Connecting the Dotsとご縁を大切に。元住友商事、現株式会社ファームノートCCO細田薫氏の哲学に迫る。

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株式会社ファームノートは、畜産農家の生産性をテクノロジーの力で大きく引き上げることを目指す、北海道発のアグリテック企業です。牧場の情報を一元管理するクラウドサービス「Farmnote Cloud」と、牛の首に装着して発情検知などを行うIoTデバイス「Farmnote Color」を軸に、ソフトウェアとハードウェアの両面からサービスを展開しています。

また、自社牧場2つ・契約牧場4つの計6牧場を経営管理し、約1,900頭の牛を実際に管理しながら高い生産性を実証しています。

今回は株式会社ファームノートのCCO・細田薫さんに、同社の事業内容・入社の経緯・大切にしている価値観・求める人材像、そして今後の展望についてインタビューしました!

目次

プロフィール紹介

細田 薫さん
株式会社ファームノート CCO。住友商事にて海外M&Aに従事し、ブラジル・ウクライナに駐在した後、セルソース株式会社を経て、ファームノート代表・小林氏との8年ぶりのご縁で入社。「Connecting the Dots」を人生のテーマに掲げ、人のご縁に身を委ねるキャリア選択を一貫して実践。現在はCCOとしてファームノートの認知拡大・ブランディングを担っている。

細田さんのnote記事はこちら

テクノロジーで畜産の生産性を変える ── 株式会社ファームノートの事業とは

一言で言えば、世の中の畜産農家さんの生産性を大きく上げることを、テクノロジーの力によって実現する会社です。ソフトウェアとハードウェアの両面でサービスを展開しています。

会社名の由来でもある「Farmnote Cloud」は、「牧場を手のひらに」というコンセプトで、牧場の情報を一元管理するクラウドサービスです。

牧場現場では、情報を紙や手にメモしていることも少なくありません。牛一頭一頭の状態や搾乳データ、従業員間の情報共有——「ここを見れば分かる」という状態にすることで、ミスも減り、業務が圧倒的に楽になります。

また、ハードウェアの「Farmnote Color」は牛の首に装着するデバイスです。「カラー」には襟の“collar”という意味と、「一頭一頭に意味(色)がある」という想いを込めた、色の“color”の二つの意味があります。

牛の発情は、実は21日に一回しかありません。これを見逃すと、次の発情まで21日間、乳が出ない牛に餌を食べさせ続けることになる——このデバイスが発情を検知してiPhoneに通知を送ることで、わざわざ見回りをしなくても発情した牛のところに直行できるようになります。

サービス内容
Farmnote Cloud牧場の情報一元管理クラウドサービス。牛の状態・搾乳データ・従業員間の情報共有をデジタル化し、ミスの削減と業務効率化を実現
Farmnote Color牛の首に装着するIoTデバイス。発情検知をはじめ、牛の行動データを取得しクラウドと連携。見回り不要で発情牛を特定可能
牧場経営管理自社牧場2つ・契約牧場4つの計6牧場で約1,900頭を管理。日本の中でも高い生産性を自ら実証
サービス提供先約2,000戸/管理頭数 約40万頭。

細田さんが強調するのは、「このAI時代、単なるソフトウェア会社はたち行かない。僕らはリアルを持っているのが圧倒的な強み」という点。単なるITソリューション企業ではなく、自分たちで牧場を経営し、日本の中でも高い生産性を実際に出しているからこそ、農家への提案に説得力が生まれています。

ご縁とConnecting the Dotsで歩むキャリア ── 細田さんの転職哲学

私は、基本的には業種とか業態とか職種には興味関心がないのです。人生は人との縁で彩られていくと思っているので、ご縁に身を委ねて転職してきました。前回の転職の時もそうでしたし、今回もそうしようと決めていました。

そんな中で、8年ぶりに小林さんとのご縁があったという点がきっかけの一つ目です。そしてもう一つは「Connecting the Dots」をテーマにしている中で北海道の帯広や中標津の牧場に行って社員とコミュニケーションしたりお客さんに会うなんて、今回のご縁がなければ、まず無いだろうと思ったことです。

