフリースクールなどの民間の教育機関への提案・サポートに加え、「すらら」を使った学習塾の開業支援も実施。
家庭学習向け子どもの発達支援室:個人のお客様、放課後デイサービスへの提案・サポートを担当。
海外向け海外事業推進室:政府やNPOとの協働、新興国の教育課題解決に取り組む。送り出し機関への提案。
開発部門コンテンツグループ:コンテンツやサービスの企画・制作。
DXグループ:システムや機能の企画・開発。
バックオフィス経営管理本部:経理財務、人事、総務、法務、広報、社内ITなど、会社全体を支える。

全社フレックス制、ハイブリッド出社(週3日出社)

全社共通でフレックスタイム制を採用しています。コアタイムは10時〜16時と比較的長めに設定していて、残り2時間ほどは自由度があります。出社についても全社ルールとしてハイブリッドで週3日は出社、2日は在宅でも良いという形にしています。

1メンバーの提案が全社戦略になる ── ボトムアップ文化と「全社中経策定ワークショップ」

弊社はボトムアップが歓迎されるカルチャーだと思います。たとえば3年程度の中期経営計画も、全体的な方針だけが示された後、各部署のメンバーが何時間もかけて議論し、マーケットごとの取り組みや開発する商品などを決めていきます。

また、年に1回、全社員で中期経営計画をテーマに活発な議論を行うワークショップ型の全社行事を開催しています。外部施設を借りて全社員が集まり、向こう3年間の夢を語るイベントです。そこで1メンバーが提案したことがその部門の戦略になり、ひいては全社の施策になっていくことが当たり前のようにあります。代表に限らず、経営メンバー全体に、メンバーの考えを柔軟に吸い上げる意識があるように感じます。

理念への共感で集まる、多様なバックグラウンドのメンバー

開発と営業など、異なる立場のメンバーで侃々諤々議論を交わすこともありますが、最終的にはみんな子どもたちのためを思って、それぞれの立場で発言しているという信頼関係があります。元学校教員や学習塾経験者など教育に関わった経験のあるメンバーが多い傾向にありますが、それでも全くの異業種出身メンバーも少なくありません。共通しているのは「子どもたちのために何かしたい」「社会貢献性の高い仕事がしたい」という思いです。

「取り残されてしまう子どもたち」に向き合う会社

世の中の教育サービスの多くは、究極的には「少しでも高学力の学校に入る」ことをゴールにしているところが多いように思います。弊社はそことは少し軸足が違っていて、そうした画一的な教育の中で取り残されてしまう子どもたちのことも、学びを通してサポートしていきたいと考えています。全員が高学力の学校を目指す必要はないけれど、自分の力で生きていける「生きる力」を身につけてほしい、という理念を持っていて、その理念に共感してくださる方が多いですね。多様化する子どもたちの学びをもれなく支えていくことは、日本社会全体、国力アップのためにも大事なことだと思っています。

変わり続ける学力像 ── 直面している課題

「すらら」は20年近く子どもたちの学びを支えてきたシステムであり、コンテンツや機能のアップデートを繰り返してきました。現在ではユーザー数が拡大し、利用してくださっている教育現場においてなくてはならないインフラのような存在です。現在はより使いやすいUI・UXへの改善や、安定稼働の実現に向けて次々と立ち現れる課題を解決している状態です。

コンテンツ開発の面でも、子どもたちに求められる学力像がめまぐるしく変わる中で、どんなコンテンツをつくり、どんな学びを届けていくべきかをみんな真剣に考えています。そんな中でも今の結論として、AIがどれだけ発展しても、基礎学力の重要性は変わらないだろうというのはあります。その基礎学力の上に、自分できちんと考え、考えを形にして発信していけるスキルを、「すらら」を学習する中で身につけてもらえたら、AI時代でも子どもたちが活躍できるのではないか、という話をしています。

「やればいい」と言われて実現したキャリア転換

いい意味で、一人ひとりのキャリアをがっちり決めきっていない会社です。それぞれに与えられる仕事の裁量は大きく、その中で自らプロジェクトを企画し、プロセスを設計して進めていく、いわゆるプロジェクトマネジメントの力は、間違いなく身につくと思います。

