価値を高める記念日マーケティング|成功事例と失敗事例

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目次

記念日マーケティングとは

記念日マーケティングとは、記念日に関連して、自社の製品・サービスの売上認知向上などを目的とした
キャンペーンなどの販売戦略を指します。

記念日は、以下の4つの特徴に当てはめることができます。

分類特徴
国による記念日国または行政が定めた記念日元日(1月1日)
建国記念日(2月11日)
こどもの日(5月5日)
社会・文化的記念日宗教・文化・社会運動・啓発活動から生まれた記念日クリスマス(12月25日)
バレンタインデー(2月14日)
母の日(5月第2日曜日)
企業・団体による記念日企業・業界団体・NPOが制定した記念日ポッキー&プリッツの日(11月11日)
いい夫婦の日(11月22日)
猫の日(2月22日)
個人の記念日個人・家族に関連する記念日誕生日
結婚記念日
交際記念日

国が定めた記念日や、文化に根付いた記念日など、一口に記念日といってもさまざまな種類が存在しています。

製品・業界のPRや販売促進を目的に、企業・団体が独自に制定している場合もあり、「ポッキー&プリッツの日」や「猫の日」などがこれに当たります。

また、1991年には「一般社団法人 日本記念日協会」が設立され、企業・団体・個人などが設けた記念日の認定・登録を行い、ホームページで紹介するなど、記念日に関する社団法人も存在しています。

記念日マーケティングの効果

さまざまな企業が「記念日マーケティング」を実施し、売上向上を模索しています。
ではなぜ、記念日マーケティングは多くの商品・サービスで実施されているのでしょうか。

物語性によるきっかけ作り

記念日マーケティングを行う最大のメリットは、「物語性」にあります。

マーケティングは単なる宣伝ではなく、消費者心理を刺激し、商品の持つ価値を増幅させる目的があります。

記念日マーケティングでは、特定の日付や節目に紐づけることで、商品やサービスに「物語」を付与することで、消費者の感情に訴えかけ、購買の動機づけを強化することができます。

こうしたマーケティングの物語における特性を清宮政宏氏(滋賀大学経済学部)の『物語を使ったマーケティングが有効となる条件とその限界に関する試論』では以下のように説明されています。

物語はマーケティング活動の中では,製品・サービスの機能提示だけに留まらず,意味的な価値を付加して顧客に訴えるのに適している。
また顧客の感情に訴えかけ共感を持たせ,数値データでの理詰めの説得とは別なかたちで,顧客の態度変容を促すのにも効果があるといえる。

引用元:清宮政宏「物語を使ったマーケティングが有効となる条件とその限界に関する試論」(滋賀大学経済学部研究年報Vol. 28, 2021年)

つまり、マーケティングにおける「物語」は、商品に物質的価値ではなく「意味的価値」を与える手段であり、商品を通じて共感や感情的説得を生み出し顧客の行動を変化させる力を持ちます。

実際に、記念日には「振り返り」「感謝」「共有」といった感情が伴いやすく、「自分の過去」「家族との関係」「社会的つながり」を思い起こさせる装置として機能します。

記念日はもともと感情や物語が付随しやすい土壌を持っており、企業は「感謝を伝える」「思い出を共有する」などのきっかけを提供することができるのです。

また、記念日が近づくと多くの人がその日を意識し始めることになります。
SNSやメディア、友人・家族との会話を通じて、「みんなが祝っている」「自分も何かしよう」という社会的同調が生まれ、こうした同調が消費者の行動を変化させるきっかけになります。

すなわち、記念日マーケティングは「共感と参加を生みだすきっかけ作り」といえます。

関心を流用した認知向上

記念日マーケティングは、すでにある関心を流用できるという特徴があります。

「クリスマス」「母の日」「猫の日」など、広く定着した記念日は毎年大きな話題性を持ち、企業はこの社会的関心を活用して商品やサービスの認知拡大につなげることができます。

たとえば、クリスマスや母の日には「プレゼント」「ギフト」といった検索需要が急増し、SNSでも「#クリスマス」「#母の日」がトレンド入りします。
こうしたタイミングで関連投稿や新商品を打ち出すことで、自然な露出と拡散効果が得られます。
企業や団体が「クリスマスマーケット」や「バレンタインフェア」など、記念日をテーマにしたイベントを開催していることも多く、イベントへの出展・コラボを通じて、宣伝の機会を得ることができます。

