SAPの操作手順をAIに聞ける?気になったので社内文書検索AI(RAG)15社の「SAP連携」を公式情報で調べました

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こんにちは。セルバの中山です。
今回はSAPの操作手順を社内文書検索AI(RAG)で調べられるようにできるのかを調査しました。

SAPは業務ごとに操作手順や社内ルールが細かく決まっており、マニュアルや手順書を探すだけでも時間がかかることがあります。そこで、社内文書をAIに読み込ませて「この処理はどう操作する?」「このエラーの対応方法は?」と質問できれば便利です。

今回はRAGサービス15社の公式情報を確認し、SAPとの連携可否や活用方法を比較しました。

目次

「SAPの使い方の問い合わせ」は、AIに任せられるのか

SAPを使っている会社の情報システム部門や経理部門には、毎日のように「この伝票はどのトランザクションで起票する?」「発注の承認が止まっているのはなぜ?」「S/4HANAに変わってから画面の場所が分からない」という問い合わせが届きます。
社内の操作マニュアルは整備されているのに、探すより人に聞いたほうが早いので、結局ヘルプデスクに集中する。2027年のSAP ECC標準サポート終了を控えてS/4HANAへの移行が進むほど、この問い合わせは増えます。

そこで期待されるのが、社内文書検索AI(社内の資料を読み込んで質問に答えるAI。
仕組みの名前をとってRAGとも呼ばれます)です。SAPのマニュアルや手順書を読ませておけば、担当者に聞く代わりにAIが答えてくれるはず。ただ、製品の公式サイトに「SAP連携」と書いてあっても、その中身はまちまちです。

この記事では、国内で利用できる社内文書検索AI・生成AIアシスタント15社の公式サイト・公式ドキュメントを調べ、「SAPの操作手順に答えられるか」「SAPの中のデータまで読めるか」「古いECCにも対応するか」を同じ軸で比較しました。

結論を先に言うと、自社のSAPマニュアルを読ませて操作手順に答えること自体は15社中13社でできます。差がつくのは「SAPの公式ドキュメントで答えられるか」「SAPの画面の中で答えられるか」「SAPの中の在庫や伝票まで読めるか」の3点で、SAPを公式に名指しして連携方法を書いているのは11社、SAP内のデータを読む接続方法まで書いているのは6社でした。

「SAP連携」には3つの意味がある

比較の前に、生成AIアシスタント15社が紹介しているの「SAP連携」という言葉を分解しておきます。読んでみると、次の3つのどれか(または複数)を指しています。

  1. SAPのマニュアルを読んで答える
    自社で作った操作手順書やSAP公式のヘルプをAIに読ませ、「この処理はどうやる?」に文章で答えるもの。技術的には普通の文書検索で、SAP固有の仕組みは不要です。マニュアルの整備状況がそのまま回答の質になります。
  2. SAPの画面の中で答える
    SAPの画面に吹き出しやチャットを重ね、今開いている画面に合わせて手順を案内するもの。ユーザーはSAPを離れずに済み、「どの画面のことか」を説明する手間がなくなります。デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)と呼ばれる製品群がこれにあたります。
  3. SAPの中のデータを読んで答える
    「この発注の承認はどこで止まっている?」「先月のA製品の出荷数は?」のように、SAPに入っている伝票や在庫のデータを見に行って答えるもの。SAPのAPI(外部から機能を呼び出す入口。BAPI/RFC、ODataなどの方式があります)につなぐ必要があり、権限管理も含めて最も作り込みが要る領域です。

「SAPの操作手順をAIに聞きたい」という要望は、多くの場合1で足ります。ただし「操作は分かったが、この伝票がいま誰の承認待ちか知りたい」となると3が必要で、ここで製品の差がはっきり出ます。

