創業120年、ハイブランドのOEMも手がける陶磁器メーカー・ニッコー株式会社のキャリアとは

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「環境のせいにせず、自分たちが変えられるかもしれないと思う。それを面白がる力が、これからの時代にとても重要だと思います」——そう語るのは、石川県で約120年の歴史を持つ陶磁器メーカー、ニッコー株式会社の専務・三谷直輝さんです。長年赤字体質だった陶磁器事業を、世界初となる「食器から作る肥料」や、感度の高い人たちが集うセレクトショップという異色の取り組みで立て直してきました。老舗メーカーでありながら次々と新しい挑戦を続ける三谷さんに、仕事の面白さの見つけ方、これからの時代に求められる力について伺いました。

目次

プロフィール紹介

三谷 直輝さん
ニッコー株式会社 専務。東京のデザイン事務所勤務を経て入社し、約12年。長年赤字体質だった陶磁器事業の立て直しに取り組み、食器廃材を活用した肥料ブランド「BONEARTH(ボナース)」やセレクトショップ「LOST _AND _FOUND」の立ち上げを牽引。現在は組織づくりや新規事業の推進を担う。

創業約120年、石川から世界へ ── ニッコー株式会社とは

石川県金沢市で創業し、今は白山市に拠点を移していますが、もうすぐ創業120年になる会社です。当初は良質な陶磁器を作って世界に輸出し外貨を稼ぐことと、日本国内に質の高い食文化を広めることを目的に設立されたと聞いています。

そこから事業は少しずつ多角化していきました。陶磁器を成形する技術を樹脂に転用して浴槽や浄化槽を作ったり、陶磁器を焼く技術を生かして電子セラミック事業に参入したり、タイル事業を買収してタイル張りの浴室を作ったりと、今ではさまざまな場所にニッコーの技術が生きています。数年前には企業ミッションを「未来を素敵にする」という言葉に変えました。

「素敵」という漢字は、もともと「素」に「敵」と書いていて、由来をたどると、たとえ敵であっても素晴らしいと思えることを「素敵」と呼ぶようになったと言われています。つまり「敵だったとしても」は「誰にとっても」に言い換えられる、というところから、誰にとっても素晴らしい未来を作っていこうという意味を込めています。当社は商材の幅が広く、一言でどんな会社と説明しづらいのですが、比較的「素敵」という言葉が似合う商材が多いというのも、このミッションを掲げた理由のひとつです。

ニッコー株式会社の主な事業領域

ボーンチャイナをはじめとする陶磁器(食器)やハイブランドのOEM、オーダーメイドのシステムバスルーム、浄化槽などの樹脂製品、電子セラミック、多岐にわたる製品の企画・開発から製造・販売までを一貫して手がけています。さらに、食器廃材を活用した肥料・フードブランドも展開し、石川県白山市を拠点に世界を視野に入れたものづくりを行っています。

世界初、食器から生まれた肥料 ── 赤字体質からの大転換

入社したタイミングは、ちょうど陶磁器事業がずっと赤字体質だった時期でした。祖業ビジネスでありながら会社全体の利益を押し下げてしまっていて、ここをなんとか黒字化しようといろんなプロジェクトに取り組んできました。

その中で1番大きな取り組みが「サーキュラー」の考え方です。食器事業において主力となっているボーンチャイナ製の食器には、牛の骨灰が約50%含まれています。当社のボーンチャイナの素材としての優位性が、白さや透光性といった意匠面以外にないのか?と可能性を探っていたところ、研究部門のメンバーから「これは肥料になるのではないか」というアイデアが出てきたんです。石川県立大学と共同で実験を重ね、肥料効果が確認できたことで、世界で初めて食器の廃材から肥料を作る仕組みが実現しました。

今はその肥料を「BONEARTH(ボナース)」というブランドで展開していて、今後はすでに販売した食器のうち使われなくなったものを回収し、都市鉱山のように肥料の原料として再生していく取り組みも進めようとしています。