自分の人生に今までにないDotを打つという二つの軸で、ファームノートに参画しました。

大企業を離れた理由 ── 自分で意思決定できる場所へ

少し過激な表現になりますが、「ここにいたら人生終わるな」と思ったからです。自分で意思決定をして、自分の取った行動に対して責任を取って、仲間に対しても背中を見せていく——そういう経験ができるところに行かないと人生が詰んでしまうなと思ったのが一番の理由です。

ちなみに僕は「まずは別離を決めて、退路を断ってから、次のことを考えたい」タイプです。まずは辞めると決めた上で、さあどうするかと考えた時に、たまたま頂いたご縁が前回も今回もという感じです。

時期キャリアステップ
新卒〜住友商事に入社。海外M&Aに従事し、ブラジル・ウクライナに駐在。
住友商事退社後セルソース株式会社へ転職(ご縁がきっかけ)。CHRO・COOを歴任
セルソース退社後8年ぶりの小林社長とのご縁でファームノートへ入社。CHROとして、人事全体の責任者に。
現在CCOとしてファームノートの認知拡大・ブランディングを担当(入社7ヶ月目)

「おもろっ」と思えるかどうか ── 困難との向き合い方

私は、多分、「乗り越えて」ないんだと思うんですよ。どんなにしんどい状況になっても「おもろっ」って思うことで「困難」じゃなくしてるのだと思うんです。

しんどい状況ですら「Connecting the Dots」のDotの一つであると思えてしまえば楽になる。困難にどう打ち勝つかというマインドではなく、「わ、おもろっ」という感覚ですね。

私が長く関わっている人事の仕事なんてまさにそうで、仮に一風変わった社員とか所謂”問題社員”でも「こんな人もいるのか、おもろっ」と思えたらめちゃくちゃ楽しい。だから僕は人事に向いてるんだと思います。

マリオカートに学んだメタ認知 ── 俯瞰する技術

住友商事でブラジルの案件をやっている時に、アメリカ、ロンドン、東京、、、世界中の人達から文句を言われてしんどかった時期がありました。そんな時に上司から電話がかかってきて、「メタ認知って知ってるか?マリオカートを想像してみろ」と言われたのです。

レーシングゲームにはコクピット目線で運転するモードと、上からキャラクターを見下ろすモードがある。「上から見てマリオカートやってたら、赤甲羅に当たってもお前痛くないだろ。でもコクピット目線だと痛いだろ」と。

怒られていることが良い悪いとか、自分が正しい間違っているとかではなく、結局は考え方と考え方のぶつかり合いであって、自分本人が傷つく必要はない。

あくまで俯瞰して物事を見る癖をつけなさいと。あれ以来、自分の人生はマリオカートだと思って、バナナで滑ろうがクッパにぶつかられようが「俺自身の尊厳の問題では無い」と思えるようになりました。

しんどい時こそ、視座が上がるチャンス

細田さんは「チャレンジしたり、しんどい思いをした時にこそ視座が上がる。苦難や困難は、その先に行くための必要条件」と語ります。苦労なしに人間が急に成長することはない。だからこそ苦難もDotsの一つとして「おもろい」と思えることが、困難を乗り越える——というより、困難と共に歩む原動力になっているのです。

日本のためになる仕事がしたい ── 総合商社からの転身を決めた原体験

私がやっていたビジネスの中に「日本が無い」と気づいたことと、娘が生まれたことが背景でした。元々総合商社は自分たちでは海外に売れないメーカーさんのものを売ってあげたり、総合商社がいないと調達できないものを海外から買ってくるために生まれました。でも今はもうみんな自分たちでできるようになり、海外中心とした事業投資の道に進みました。