選び方の6つの軸

公式サイトを比べるとき、次の6点を見ると自社に合うかどうかが判断しやすくなります。

  1. SAP連携の種類:上の1〜3のどれを公式に書いているか。「SAP対応」の一言ではなく、接続方式(コネクタ名、API方式)まで書いてあるかを見ます。
  2. 対応するSAPのバージョン:S/4HANA Cloud(クラウド版)だけか、オンプレミスのS/4HANAやECCにも対応するか。SAP純正のJouleはクラウド版限定なので、ECCやオンプレ版を使っている会社はここが最初の分かれ道です。
  3. マニュアルの置き場所への対応:自社の手順書がSharePoint、Box、ファイルサーバのどこにあるか。そこに標準コネクタがある製品なら、マニュアルを移動せずに始められます。
  4. 権限の引き継ぎ:経理だけが見られる手順書を、AI経由で他部門が見られてしまわないか。元の共有フォルダの権限をそのまま使えるかを確認します。
  5. 料金の公開:金額が公式サイトにあるか。SAP関連の製品は非公開が多いので、公開している製品は予算感の目安になります。
  6. 無料トライアルの有無:自社のマニュアルで試せるか。SAPのマニュアルは社内用語だらけなので、カタログより実際に読ませたほうが確実です。

調査方法と集計結果:SAPを名指しで書いているのは15社中11社

本記事の情報は2026年9月21日時点の各社公式サイト・公式ドキュメント・公式プレスリリースに基づきます。
対象は、国内で利用できる社内文書検索AI・生成AIアシスタントのうち、SAP純正、SAPの画面上で動く製品、グローバルの汎用プラットフォーム、国内のナレッジ検索製品、SAPパートナーの生成AIサービスと種類が偏らないように15社を選びました。
新規受付を終了したAmazon Q Businessは対象外です。国内の社内文書検索AIで今回対象に入れなかった製品(exaBase AI、東芝コメンドリwith生成AI、Helpfeel、Aconnect)も念のため確認しましたが、いずれも公式サイトにSAPの記載はありませんでした。

SAPの公式ヘルプ(help.sap.com)は取得できなかったため、SAPの製品ページ・料金ページ・公式eラーニング(SAP Learning)・ニュースリリースで補っています。

  • 自社のSAPマニュアル(PDFやSharePoint上の文書)を読ませて操作手順に答えられる:13社(BeeXとNECを除く全社。この2社はSAPデータの分析・移行支援が主用途)
  • SAPを名指しで連携先・対応先として明記:11社(SAP Joule、WalkMe、テックタッチ、Microsoft 365 Copilot、ServiceNow、Glean、IBM watsonx Orchestrate、Alli、PKSHA、BeeX、NEC)
  • SAPの画面の中で案内・回答できる:3社(SAP Joule、WalkMe、テックタッチ)
  • SAP公式ドキュメント(SAP Help Portal)を元に操作手順を答える:1社(SAP Joule)
  • SAP内のデータを読む接続方法を公式に明記:6社(SAP Joule、Microsoft 365 Copilot(Copilot Studio経由)、ServiceNow、Alli、BeeX、NEC。IBMは接続ドキュメントの存在のみ確認)
  • ECC(旧版・オンプレミス)への対応を明記:4社(WalkMe、Microsoft 365 Copilot(Copilot Studio経由)、ServiceNow、BeeX)。SAP Jouleは「オンプレミスには提供しない」と明記
  • 元の権限を引き継ぐと明記:9社(Microsoft 365 Copilot、Gemini Enterprise、Glean、IBM、ChatSense、Alli、Neuron ES、QuickSolution、PKSHA(SharePoint連携))
  • 料金を金額で公開:6社(SAP Joule(基本機能は追加費用なし)、Microsoft 365 Copilot、Gemini Enterprise、IBM、ChatSense、Alli)
  • 無料トライアル・無償PoCを明記:7社(テックタッチ、Gemini Enterprise、IBM、ChatSense、Alli、QuickSolution、Neuron ES)

「マニュアルを読ませて答える」だけなら、ほとんどの製品でできます。差が出るのは、SAPの画面の中で答えられるか、SAPの中のデータまで読めるか、そして古いECCで動くかの3点です。とくにECCを使い続けている会社は、SAP純正のJouleが使えないため、選択肢が最初から絞られます。