セレクトショップ「LOST AND FOUND」が変えた、陶磁器事業のイメージ

BONEARTH(ボナース)のローンチとほぼ同時期に進めていたのが「LOST AND FOUND」というセレクトショップの立ち上げです。もともと自社のショールームの稼働率が悪く、どうすれば感度の高いシェフやクリエイターに来てもらえるかを考えた末に生まれたコンセプトでした。

この空間があったからこそ、BONEARTH(ボナース)の肥料も単なる「いい取り組み」で終わらず、ライフスタイルの文脈でプレゼンテーションできるようになりました。老舗ならではの「堅い」「古臭い」というイメージが強かった陶磁器事業を、時代に合った形に変えられたのは大きな手応えでした。カーサ ブルータスに見開きで店舗を取り上げていただくなど、メディアでの見え方も変わり、社内でも「陶磁器事業はやめてしまえばいいのに」という空気から、今では1番新しいことに挑戦する事業部という見られ方に変化しています。

さらに、この肥料から作った野菜をアイスクリームに加工して、「BONEARTH FOOD MARKET」という新しいフードブランドも立ち上げました。食器の会社が肥料を作り、食材を作り、フードブランドを作る──この一連のつながりが、私たちがこの事業をやる必然性をどんどん高めてくれていると感じています。

「当社ならでは」を追求できる面白さ

「当社ならでは」を追求できる人に入ってきてほしいと思っています。ただ、入社前から「ニッコーならでは」を思い描いてくる人はいないと思うので、会社というフィルターを通して自己実現をしてもいいんだという空気を、もっと作っていきたいと思っています。

今持っているリソースをどう工夫するか、あるいは競合が持っていないような技術を持つ会社とパートナーシップを組んでいくか。そうやって新しい仕事を作っていくことこそ、この仕事の1番の面白みだと個人的には思っています。

たとえば浄化槽事業でも、最近「みんなの浄化槽」というウェブサービスを始めました。浄化槽は法律で保守点検が義務付けられているのですが、ユーザーと業者のやり取りはずっとアナログな業界なままだったんです。私たちはメーカーでありながら保守点検のビジネスも長く手がけてきました。だからこそ、その経験を生かして、保守点検をウェブサービスで利用者の方にも便利にしながら、業務そのものも効率化できないかと考えました。

高齢化に伴って点検業者が減っていくという社会課題に対しても、私たちのサービスの力で、少しでも解決の糸口をつくれないか。そうした思いで取り組んでいます。

「組織効力感」という独自のキーワード

最近会社で大切にしているキーワードが「組織効力感」です。「自己効力感」という言葉は、自分がやったことのないことでも挑戦すれば達成できるかもしれないという感覚です。組織効力感は「このチームでなら、まだやったことのないことでも実現できるかもしれない」と思える感覚のことです。

自己効力感が高くても組織効力感が低いチームでは、「このチームにいても自分は成長できない」と感じて人が離れていってしまいます。組織効力感を高めるカギは日々のコミュニケーションにあると考えていて、お互いを褒め合うことも大切ですが、それ以上に「当社ならでは」の取り組みに携われているかどうかが大きく影響すると思っています。

昨年から全社で研修を行い、日々の業務の中でどう実践していくかをモニタリングする取り組みも始めています。まだこうした考え方を取り入れている会社は少ないと思うので、これをニッコーらしさのひとつにしていきたいですね。

充実した福利厚生・働き方制度

ニッコーの採用ページには、ライフステージに合わせたワークスタイル、テレワーク、育児・介護に関する制度、リフレッシュ休暇など、数多くの福利厚生・制度が紹介されています。ここでは紹介しきれないほどの内容なので、詳しくは公式サイトの採用ページもあわせてチェックしてみてください。