また、記念日マーケティングは「社会的記念日」に限らず、個人の記念日にも効果を発揮します。
誕生日には「誕生日プレゼント」、卒業シーズンには「卒業旅行」など、個人が経験する記念日に合わせた商品・サービスの提案が可能になり、個人のライフイベントに寄り添った認知拡大を図ることができます。

費用対効果が高い

新規のキャンペーンや広告施策を立ち上げる場合、企画・制作・告知のプロセスに多くのコストが発生します。
しかし、記念日マーケティングは既存のイベントや関心を流用できるため、初期投資を大幅に抑えることができます。

毎年恒例の「クリスマス」や「バレンタイン」は、すでに社会的に広く認知されており、その時期になると自然にメディアやSNSで大きな話題になります。
企業はその社会的な盛り上がりに合わせて発信を行うだけで、自社の商品やサービスが消費者の目に留まりやすくなります。

また、記念日マーケティングは、以前に制作した素材やノウハウを再利用できる特徴があります。
過去のキャンペーンで使用した写真・デザイン・コピーを一部修正して再展開することで、制作費を抑えつつ、一貫したブランドメッセージの発信が可能になります。
SNSでの反応データや広告運用の成果、顧客属性データなどを活用することで、より高い広告効果を得ることができます。

一度投入したコストを無駄にせず、資産として再利用することで、中長期的なコストを抑えることができます。

記念日マーケティングの実践ポイント

記念日マーケティングを行う上では、打ち出したい商品・サービス・ブランドの分析が不可欠です。
記念日との関連性が薄い広告や商材では、記念日マーケティングを実施する意義がなく、十分な効果を得ることはできません

記念日マーケティングには主に3つの種類があります。

種類特徴
国が制定した、
社会に定着した記念日
元日
こどもの日
クリスマス
母の日
父の日
社会的関心を流用し、多くの人への認知拡大が期待できる
業界・企業が制定した記念日ポッキー&プリッツの日
いい夫婦の日
創業記念日
企業や業界の認知拡大
ブランド力の向上
個人記念日誕生日
入学・卒業
結婚
パーソナライズされた思い出に残る体験

商材の分析を徹底し、記念日の特徴と紐づけることで、より効果的な記念日の選定が可能になります。
単なる宣伝機会の創出ではなく、顧客の共感を生み出すことで商材の価値を高めることが重要です。

また、記念日マーケティングは一度きりではなく、継続的に改善していく仕組みづくりが欠かせません。
サイトアクセス数やエンゲージメント率、顧客データなどを収集・分析することで、次回以降の企画精度を高めることができます。

日本記念日協会への登録

日本記念日協会は、企業・団体・個人が制定した記念日を登録・認定する、日本で唯一の民間機関です。
法的拘束力を持つものではありませんが、登録を行うことでその記念日が正式に証明され、企業が対外的に宣伝・広報を行う際の社会的裏付けとして機能します。

協会への登録は、記念日を社会的に「見える化」し、ブランド価値を高める手段として非常に有効です。

登録は、「一般社団法人 日本記念日協会」の公式サイトから行うことができます。

STEP
記念日登録書による申し込み

登録したい記念日の名称・日時・目的などを記載し提出。

STEP
記念日登録審査会による査定

協会による審査や、追加の資料提出。

STEP
記念日登録審査の合格通知

合格通知書と請求書の郵送。

STEP
正式登録と記念日登録証の発行

記念日登録証の発行と、記念日データベースへの登録。

記念日協会への登録には、1件につき15万円(税別)の登録料が発生します。
登録が完了すると、協会の公式サイトにおいて、記念日の名称・日付・由来・登録者名などが掲載されます。
登録の翌年から5年ごとに「記念日登録確認書」が郵送され、確認書を返送することで登録を継続できます。

その際に更新料は発生しませんが、確認書の返送がない場合や、登録者と連絡が取れない場合には登録が抹消されるため注意が必要です。

記念日マーケティングの成功実例

ここからは、実際の企業や団体が行った記念日マーケティングの実例のついてご紹介します。

ポッキー&プリッツの日(11月11日)