会社から「あなたはこうしてください」と枠にはめるようなことはしないので、社員には自分はこういうことがしたい、こういう風になりたいという意思を持っていてほしいと思っています。そういう意思があると、これまでの経験に関わらず「じゃあやってみなよ」とチャレンジさせてもらえる会社です。私自身、教材コンテンツ開発をずっとやっていく中で子どもだけでなく人の学び全般に興味関心が広がり、人事・人材育成といった領域にも手を広げてみたいと考えるようになりました。現在は教材開発部門のマネージャーと、人事部門のマネージャーを兼務していますが、「学びや成長のサポート」という一貫したものを感じながら双方の仕事にあたっています。ほかにも、システム開発のプロジェクトを牽引する経験を積みたいと入社し、自ら手を挙げてプロジェクトマネージャーとして奮闘しているメンバー、新サービスのリリースに伴って、新市場開拓に自ら意欲的に取り組んでいるメンバーなど、自発的に挑戦しているメンバーが多くいます。

与えられるのを待つ人は難しい ── 求める人材像

どんなことでもいいのですが、弊社に入るからには「自分はこういうことがやりたい」「キャリア上こういう風になりたい」という目標が明確な方が向いていると思います。その目標に向かって自ら空いているスペースに走り込み、いろんな人とコミュニケーションを取って巻き込みながら実現に向けて動いていける人材が、やっぱり活躍しています。

採用面接でも、まさにそうした部分を見ています。エピソードを伺う中で、どんな課題を見つけ、そんな風に考えて行動に移したのか、どういう意思をもって何をしたいと思ったのかという、その方の行動の軸を詳しくお伺いするようにしています。

逆に、与えられるのを待つタイプは難しいと思います。指示が振ってくるのを待っている、教えてもらえるのを待っている、情報が来るのを待っているという姿勢では、いつまで経ってもチャレンジの機会がやってきません。せっかく裁量が大きい会社なので、やりたいことをしっかり言葉にできる方の方が、キャリアにとってもプラスになる経験を積んでいけると思います。

「こうしたい」を描く力 ── AI時代に人間側に残る仕事

社内でAIは積極的に活用していこうというスタンスがあり、使いたいサービスを申請すれば有料でも使える仕組みになっています。その上で、人間である社員にはどのような能力が求められるのかという議論も活発にしています。今議論している中では、人間に求められ続ける力は、プロセスを設計する力と、最終的なアウトプットを「こうしたい」と明確に描く能力ではないかと考えています。

これまでは「こうしたい」という意思がなければそもそもアウトプット自体が出せませんでしたが、AI時代は誰にでも、それらしいアウトプットが出せ、ともすると平均点のアウトプットが溢れかえるような時代です。だからこそ本当に差別化された良いアウトプットを出そうと思うなら、このプロジェクトをこうしたい、この商品をつくりたい、というゴールイメージを明確かつ精緻に描き、その実現のためにどんなプロセスで進めるかを描けることが大事だと思っています。それができれば、実行の部分は人を使ってもAIを使ってもいい。ゴールとプロセスを初めに描くフェーズが、人間側に残る仕事としてすごく大事だと考えています。

AI時代に求められるスキル ── すららネットが現場で感じていること

① ゴールを明確に描く力
「こうしたい」という意思を言葉にし、目指す姿を具体的にイメージする力

② プロセスを設計する力
ゴールに向けた道筋を描き、実行を人にもAIにも任せられる設計力

③ 自ら動き、人を巻き込む力
与えられるのを待たず、空いているスペースに自分から走り込む姿勢

④ 経営参画視点を持ち、日々の仕事と結びつける力
一段上の視点をもって、会社の戦略や方針を、当事者意識をもって考える姿勢

読者へのメッセージ

立派な理念を掲げていても、日々の仕事がそこにつながっている実感をなかなか持てない会社も多いのではないかと思います。弊社は掲げている理念と、従業員一人ひとりの日々の仕事がきちんとつながっている会社です。メンバーそれぞれが、自分の仕事が社会や子どもたちのためになっているという実感を持ちながら働けていると思います。

子どもたちの可能性を拓くために、自分のスキルや経験を活かしてみたいという気持ちがある方には、ぜひ仲間に加わっていただきたいです。おそらく、描いたキャリアに向けて、様々な経験ができるステージがある会社だと思っています。

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異業種に転職された方、フリーターから正社員になられた方、ブランクから復帰された方、未経験からフルリモートの仕事に就かれた方など、様々なキャリアの方をお待ちしています!

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この記事を書いた人

キャリアクラフトは大阪・東京を拠点に20年、人材事業やシステム開発を行ってきたセルバが運営する「新しい働き方を創るメディア」です。
従来の新卒や転職だけでなく、フリーランスやパラレルキャリアなどの新しい働き方や、リモートワークや時短勤務などの新しく浸透しつつある制度について発信しています。
自身のキャリアに迷っている人のお役に立てればと考えています。

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