AIとの向き合い方、そしてこれからの課題

社内に「ITイノベーション本部」という部署があり、全社のITスキル・AIスキルを伸ばすための施策を進めています。「DOJO」というプロジェクトを作り、各事業部・本部から選抜されたり、自ら手を挙げたりしたメンバーが参加する形で学んでいます。まだまだこれからという部分はありますが、労働集約型のビジネス構造をAIでどう変えていけるかに、大きなポテンシャルを感じています。これが進めば利益率も上がりますし、空いた時間を「当社ならでは」の取り組みにもっと使えるようになると思います。

陶磁器事業としては、国内での認知や差別化はある程度進んできましたが、まだ万全とは言えません。次は海外展開が課題です。BONEARTH(ボナース)の肥料もアイスクリームも、まだ海外には出していません。

当社は工場での一貫生産の設備を持っていることが大きな強みで、実はハイブランドのOEMも手がけています。現在は、OEMを受託する場合、対外的に製造していることを発信して良いという承認(ダブルネームでの発信許可含む)を頂くようにしていますが、こうした承認を得られていないブランドもまだ多くあります。最終的には「製造力の強み」と「ブランド力の強み」を一体化できるダブルネームの形を増やしていくことが、次の展開だと考えています。

ニッコーが今、挑戦していること

① 世界初、食器廃材からの肥料づくり
「ボナース」を起点としたサーキュラーエコノミー実現に向け、家庭や飲食店で不要になった食器を回収し、新たな価値へと転換する循環モデルの構築。

② セレクトショップから広がるライフスタイル発信
「LOST AND FOUND」を起点に世の中に埋もれた本当にいいものを発信し、老舗メーカーのイメージそのものを更新

③ アナログ業界へのDX実装
浄化槽業界の保守点検を、デジタルサービスで持続可能な形に変える

④ 「組織効力感」を高める組織づくり
「このチームで成長できる」という確信を育て、「当社ならでは」の仕事を実感できる人材育成

⑤ 製造力とブランド力を融合させた海外展開
ハイブランドがダブルネームにしたいと思える価値づくりへ

読者へのメッセージ

さきほどの組織効力感の話にもつながるのですが、「ジョブクラフティング」というスキルがこれからの時代にとても大事だと思っています。仕事を自分ごととして面白がる力のことです。環境のせいにしてしまえば、どんな言い訳もできてしまいます。でも、それでは何も変わりません。

正直、浄化槽の仕事なんて、普通に生活していたら誰も興味を持たないと思います。でも「これも突き詰めたら面白いことになるんじゃないか」というマインドで考えてみる。私自身、斜陽産業と言われる陶磁器業界の、しかも赤字まっただ中の事業に飛び込みましたが、そこでジョブクラフティングの力があれば「逆に面白いんじゃないか」と思えるようになりました。

条件の良い市場や独占的なポジションにある会社に入りたいと思う方は多いかもしれません。でも、そういう会社を自分たちの力でこれから作っていくチャンスがある会社に入るというのも、同じくらい面白い選択だと思います。まさに今のニッコーが、そのフェーズにいる会社です。誰も気づいていないことを面白がり、自分たちの手で「当社ならでは」を作っていきたいという方には、これ以上ない環境だと思います。ぜひ一度、私たちの取り組みをのぞきに来てください。

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自社の宣伝をしたい方大歓迎!ぜひキャリアクラフトにインタビューさせてください。
取材からインタビュー記事の公開に至るまで、費用は一切かかりません。

自分ではありふれた経歴だと思っていても、過去のあなたと同じ境遇にある方のキャリアの道しるべになるかもしれません。
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この記事を書いた人

キャリアクラフトは大阪・東京を拠点に20年、人材事業やシステム開発を行ってきたセルバが運営する「新しい働き方を創るメディア」です。
従来の新卒や転職だけでなく、フリーランスやパラレルキャリアなどの新しい働き方や、リモートワークや時短勤務などの新しく浸透しつつある制度について発信しています。
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