しまむらはなぜ成長を続けられるのか?経営戦略と競合他社との違い

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1990年代に約15兆円の市場規模を誇っていた国内アパレル市場は、2025年時点で約8兆円にまで縮小しており、大手ブランドの経営不振や店舗閉鎖も相次ぎ、市場全体は厳しい環境にあります。

しかしそのような中で、しまむらグループは堅実に業績を伸ばし続けています。

2025年2月期(※1)の売上高は6,653億円、営業利益は592億円で前年に比べ大きく増加しており、当期純利益は418億円で、2年連続の過去最高益を更新しています。
2015年(※2)では売上高5,118億円、国内店舗数約1,900店だったしまむらは、ここ10年で約1,500億円の増収を果たし、国内店舗数も約2,200店へと300店舗以上拡大しています。

(※1 出典:しまむら 第 72 期 決算概要
(※2 出典:しまむら 第 62 期 決算概要

では、なぜしまむらはここまで安定した成長を可能にしているのでしょうか。
本記事では、その経営戦略を徹底解説するとともに、ユニクロやH&Mといった競合他社との違いについてもご紹介します。

目次

ローコストオペレーション

しまむらの成長を支えている最大の要因は、徹底したローコストオペレーションです。
出店から販売、物流、店舗運営に至るまで、すべての工程でコスト削減を追求することで、同業他社よりも高い利益率を維持しています。

ここでは、具体的なコスト削減の施策をご紹介します。

独自の物流と業務システム

しまむらの低価格経営を支えているのが、自社で構築した物流と業務システムです。

グループ全体で2,000店舗以上展開しているしまむらにとって、商品の配送コストは収益性を左右する重要課題です。注目すべきこととして、しまむらはまだ店舗数が数十店規模だった1980年代から物流への投資をすでに始めており、自社の商品センターを設け、商品の一括仕分け・値札付けを行う仕組みを導入していました。

一般的に、この規模で商品センターを持つことは稀であり、当時から多店舗展開を見据えていたことが分かります。

また、同時期からコンピューターを導入して売上や仕入れをデータで管理し、1990年代にはPOSシステムを活用した在庫・販売管理を開始しました。

競合他社よりも早い段階から物流とシステムに投資したことが、現在の効率的なオペレーションの土台となっています。

店舗開発

しまむらは出店コストを抑えるため、店舗開発を自社で手掛ける体制を整えています。
一般的には不動産業者に依頼することが多い立地開発ですが、しまむらでは土地の選定から地主との交渉、建設計画、さらには店舗改装に至るまで、すべてを自社の開発部門が担当しています。
これにより、外部業者への中間マージンを排除し、大幅なコスト削減につなげています。

立地選定にも特徴があり、都心の一等地ではなく、郊外のロードサイドを中心に出店しています。
ロードサイドとは、幹線道路や生活道路に面している土地で、安価な土地代や賃料で広い敷地を確保することができます。
広い土地では駐車場を設置できるため、自家用車で買い物に訪れるファミリー層を取り込みやすくなります

また、特定地域に集中して複数店舗を展開する、ドミナント出店戦略(特定の地域での集中出店)を採用しています。
この出店戦略では、地域内での存在感や認知拡大、配送効率の向上にもつながっています。

広告・宣伝

従来のしまむらは、テレビCMや折込チラシを中心に広告展開を行ってきましたが、現在では、SNSやWebチラシを中心としたデジタル広告へ移行しています。

テレビCMは幅広い層に認知を広げる効果がある一方で、購入までの導線が弱く費用も高額でした。
加えて、主なターゲット層である主婦やファミリー層の情報収集手段が紙からスマートフォンへ移行したことも、広告戦略を見直す大きな要因となっていました。

しまむらは長年のテレビCMよってすでに高い認知度を築いていたこともあり、今求められているのは認知拡大よりも購買行動につながる広告です。
そこで、SNSや公式アプリを活用し、セール情報や新商品の入荷をタイムリーに、かつ購買層に対して低コストで発信する戦略へとシフトしています。

また、外部スタジオで撮影していた商品写真を本社内に専用スタジオを設置して、広告制作を内製化しています。
自社で広告制作を行うことで、コスト削減と素早い広告制作を実現しています。

広告や物流、店舗開発までを徹底してコスト削減することで、低価格を維持しながらも安定した利益率を確保しています。

商品戦略

しまむらが成長しつづけている理由の一つは商品戦略です。
ただ多彩な商品を揃えているだけではなく、多くのニーズに応えつつリスクを分散する仕組みができています。

仕入

しまむらは、メーカーや商社から商品を仕入れて販売する仕入型モデルを採用しています。
この方式により、数多くの商品を取り扱うことができ、幅広い顧客ニーズに応えることが可能です。