15社の比較一覧

タイプA「SAP純正・SAP画面上で動く」型、タイプB「グローバル汎用プラットフォーム」型、タイプC「国内ナレッジ検索・RAG」型、タイプD「SAPパートナーの生成AIサービス」型。各タイプの説明は次の章以降にあります。

  • SAP Joule(SAP/A):マニュアル読取○(Document Grounding)/SAP画面内○/SAP公式ヘルプで回答○/SAPデータ○/対応:S/4HANA Cloud・SuccessFactors等、オンプレ×/権限:記載なし/料金:基本機能は製品ライセンスに含む、追加はAI Units/トライアル:記載なし
  • WalkMe(SAP傘下/A):マニュアル読取○(AI Answers)/SAP画面内○(SAP GUI含む)/SAP公式ヘルプ:記載なし/SAPデータ:記載なし/対応:S/4HANA・ECC(SAP GUI)・SuccessFactors・Ariba・Concur/権限:記載なし/料金非公開/トライアル:記載なし
  • テックタッチ(テックタッチ/A):マニュアル読取○(自社RAG接続)/SAP画面内○(ブラウザ系)/SAPデータ:記載なし/対応:S/4HANA(Fiori)事例あり、SAP GUI記載なし/権限:記載なし/料金非公開/無料トライアル○
  • Microsoft 365 Copilot(Microsoft/B):マニュアル読取○(SharePoint)/SAP画面内×/SAPデータ○(Copilot Studio経由、BAPI/RFC・OData)/対応:S/4HANA Cloud・オンプレ・ECC/権限○/料金公開(2,698円/人/月〜)/トライアル:記載なし
  • ServiceNow Now Assist(ServiceNow/B):マニュアル読取○(ナレッジベース)/SAP画面内×/SAPデータ○(SAP ECC RFC Spoke、S/4HANA RFC Spoke)/対応:ECC・S/4HANA/権限:記載なし/料金非公開/トライアル:記載なし
  • Glean(Glean/B):マニュアル読取○(SharePoint等)/SAP画面内×/SAPデータ△(SAP Aribaコネクタのみ)/対応:Ariba/権限○/料金非公開/トライアル:記載なし
  • Gemini Enterprise(Google Cloud/B):マニュアル読取○/SAP画面内×/SAPデータ:公式コネクタなし(カスタム接続)/対応:記載なし/権限○/料金公開/無料30日○
  • IBM watsonx Orchestrate(日本IBM/B):マニュアル読取○(AIナレッジ・エージェント)/SAP画面内×/SAPデータ:S/4HANA接続ドキュメントあり(本文未確認)/権限○/料金公開(Essentials 84,500円/月)/無料30日○
  • Alli LLM App Market(Allganize/C):マニュアル読取○/SAP画面内×/SAPデータ○(API・Webhook・MCP経由と明記)/対応:記載なし/権限○/料金公開(初期30万円+月額30万円〜)/PoC1か月○
  • PKSHA AIヘルプデスク(PKSHA/C):マニュアル読取○(SharePoint)/SAP画面内×/SAPデータ:ヘルプデスク製品には記載なし(別製品「AIタスク実行」でSAP標準連携)/権限○(SharePoint)/料金非公開/トライアル:記載なし
  • ChatSense(ナレッジセンス/C):マニュアル読取○(Box・SharePoint)/SAP画面内×/SAPデータ:記載なし/権限○/料金公開(980円/人/月〜)/無料枠○
  • QuickSolution(住友電工情報システム/C):マニュアル読取○(SharePoint・Box・ファイルサーバ等)/SAP画面内×/SAPデータ:記載なし(DB接続はあり)/権限○/料金非公開/評価利用○
  • Neuron ES(ブレインズテクノロジー/C):マニュアル読取○(ファイルサーバ・SharePoint・Notes等)/SAP画面内×/SAPデータ:記載なし(DB接続はあり)/権限○/料金非公開/無料検証○
  • ERPデータ×クラウド×生成AI(BeeX/D):マニュアル読取:記載なし/SAP画面内×/SAPデータ○(自然言語でERPデータ分析)/対応:S/4HANA・ERP 6.0/権限:記載なし/料金非公開/トライアル:記載なし
  • cotomi×Joule によるS/4HANA Cloud移行(NEC/D):マニュアル読取:記載なし/SAP画面内:Joule経由/SAPデータ○(レポート解釈)/対応:S/4HANA Cloud/権限:記載なし/料金非公開/トライアル:記載なし