僕がやっていた仕事は、ウクライナとブラジルの会社を買収してブラジルやウクライナに価値を提供し、そこで生んだ利益を東京に配当するという形。両国のステークホルダーに対して付加価値を提供した自信がありますが、日本には配当金が送られるだけ。

しかもその配当金さえ、ニューヨークの投資会社が株主であればニューヨークに行ってしまう。「世界」という文脈で見れば、一つ一つの事業は素晴らしいですが、日本に直接付加価値を提供する仕事ではなかった。そこへの疑問と、娘が日本に生まれて「娘の日々に貢献する仕事をしたい」と思ったこと。この二つが転身の原動力です。

人の可能性を解放する ── ファームノートが大切にする価値観

社長の小林が一番大切にしているのは、「人の可能性」です。人というよりも「人の可能性」。弊社の配属は、その瞬間その人が得意なところに配属しないんです。その人の可能性がもっと羽ばたく場所に置く。

だから最初の数年はしんどい思いをすることもある。でも結局はその道を選んだことによって、結果的にその人の可能性がすごく広がる。“今できること”をやってしまうと、逆に可能性は閉じられてしまう。だからこそその人の可能性を信じて、最大限に発揮してもらい、会社はその結果をもって成長していくという考え方です。

社長のスローガンは「事業を通じて人の成長に貢献する」。事業がなければ遊んでいるだけになってしまうので、事業をやる前提で、その中で人の可能性を広げていく。僕は言葉は違うけど全く同じことを思って生きてきたので、そこはすごく幸せだなと感じています。

3ヶ月間の牧場研修 ── 仕組みではなく「文化」で支える組織

弊社はベンチャーながら5ヶ月間の研修を実施しています。住居費用も含めて全て会社負担で、前半2ヶ月は東京、後半3ヶ月は牧場での研修です。

牧場研修は単に「牛に関わる仕事だから現場を知っておけ」という話ではありません。酪農の世界において、「今日やりたくないから明日やる」ということはできません。——牛は毎日乳を搾らなければ病気になってしまいますから。そして、搾乳のみならず、何かしらのミスは、目の前の牛に直接的に影響を与えます。

「自分が支える仕事の重たさ」と「本当にしんどい時に100%で支えてくれる仲間がいること」を心から感じられる場所、それが牧場研修の本質です。

だから仕組みとかじゃないんですよね。約100人の会社で、本当にお互いがお互いを支え合う文化がある。人として当たり前に生きて、仲間を当たり前のように大切にするという弊社の風土こそが、社員を支える力になっています。

1,900頭から1万頭へ ── ファームノートの今後の展望

牧場経営については、今の1,900頭を、3年で1万頭まで持っていくことが目標です。ただこれは星野リゾートモデルと同じで、全部自分たちで所有しているわけではありません。

経営が難しくなったり後継者がいなくなって廃業したい農家さんがいる。しかし本当に廃業してしまうとそこは放棄地になり、熊や鹿が出てきて地域の安全保障すら怪しくなります。どんどん牛が消えていって生産量も下がっていく。一方で全部M&Aしていたらバランスシートが持たない。

だからこそ「所有はそのまま持ってもらい、弊社が経営と運営をやる」という経営受託モデルで、バランスシートを使わずに関わる牧場を増やしていくことで、農家さんも牧場を潰さなくて済む。そこにAI・DXをフルスペックで導入した本当に近代的な農業をやっていくというのが、メインの軸です。

項目内容
現在の管理頭数約1,900頭(自社牧場2つ・契約牧場4つ)
目標3年以内に1万頭へ拡大
拡大モデル自社所有と星野リゾートモデル(所有と経営の分離)の組み合わせ。経営受託で農家の廃業を防ぎながら規模を拡大。
背景乳用牛飼養戸数が令和2年から令和6年までの5年間で約17.4%減少。(出典:畜産統計調査 / 確報 令和7年畜産統計後継者不在と経営難が主な原因
技術活用AI・DXをフルスペックで導入した近代的農業を展開