全国規模での大量発注、売れ残りを返品しない完全買取、商品センターへの一括納品を行い、仕入れ価格を大幅に抑えることに成功しています。

柔軟な品揃え

しまむらの大きな強みの一つが、地域や顧客層の特性に応じて売場を柔軟に調整できる品揃えです。

しまむらは全国に出店していますが、地域によって客層やニーズは大きく異なります。
そのため、寒冷地では防寒着を厚めに用意し、温暖地では軽衣料を中心に展開するなど、その土地の暮らしに合わせた商品構成を実現しています。

こうした取り組みで、全国チェーンでありながら地域密着型の店舗運営を実現しています。

在庫リスクの分散

しまむらの商品戦略で特徴的なものが、在庫リスクを分散する仕組みです。
あえて売れ筋商品を絞り込まず追加発注も行わない方針を採用し、多品種少量の商品展開を基本としています。

この方針により、特定商品の売れ残りによる損失を抑えつつ、人気商品でも在庫が一部に集中するリスクを防いでいます。

また、整備された物流網を活用し、店舗間での商品移動を効率的に行える体制を構築しています。
売れ残りそうな商品を需要のある店舗へ移すことで在庫の偏りを解消し販売機会を最大化しています。

在庫リスクの分散と効率的な物流体制の両立は、しまむらの低価格経営を支える重要な仕組みとなっています。

ブランド戦略

しまむらグループは、単一ブランドに依存せず、ターゲット層やライフステージごとに業態を分けたブランド戦略を展開しています。

ここでは、そんなしまむらグループの代表的なブランドについてご紹介します。

ファッションセンターしまむら

  • ターゲット層  
    主婦層やファミリー層を中心に、幅広い年代
  • 特徴     
    日常使いのベーシックな衣料を低価格で提供

画像引用元:ファッションセンターしまむら

グループの中心である「ファッションセンターしまむら」では、普段着や実用的な衣料を低価格で提供し、主婦層やファミリー層から支持を集めています。
郊外を中心に出店しているため、車で訪れやすく、ファミリー層が気軽に利用できるのも強みです。

自社開発商品として機能性や快適性を重視した「CLOSSHI(クロッシー)」や、デザイナーのコシノヒロコと共同開発した「HK WORKS LONDON」などを展開しています。

長年の取引経験を通じて蓄積したノウハウを活かし、価格だけでなく品質やデザイン性でも選ばれる商品開発を行っています。

バースデイ

  • ターゲット層  
    0歳~小学校低学年までの子供を持つファミリー層
  • 特徴      
    子ども服と育児雑貨を低価格で提供

画像引用元:バースデイ

「バースデイ」は、成長に合わせて頻繁な買い替えが必要となる子ども服を、かわいいデザインを低価格で提供しているブランドです。
衣服だけでなく、育児雑貨やおもちゃ、通学用品まで幅広く取り扱っており、日常使いのベーシックな衣料を低価格で提供を実現しています。

また、女性ファッション誌『リンネル』編集部と共同開発したブランド「futafuta(フタフタ)」や、アンパンマン・すみっコぐらしといった人気キャラクターとのコラボ商品は特に人気が高く、SNSを中心に話題になりやすい商品群となっています。

かわいいデザインの衣服や雑貨を低価格で提供することで、バースデイは子育て世代から大きな支持を集めています。

アベイル(Avail)

  • ターゲット層  
    10~20代の若年層
  • 特徴      
    低価格で提供するカジュアルファッション

画像引用元:アベイル

「アベイル」は、10〜20代の若年層をメインターゲットとしたブランドです。
衣料品を中心に、バッグやシューズ、アクセサリーなどのファッション雑貨も取り扱い、トレンドを取り入れたカジュアルファッションを低価格で提供しています。

また、アニメやアイドル、人気インフルエンサーとのコラボ商品も多く、若年層の関心を集めやすいのが特徴です。

こうした取り組みにより、アベイルは「低価格でトレンドを楽しめるブランド」として、若者層の心をつかみ、しまむらグループ全体の顧客層を若年層まで広げる重要な役割を担っています。

幅広いしまむら系列ブランド

しまむらグループは、他にも様々なブランドを展開しています。

こうしたブランド展開により、しまむらグループは商品カテゴリーを広げるだけでなく、ブランドごとに役割を分担し、多様な生活シーンと市場ニーズをカバーしています。

こうしたブランド戦略により、競合との差別化となり、安定した成長につながっています。

人材戦略

しまむらは商品戦略だけでなく、人材戦略でも目を見張るものがあります。

従業員の8割はパート社員

しまむらグループの従業員の8割以上はパート社員で構成されています。
これは単に人件費削減という目的だけではありません

パート社員の多くは主婦であり、しまむらのメインターゲットであるファミリー層・主婦層と重なります。
ターゲットと従業員を一致させることで、顧客が求める接客や店の雰囲気を理解しやすく、販売現場において大きな強みを発揮することができます。