※「記載なし」は公式サイト・公式ドキュメントに記述がなかったことを意味し、対応していないことを意味しません。料金はすべて公式記載の金額で、導入支援費や接続開発費は含みません。

タイプA「SAP純正・SAP画面上で動く」型(3社)

SAPの画面を離れずに答えが出るタイプです。「どの画面のことか」を説明しなくてよいので現場の負担が最も小さい一方、純正のJouleはクラウド版限定、画面ガイド型の2社はAIで答える部分が別機能になっているなど、条件をよく読む必要があります。

SAP Joule(SAP)

SAP純正の生成AIアシスタントです。
S/4HANA Cloud Public Editionの製品ページには「SAP Help Portalにあるドキュメントに基づいて、自然言語で質問しJouleから助けを得られる(Ask questions in natural language and receive help from Joule, based on the available documentation in SAP Help Portal)」とあり、SAP公式の操作説明で手順に答えられるのは15社の中でこの製品だけです。自社の文書を読ませる「Document Grounding」機能もあり、公式資料には「人事規程や出張規程など自社のコンテンツをアップロードできる」「Microsoft SharePoint」との接続が明記されています。
発注書や出荷伝票などSAP内のデータも会話で参照・作成でき、料金ページでは基本機能(Joule Base)が「月額0米ドル、製品ライセンスに含まれ、AI Unitsを必要としない」とされています。ただし対応製品はS/4HANA Cloud(Public/Private)やSuccessFactorsなどクラウド製品で、SAP公式eラーニングには「オンプレミスには提供されない(It will not be offered for on-premises)」と明記。日本語はSuccessFactors版で対応言語に含まれています。ECCやオンプレミスのS/4HANAを使っている会社は、この製品を選べません。※SAP Help Portalは取得できなかったため、製品ページ・料金ページ・SAP Learning・ニュースリリースを出典にしています。

出典:Joule with SAP S/4HANA Cloud Public Edition、SAP Business AI 料金、Document grounding capability in Joule(2024/9)、Introducing Joule(SAP Learning)、Understanding the Commercial Model(SAP Learning)、JouleとMicrosoft 365 Copilotの連携

WalkMe(SAP傘下)

2024年9月にSAPが買収したデジタルアダプションプラットフォームで、SAPの画面上に操作ガイドを重ねて表示します。
公式ヘルプには「SAP GUI(ECCおよびS/4HANA)とSAP Business Clientにリアルタイムのアプリ内ヘルプを追加(adds real-time, in-app help to SAP GUI (ECC and S/4HANA))」とあり、旧来のSAP GUIの画面上で動くと明記している唯一の製品です。
Web版はS/4HANA、SuccessFactors、Ariba、Concurに対応。AIで質問に答える「AI Answers」は「FAQ、マニュアル、操作ガイド、研修資料、公開サポートページ」を情報源にできるとしていますが、SAP GUI向けのページにAI機能の記載はなく、SAP内のデータ参照も記載がありません。

事例では富士通が「Salesforce、SAP Concur、SAP S/4HANA、ServiceNow」約8万人規模で導入し「問い合わせ数が60%以上削減されたケースもあり」、日清食品ホールディングスがSAP Concurで「問い合わせを約3割削減」と公開しています。料金・トライアルは非公開です。

出典:WalkMe for SAP、AI Answers(WalkMeヘルプ)、Desktop Guidance for SAP(WalkMeヘルプ)、富士通事例、日清食品HD事例(2026/2/10)、SAPによる買収完了(2024/9/12)

テックタッチ(テックタッチ)