求める人材像 ── 好奇心がすべての出発点

一つだけ挙げるなら、好奇心を持っている方です。弊社が最も大切にしているのはこれに尽きます。

AIエージェント時代、毎日世界が変わっていく中で、そこに好奇心がなかったら取り残されてしまう。アンラーンできる人は好奇心があるからアンラーンできる。リラーンしたいと思うことは、好奇心があるということ

新しい世界を提示し、イノベーティブな動きを求める側が、自分たちはそうしない人間だったら何の説得力もないわけです。

常に新しいこと、変化を求めて、それを楽しめることが重要です。牧場なんて毎日トラブルばかりですけど、それに対して「おもろ」と思えたり「じゃあどうしようか」と前向きに考えられるか。好奇心がないと人の可能性はない。好奇心がないのに解放する可能性がない。だから好奇心を持っていることは大前提です。

求める資質内容
好奇心最も重要な資質。変化を恐れず、新しいことを楽しめる力。アンラーン・リラーンの原動力
現地現物への覚悟北海道(帯広・中標津など)での勤務が前提。「現地現物」に答えがある。
変化を楽しむ姿勢毎日のトラブルや予想外の出来事を「おもろっ」と捉えられるマインドセット

勤務地について

弊社は基本的に北海道(帯広・中標津・遠軽)への移住が前提です。酪農家様にサービスを提供する以上、そのお客様の近くにいないでどうするのか——弊社が6牧場も持っているのに、そこに行かないのかという話です。超近代のテクノロジーと超現場のリアル、この両方をやっている会社であることをぜひ知っていただきたいです。

日々のルーティン ── 計画的偶然性を楽しむ生き方

基本的には「Dotを打ってから、後から星座を描く」という考え方を大切にしています。稲盛和夫さんの言っている「人生は『運命』という縦糸と、『因果応報』という横糸で織りなされる布のようなもの」という言葉も大切にしていて、この二つは究極的には「人生はある意味結果論である」ということを言っていると思っています。

だからこそ帰納的・目的的に行動しないんです。「Aに役立つからこの本を読もう」ではなく、素敵な人に本を紹介してもらったらとりあえず読んでみる。たまにつまらない本もあるけど、そのつまらない本自体もDot。偶発性を楽しむ——計画的偶然性という感じですね。

僕は間違いなく飽きる人間で、飽きるとパフォーマンスが出ない。受験の時も偏差値20の科目と偏差値80の科目があるような人間なので。だから「同じ仕事をするんでも違うやり方をするとか、違う人と働くとか、毎日少しでもSomething newを生む」というのが一つの人生のテーマです。

求職者へのメッセージ

変化を恐れすぎていると、結局はどんどん古くなっていってしまう。大前研一さんは、時間配分を変えるか、住む場所を変えるか、付き合う人を変える。人生を変える方法はこの3つしかないと仰っており、私も概ね同意します。どれか一つでも変えないと、全部古くなっていく。

とにかく変化する。新しいものに触ってみる、行ったことのない場所に行ってみる。AI時代を生き残るためではなく、新しいDotを打っていく方法はいっぱいある。弊社はまさに、超近代のテクノロジーと超現場の酪農という「今まで人生になかったDot」を打てる場所です。好奇心を持って、変化を楽しめる方をお待ちしています。

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自分ではありふれた経歴だと思っていても、過去のあなたと同じ境遇にある方のキャリアの道しるべになるかもしれません。
異業種に転職された方、フリーターから正社員になられた方、ブランクから復帰された方、未経験からフルリモートの仕事に就かれた方など、様々なキャリアの方をお待ちしています!

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この記事を書いた人

キャリアクラフトは大阪・東京を拠点に20年、人材事業やシステム開発を行ってきたセルバが運営する「新しい働き方を創るメディア」です。
従来の新卒や転職だけでなく、フリーランスやパラレルキャリアなどの新しい働き方や、リモートワークや時短勤務などの新しく浸透しつつある制度について発信しています。
自身のキャリアに迷っている人のお役に立てればと考えています。

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