ポッキーとプリッツ形が数字の1に似ていることから、江崎グリコ株式会社が平成11年(1999年)11月11日に制定。

視覚的・直感的にわかりやすい構造で、圧倒的な知名度を誇る。

画像引用元:江崎グリコ株式会社
ポッキー&プリッツの日

記念日マーケティングを代表する事例が「ポッキー&プリッツの日(ポッキーの日)」です。

1が4つ並ぶ11月11日というわかりやすい日付は、スティック状の商品の形とも重なり、消費者にとって非常に覚えやすい構造となっています。
1999年の制定以降、25年以上にわたり毎年欠かさずキャンペーンを実施しており、テレビCMやSNS、芸能人・インフルエンサー・時代の変化に対応した多角的なプロモーションを実施してきました。

また、ポッキー&プリッツの日は、共感性に対して大きな強みを発揮してきました。
SNS上で、ポッキーに関する投稿数でギネス記録を目指す企画や、「ポッキー派」「プリッツ派」に分かれて投稿するキャンペーンなど、共感と参加を誘発する多彩な取り組みが行われてきました。

「ポッキー&プリッツの日」は、25年以上続く継続性と、多くの人が参加したくなる共感性により、記念日マーケティングにおいて圧倒的な成功を収めています

ONE PIECEの日 (7月22日)

週刊少年ジャンプで連載されている人気漫画「ONE PIECE」。

2017年に連載20周年を記念して、発行元の株式会社集英社が制定。
日付は初連載日である7月22日にちなんで決められました。

画像引用元:集英社『ワンピースデイ 公式サイト

人気漫画『ONE PIECE』の「週刊少年ジャンプ」に初掲載された7月22日にちなんで、2017年に「ONE PIECEの日」として制定されました。
以降、7月22日には毎年さまざまな記念イベントが開催されています。

これまでに、麦わらの一味の声優陣を招いたトークイベントや、主題歌アーティストによるライブパフォーマンス、新作映画の一部公開など、多彩な企画が行われてきました。
また、毎年この時期に合わせて、アニメ・映画・ゲームなどの新情報を発表しています。

こうした新情報が大きな話題性を生み出しイベントの認知度や集客力の向上につながっています

肉の日(毎月29日、2月9日、8月29日、11月29日 など)

「2(に)9(く)」という語呂の良さから、肉に関する記念日は数多く制定されています。

毎月29日や2月9日の「肉の日」をはじめ、7月29日の「謎肉の日」、8月29日の「焼肉の日」、11月29日の「いい肉の日」など
多くの企業や業界団体が記念日を設け、キャンペーンを展開しています。

「2(に)9(く)」という語呂の良さから、日本では肉に関する記念日が数多く制定されています。

牛角や焼肉きんぐ、安楽亭などの焼肉チェーンでは、毎月29日や8月29日(焼肉の日)に合わせて、さまざまなキャンペーンが実施されています。
こうした焼肉チェーンだけでなく、ファストフードやファミリーレストラン、全国のスーパー、地元の精肉店、調味料メーカー、自治体、観光業など、異なる業種や地域が連携した多彩な企画も展開されています。

肉に関連した新商品の発売や、肉をテーマにしたフェス・イベントが各地で開催され、食の楽しみを共有する新たな価値提供の場として、多くの人に親しまれています。

記念日マーケティングの失敗事例

記念日マーケティングは、社会的関心や季節を活用する販売機会である一方、特別な日が持つ価値やターゲット層を軽視することで、大きな失敗につながる可能性を持っています

ここでは、大きな波紋を呼んだ記念日マーケティングついてご紹介します。

アツギ「タイツの日」(2020年)

「タイツの日」とは?

女性がタイツは元々片足ずつ編まれ、後に1本のタイツに作法された形が「11」に似ていること。
2つがペアであることから、11月2日が「タイツの日」として制定されました。

株式会社エムアンドエムソックスが記念日協会に制定
画像引用元:アツギ株式会社

ストッキング・タイツメーカーのアツギ株式会社は、11月2日の「タイツの日」に合わせて「ラブタイツキャンペーン」と呼ばれるPR活動を、公式Twitter(現・X)で実施しました。

このキャンペーンでは、数十名のイラストレーターに同社製品を着用した女性をテーマにしたイラストを制作してもらい、「#ラブタイツ」のハッシュタグ付きで投稿してもらうという企画でした。