国産のデジタルアダプションプラットフォームで、「ブラウザ上で動作するシステムであれば適応可能」とし、S/4HANAではブラウザ版(Fiori)の画面上に操作ガイドを出します。
2026年5月に東ソーがS/4HANAの利用定着に採用、中部電力ではS/4HANAとAribaで「問い合わせ数を55%削減」「不備伝票の割合を83%以上削減」と公開しています。
AI機能「Techtouch AI Hub」は「貴社RAGと業務システムを繋ぐことで、あらゆる業務領域でシステムから直接呼び出せるAIチャット」とあり、自社で構築したRAG環境を接続する前提です。
SAP GUI(デスクトップ版)への対応やSAP内データの参照は記載がありません。料金は「都度お見積り」、無償トライアルありと明記しています。

出典:Techtouch AI Hub、よくあるご質問、東ソー採用リリース(2026/5/14)、中部電力事例、AI型次世代DAPへ進化(PR TIMES 2025/2/13)

タイプB「グローバル汎用プラットフォーム」型(5社)

SAP専用ではなく、社内のあらゆる文書・システムを横断して検索するタイプです。マニュアルがSharePointやGoogle Driveにあれば、そのまま読ませられます。SAPの中のデータを読めるかは製品差が大きく、コネクタの有無を確認する必要があります。

Microsoft 365 Copilot(Microsoft)

SharePointに置いたSAPマニュアルは、通常の社内文書として検索・要約できます。SAPの中のデータについては、Microsoft公式ドキュメントにCopilot Studio(自社用のAIエージェントを作る機能)からの接続方式が整理されており、S/4HANA Cloud(OData)、オンプレミスのS/4HANA(BAPI/RFC、OData)、ECC・R/3(BAPI/RFC)のそれぞれに接続手順があります。オンプレミスはOn-Premises Data GatewayかSAP Cloud Connector経由。加えてSAP純正のJouleとMicrosoft 365 Copilotが相互に呼び出せる連携も、SAPの公式ページで明記されています。料金は日本語ページで「Microsoft 365 Copilot Business 2,698円/ユーザー/月相当(年払い)」と公開。ただしSAP接続部分は「使えばつながる」ものではなく、Copilot Studioでエージェントを作り込む前提です。無料トライアル・日本の事例は取得ページに記載がありません。

出典:Microsoft 365 Copilot 料金、SAP with Microsoft AI: Copilot Studio and SAP Overview(Microsoft Learn)、JouleとMicrosoft 365 Copilot(SAP)

ServiceNow Now Assist(ServiceNow)

ITヘルプデスクの基盤として使われている製品で、ナレッジベースの記事を生成AIが検索・要約する「Now Assist in AI Search」があります。
SAPのマニュアルをナレッジ記事として登録すれば操作手順の問い合わせに答えられ、問い合わせをチケットとして受け付ける仕組みと一体になっているのがこの製品の特徴です。
SAPの中のデータについては、Integration Hubに「SAP ECC RFC Spoke」「SAP S/4HANA RFC Spoke」「SAP Ariba Spoke」があり、「調達、レコード、仕訳などをServiceNowインスタンスからSAP S/4HANAで管理」できるとしています。ただしこれらは業務フロー連携用で、AI検索と直接つながる記述ではありません。
料金は公式サイトでは「お問い合わせ」、無料トライアル・日本の事例は記載がありません。

出典:AI Search(ServiceNow)、SAP S/4HANA RFC Spoke(ServiceNow Docs)、Integration Hub spokes一覧

Glean(Glean)

275以上のコネクタで社内のあらゆる情報源を横断検索する製品で、「権限に基づく検索」を明記しています。
SAP関連で公式コネクタ一覧に載っているのは「SAP Ariba」のみで、取り込めるのはサプライヤー情報や契約・支出データ。S/4HANAやECC、SuccessFactorsのコネクタは公式一覧にありません。
SAPのマニュアルはSharePointやConfluence経由で読ませる形です。料金・日本語対応・日本の事例は取得したページに記載がありません。

出典:Glean Connectors、Ariba integration with Glean、About connectors(Glean Docs)

Gemini Enterprise(Google Cloud、旧Agentspace)