パート社員でも高待遇

パート社員にも勤続評価やボーナス、退職金制度が整備されており、能力の高い人材を正社員に登用する仕組みもあります。

店長・副店長候補者にはマネジメントや売場運営を学ぶ研修を実施し、将来的な店舗運営を担う人材の育成にも取り組んでいます。

競合との比較と特徴

しまむらはファストファッションのひとつであり、競合としてよく比較されるのは、国内最大のアパレル企業であるユニクロ、海外ファストファッションを代表するH&Mです。

ユニクロとH&Mはいずれも、SPA(製造小売)モデルを採用しています。
商品企画から製造・販売までを自社で一貫して行う仕組みで、トレンドへの即応性や高い利益率を実現できるのが特徴です。
一方で、自社生産を前提とするため在庫リスクを抱えやすく、商品が定番化すると街中で同じ商品を着る人が増え消費者自身が他人と差別化しにくいという課題もあります。

ここでは、ユニクロ、H&M、しまむらの特徴をそれぞれの特徴を整理し、競合との違いについて解説していきます。

ユニクロの特徴

ユニクロは、性別や世代を問わず着られるベーシックな日常着を展開しています。

特に強みを発揮しているのが素材開発機能性アイテムであり、ヒートテックやエアリズムといったオリジナル素材は、低価格でありながら高機能を備え、ユニクロの代名詞となっています。

ユニクロは国内外で2,500店舗以上を展開しており、世界規模での大量生産・大量販売を可能にしています。
安定した品質と価格を維持し、広告や店舗デザイン、商品のブランドイメージが統一されています。

しかし、ベーシックな商品が中心であるためトレンド性が低く、街中で同じ服を着ている人が目立ち、「ユニかぶりと呼ばれる現象も生まれています

H&Mの特徴

H&Mの最大の強みは、トレンドをいち早く商品化できるスピードです。
世界各地に配置されたデザインチームが情報収集を行い、最新のコレクションやSNSで話題になったスタイルを短期間で商品化します。

生産面では、短納期対応が可能なヨーロッパ近隣でトレンドアイテムを作り、大量生産が得意なアジアでベーシックアイテムを生産するハイブリッドな生産方式を採用しており、商品化スピードと大量生産を両立しています。
有名デザイナーやセレブとのコラボレーションも積極的に行い、話題性を高い商品を多く作り出しています。

しかし、トレンドを短期間で商品化するビジネスモデルのため、品質のばらつきや在庫廃棄が起こりやすく環境問題としての問題も指摘されています

しまむらの特徴

しまむらの最大の特徴は、低価格でありながら幅広い品揃えを提供できる点です。

多くの商品を扱うことで幅広いニーズに応えられるほか、特定の商品に依存しないため在庫リスクを分散できます。
豊富な選択肢があることで、街中で同じ服を着ている人と出会いにくい安心感を提供できるのも魅力のひとつです。

一方で、仕入型モデルであるために商品デザインや品質に一貫性を持たせにくくブランドイメージの統一化が難しいという課題があります。

また、EC(ネット通販)の売上比率が低く、デジタル化の遅れが弱点となっています。

しまむらはユニクロやH&MのようなSPA(製造小売)ではなく、仕入型モデルを採用しているため、商品デザインや品質の一貫性が弱いものの、低価格で人と被らない多様性を求める層に応えることで、縮小が続く国内アパレル市場において堅実な成長を実現してきました。

まとめ

しまむらは、縮小が続く国内ファッション市場の中で、低価格と幅広い品揃えを武器に売上を伸ばしてきました。
その背景には、物流・店舗開発・広告までを徹底的に効率化するローコストオペレーションや、あえて主力商品を絞りこまず幅広いニーズへ対応するなど、戦略的に売上や利益率を伸ばしてきたことがわかります。

一方で、仕入型ゆえにブランドイメージの統一感を生み出しにくく、ECの売上比率の低さからデジタル化の遅れという課題は存在しています。
しかし、主婦層やファミリー層を中心に「人と被りにくい商品を安く手に入れられる」という独自の魅力を提供することで、アパレル業界においてユニクロやH&Mとは異なるポジションを確立しました。

インターネット黎明期から事業を続けてきたセルバでは、Webサイトの集客や経営戦略についての相談にものっています。お気軽にお問い合わせください。

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YTGのアバター YTG WEBマーケター

広報・マーケティング部所属のインターン生。大学では経済学を学んでいます。
趣味は映画鑑賞と散歩で、新しい視点や考え方に触れるきっかけになっています。
わかりやすい記事を目指すべく、親しみやすい言葉遣いを心がけています。

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