しかし、投稿されたイラストの中には、スカートをたくし上げた姿や短いスカートの女性など性的に強調された描写が含まれていました。

SNS上では「女性の性的搾取を助長する」「購買層ではない男性向けの表現では?」といった批判が相次ぎました。

https://twitter.com/machikoko123/status/1323238865239384065?t=lHRd_T_i_X4r7pYKL1TefA&s=19

さらに、公式アカウントの過去投稿から、担当者が一部のイラストレーターに個人的な返信を行っていたことが発覚し、「公私混同だ」と指摘され、炎上はさらに拡大しました

失敗した原因

このキャンペーンが失敗した最大の要因は、ターゲット層と企業の目的の違いにあります。

アツギの主なターゲット層は、防寒やファッション目的でタイツを着用する女性層です。
そのため、際どいイラスト表現はターゲット層からの反感を買いやすく、実用性・おしゃれ・清潔感のような共感軸から大きく逸脱していました。

また、今回のPRは、商品訴求よりも「SNSでの話題化(バズ)」を重視していた点が見て取れます。
本来のターゲット層とは違う層に向けて発信することで、新規顧客獲得や認知拡大を狙った企画でした。
炎上の影響もありましたが、一部の投稿では10万件を超える「いいね」を集めるなど、大きな話題を呼んだことは確かです。

バズを狙った異分野に対するプロモーションは短期的な注目を集める一方で、ブランドイメージを損なうリスクを伴います
アツギは、ターゲット層への理解を欠いたまま話題性を優先した結果、それまで築いてきたブランド価値と本来の顧客を手放す結果になったといえます。

グルーポン・バードカフェ「スカスカおせち」(2010~2011年)

グルーポンは2008年に米国で創業した、共同購入型クーポンサイトを運営するIT企業です。(2020年に日本から撤退済み)
一定期間内に特定の人数が集まった場合にのみ、商品やサービスを大幅割引で販売する仕組みで人気を集めました。

2010年末に、横浜で経営するレストラン「バードカフェ」がグルーポンを通じて、定価の半額である1万500円で「おせち」を販売しました。
しかし、届いた商品は掲載されている写真と大きく異なるものであり、「中身がスカスカ」「傷んでいるものがある」などの苦情が相次ぎました。

←まとめサイトに投稿された「スカスカおせち」

画像引用元:日経ビジネス

グルーポン「おせち」4年ぶり復活へ、真意と覚悟は

グルーポン側は、販売店舗の実態を十分に把握しておらず、品質管理・販売監督体制に重大な不備があったことが後に明らかになりました。

記念日マーケティングが持つリスク

この事件は「記念日が持つ価値の大きさ」を象徴する事例でもありました。

おせちは、年に一度の正月シーズンにふるまわれる特別な料理です。
正月は、家族や親戚が集う、極めて意味的価値の高い時期であり、「おせち」に対する期待は大きいものでした

お正月やクリスマスといった記念日は、消費者にとって単なる購買機会ではなく、感情的・社会的な意味を持つ体験の場です。
期待していた商品とは程遠いものが届いたことで、期待は怒りへと変わり大規模な炎上を引き起こしました

記念日における販売やキャンペーンにおいては、価格や話題性も重要ですが、品質・信頼・体験価値の保証の徹底が求められることが明らかになりました。

まとめ

記念日マーケティングは、商品と日付を結びつけるだけの販売促進活動ではありません

商品のテーマやターゲット層を丁寧に分析し、消費者の心理や感情を刺激することで、共感や新たな価値を生み出すことができる重要な戦略です。
継続的に実施することで、キャンペーンの改善や認知度の向上につながり、ブランド力を高め、より効果的な施策を展開することができます。

一方で、記念日は人々の関心が高く、期待値も大きい分、安易な企画や低品質な商品は、消費者の期待を失望へと変えるリスクを伴います

記念日マーケティングでは、話題性や広告効果だけでなく、高い品質と体験価値を提供し、継続的な開催と改善を重ねていくことが求められます。

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YTGのアバター YTG WEBマーケター

広報・マーケティング部所属のインターン生。
趣味は映画鑑賞と散歩で、新しい視点や考え方に触れるきっかけになっています。
わかりやすい記事を目指すべく、親しみやすい言葉遣いを心がけています。

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