Google Workspace、Microsoft OneDrive/SharePoint、ServiceNow、Jira、Confluenceなどのコネクタで社内文書を横断検索し、権限を引き継ぎます。公式コネクタ一覧にSAP関連のコネクタは載っておらず、ERP系はOracle NetSuite、Microsoft Dynamics 365、Salesforceのみ。SAPにつなぐ場合は「カスタムコネクタの作成」か「カスタムMCPサーバーの接続」を公式ドキュメントが案内しています。
料金はBusiness Editionなどエディション別に製品ページで公開され、Business/Standard/Plusいずれも30日間の無料トライアルがあります。

出典:Gemini Enterprise コネクタ一覧、Gemini Enterprise FAQ、製品・料金、サードパーティデータソースの接続

IBM watsonx Orchestrate(日本IBM)

「AIナレッジ・エージェント」がSharePoint、OneDrive、Box、Google Driveやファイアウォール内の文書を取り込み、権限を継承したうえで引用元付きで回答します。SAPについては、IBM公式ドキュメントに「SAP S/4HANA接続」のページが存在しますが、本文が取得できなかったため接続方式の詳細は確認できていません。
IBMとSAPはRISE with SAPをIBM Power Virtual Server上で動かす提携を公式に発表しています。料金は日本語ページで「Essentials 84,500円/月(税別)」から(グローバル版は530米ドル/月)と公開され、30日間の無料トライアルがあります。

出典:AIナレッジ・エージェント、料金(日本語)、RISE with SAP on IBM Power Virtual Server(SAP News 2025/1)

タイプC「国内ナレッジ検索・RAG」型(5社)

国内ベンダーの社内文書検索製品です。
日本語の手順書、Excelで作った業務フロー、社内用語に強く、料金やトライアルを公開している製品が多いのが特徴です。
一方で、SAPを名指しで書いているのは5社中2社で、SAPの中のデータを読むには個別の接続開発が前提になります。

Alli LLM App Market(Allganize)

公式サイトに「Slack、Teams、Salesforce、SAP、社内基幹システム(ERP・CRM等)など、既存の業務ツールとAPI・Webhook・MCP経由で接続可能」と、国内製品では珍しくSAPを名指ししています。ただし接続の方式や対応バージョンの詳細は記載がなく、「接続できる」までの記述です。
Excel・PDF・Wordの表形式データに対応し、回答には「参照元ドキュメント・該当ページが表示される」。オンプレミス・プライベートクラウドに対応し、料金は「初期費用30万円+月額30万円〜(ユーザー数無制限)」と公開、1か月のPoCプランがあります。日立ソリューションズの導入事例を公開しています。

出典:Alli LLM App Market、Alli GPT

PKSHA AIヘルプデスク(PKSHA)

情シス・経理・人事のヘルプデスクをTeams上で自動化する製品で、「Microsoft SharePointと連携することで、ドキュメントから自動で回答を生成」します。
SAPのマニュアルをSharePointに置いてあれば、そのまま読ませられます。同社の別製品「PKSHA AIタスク実行」には「SAP・Microsoft Intune・SmartHRなど主要SaaSと標準連携」とありますが、AIヘルプデスク製品のページにはSAPの記載がありません。料金・トライアル・製造業事例はページに記載がありません。

出典:PKSHA AIヘルプデスク、PKSHA AIタスク実行、SharePoint連携リリース(2025/2/27)

ChatSense(ナレッジセンス)

「Box・SharePoint・Teamsなど、社内に散らばるデータを、AIエージェントが一括検索します」とし、「権限を維持したまま横断検索が可能」。PDF・Excel・画像の読み込みに対応し、根拠出力の機能があります。
SAPの記載はありません。料金は「ビジネスプラン980円/人/月〜」と公開され、クレジットカード不要で月30回まで無料。エンタープライズプランでは自社環境への構築にも対応します。富士通ゼネラルの事例を公開しています。

出典:ChatSense、RAG機能

QuickSolution(住友電工情報システム)

Microsoft 365(SharePoint/Teams/OneDrive)、Box、Googleドライブ、HCL Notes/Domino、Garoonなど接続先が広く、Oracle・SQL Server・PostgreSQLなどのデータベースも検索対象にできます。
Word・Excel・PowerPoint・PDFなどの形式に対応し、「社内サーバ(オンプレミス)からクラウドサービスまで保管場所を選ばず横断検索」。SAPの記載はなく、SAPのデータを読むならデータベース接続か個別開発になります。
料金は非公開、「社内データでの評価利用、またはデモサイトでお試し」が可能。デンソー、SUBARU、オムロンなど製造業の事例が多い製品です。

出典:QuickSolution、検索可能なデータ形式

Neuron ES(ブレインズテクノロジー)

ファイルサーバー、SharePoint、Notes、Box、Dropbox、Google Drive、各種データベースに対応し、「既存システムのアクセス権情報を考慮して検索結果や生成AIの回答を出力」します。「膨大な社内データを外部やクラウド等へアップロードすることなく」構築できるオンプレミス型が特徴。SAPの記載はありません。料金は非公開、無料検証があります。

出典:Neuron ES、機能一覧・動作環境、生成AI連携

タイプD「SAPパートナーの生成AIサービス」型(2社)

パッケージではなく、SAPパートナーが自社のSAP案件の中で提供している生成AIサービスです。「操作手順に答える」というより、SAPのデータを分析する、移行を支援するという用途が中心で、料金はすべて非公開です。今回調べた大手SIer(富士通、日立、NTTデータ、アビーム、JSOL、電通総研など)は、SAP事業と生成AI事業が別々のページになっていて、両方を組み合わせた名前のあるサービスは公式サイトで確認できませんでした。

ERPデータ×クラウド×生成AI(BeeX)

SAP基盤のクラウド移行を専門とするBeeXのサービスで、「ERPシステム(特にSAP S/4HANAなど)のデータと生成AIをクラウド環境で連携させることにより、誰でもチャット形式の自然言語でERPデータへアクセス」できるとしています。「〇〇の売上が急落している原因は?」といった質問にAIエージェントが答える例を示し、対象はS/4HANAとSAP ERP 6.0(ECC)。AWSのAmazon BedrockとAmazon Q in QuickSightを基盤にしています。操作マニュアルの問い合わせ対応は記載がなく、用途はデータ分析です。料金は非公開。

出典:ERPデータ×クラウド×生成AI、SAPデータ抽出・分析ソリューション(2025/8/6)、SAPアナリティクスソリューション

生成AIを活用したS/4HANA Cloud移行(NEC)

NECは2024年5月、自社のSAP環境(1,200以上のアドオン、200以上の外部インターフェース)をS/4HANA Cloudへ移行するにあたり、SAPのJouleと自社の生成AI「cotomi」を組み合わせ、「アドオン分析、レポート解釈、仕様書からのコード生成、テスト自動化」を進めると発表しました。
移行はアビームコンサルティングが支援。操作手順の問い合わせ対応は記載がなく、外販サービスとしての料金も非公開です。
SAPの大規模移行で生成AIをどう使うかを、名前と数字を出して公表している国内事例として取り上げています。

出典:NECプレスリリース(2024/5/17)

状況別の選び方

  • S/4HANA Cloudを使っていて、まずSAPの操作手順の問い合わせを減らしたい:SAP Jouleが最初の候補です。SAP公式ヘルプで答えられ、基本機能は追加費用なし。自社マニュアルもDocument Groundingで読ませられます。
  • ECCやオンプレミスのS/4HANAを使っている:Jouleは使えません。画面上で案内したいならWalkMe(SAP GUI対応)、マニュアルを読ませて答えたいならタイプB・Cの製品。SAPの中のデータまで読むならMicrosoft 365 Copilot(Copilot Studio)かServiceNowにECC向けの接続方式があります。
  • 問い合わせをチケットとして管理している:ServiceNowかPKSHA AIヘルプデスク。回答できなかった質問がそのままチケットになり、担当者に回ります。
  • マニュアルがSharePointにある:SAP Joule、Microsoft 365 Copilot、PKSHA、ChatSense、QuickSolution、Neuron ESが標準コネクタで対応。移動せずに始められます。
  • 料金を見てから決めたい:金額を公開しているのはSAP Joule、Microsoft 365 Copilot、Gemini Enterprise、IBM、ChatSense、Alliの6社。ChatSense(980円/人/月〜)とIBM(84,500円/月〜)は小さく始めやすい価格帯です。
  • 「承認がどこで止まっているか」までAIに聞きたい:SAPのAPIにつなぐ必要があります。Joule(クラウド版)、Microsoft 365 Copilot(Copilot Studio)、ServiceNow(RFC Spoke)、Alli(API・MCP)が公式に接続方法を書いていますが、どれも「つなげば動く」ではなく、エージェントや接続の作り込みが前提です。

どの製品を選ぶ場合も、回答の質はマニュアルの質で決まります。
画面キャプチャだけで文章のない手順書、更新日が古い手順書はAIも読めません。
導入前に、よく聞かれる質問の上位20件に答えられる手順書があるかを確認するのが近道です。

パッケージでは足りないケース

15社の製品は「マニュアルを読んで答える」部分については十分にそろっています。
一方、SAPの現場で実際に困るのは、公式サイトを読む限り、次のような部分です。

  • ECCを使っていて、マニュアルの回答とSAPの中のデータの両方をAIに聞きたい。純正のJouleは使えず、ECC対応の接続方式を持つ製品でもエージェントの作り込みが要ります。
  • 自社のアドオン画面(標準にないカスタム画面)の操作を答えさせたい。SAP公式ヘルプには載っていないので、アドオンの仕様書や手順書を整備し、標準機能の回答と切り分ける仕組みが必要です。
  • 回答の後に「じゃあ代わりに起票して」まで頼みたい。会話からSAPに書き込む機能はJouleが公式に持っていますが、クラウド版限定。それ以外はAPI連携を自社で組む形になります。
  • 問い合わせの履歴から「どの手順書が足りないか」を見つけて整備に回したい。利用ログはあっても、答えられなかった質問を集めてマニュアル整備につなげる運用はどの製品もパッケージの範囲外です。
  • S/4HANA移行の途中で、ECCとS/4HANA両方の手順書を持っている。移行時期には「旧手順」と「新手順」が混在し、どちらを答えるかを部門や時期で切り替える仕組みが必要になります。

こうした要望は、既製の検索製品を「読み取りと回答のエンジン」として使い、SAPとの接続、アドオン文書の整備、問い合わせログの活用を自社に合わせて作る、という形で解決することが多いです。
パッケージと個別開発は二者択一ではなく、組み合わせるものだと考えると選択肢が広がります。

まとめ:「マニュアルに答える」はできる。「SAPの中を読む」は作り込み

社内文書検索AI15社のうち、自社のSAPマニュアルを読ませて操作手順に答えられるのは13社で、ここに大きな差はありませんでした。差がつくのは、SAPの画面の中で答えられるか(3社)、SAP公式ヘルプで答えられるか(Jouleのみ)、SAPの中のデータを読む接続方法を公式に書いているか(6社)、そしてECCで使えるか(4社)です
。SAP純正のJouleはクラウド版限定なので、ECCやオンプレミスの会社は最初から候補が絞られます。

そして、SAPと接続する、アドオンの手順を答えさせる、問い合わせログをマニュアル整備に回す、といった部分は、どの製品を選んでも自社に合わせて作ることになります。

セルバは、生成AIを使った業務システムを企業ごとに個別開発している会社です。SAPの操作手順書やアドオンの仕様書を読み込んで答える仕組みを自社の文書に合わせて作る、SAPのAPIとつないで承認状況や伝票の内容まで答えられるようにする、ヘルプデスクの問い合わせログから足りない手順書を洗い出す運用を組む、といったパッケージでは合わない部分を小さく作って試すところから伴走します。
「自社のSAP環境だとどのタイプが合うか分からない」という方は、一度ご相談ください。

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中山 健のアバター 中山 健 代表取締役

株式会社セルバ代表取締役。
学生時代にアルバイトでWEB製作会社に入りプログラムを覚える。大学卒業後SIerにて金融システムの開発に携わった後、再びWEB業界へ。

WEB系のプログラム言語とサーバー構築、さらにはCOBOLも出来ます!
最近ではシステム開発だけでなく、SEOやマネタイズなどのグロースハックや企画を担当する事が多いです。

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