中小企業省力化投資補助金とは?|カタログ注文型と一般型の違い

中小企業省力化投資補助金は、業務効率化を支える設備やシステムへの投資支援制度です。
人手不足が深刻化する中、日本を支える中小企業にとって、省力化投資は生産性向上の重要な手段となっています。
本記事では、制度の基本から補助額、公募要件、申請時の流れをを整理し、わかりやすく解説します。
そもそも中小企業省力化投資補助金とは?

中小企業省力化投資補助金は、中小企業の省力化投資(設備・システム導入等)を支援する国の補助金制度です。
人手不足に悩む中小企業に対して、生産性向上につながる投資を後押しし、売上拡大や賃上げを目的としています。
後述しますが、中小企業省力化投資補助金は、「カタログ注文型」と「一般型」の2つがあり、補助額や対象が異なります。
「サイトを読むのが面倒」「まずは手早く全体像を確認したい」という方は、公式サイトのチラシや案内もおすすめです。
詳しくはこちらの「中小企業省力化投資補助金(広報ツール)」からご覧ください。
カタログ型と一般型の違い
省力化投資補助金には「カタログ注文型(カタログ型)」と「一般形」の2つがあります。
| 項目 | カタログ型 | 一般型 |
|---|---|---|
| 補助対象 | 登録された省力化製品の導入 | 現場に合わせた設備・システムの導入 |
| 補助額 | 最大1,500万円 | 最大1億円 |
| 応募条件 | 労働生産性を年3%向上 | 労働生産性を年4%向上 給与支給の年平均成長率を3.5% 最低賃金+30円以上の水準 |
| 申請手続き | サポートもあり比較的容易 | 相応の労力が必要 |
| 投資効果 | 一般型に比べ小規模 | 大きな投資効果 |
カタログ型は、応募条件や申請手続きが易しく、はじめてでも進めやすい制度です。
一般型は、現場に最適化した設備・システム投資を行い、大きな投資効果を狙いたい企業に向いています
カタログ型とは?|メリットとデメリット

カタログ型は、あらかじめ「省力化製品」として登録された製品の導入費用の補助金です。公募期間中であれば随時申請を受け付けています。
2026年(令和8年)1月時点では、2026年9月末頃まで申請を受け付けると案内されています。
省力化製品に登録されている製品は以下のようなものがあります。
- 建設業
- 測量機(自動視準・自動追尾機能付き高機能トータルステーション)、地上型レーザースキャナー など
- 製造業
- 産業用印刷機、鍛圧・板金加工用バリ取り装置、自動裁断機 など
- 飲食サービス業
- スチームコンベクションオーブン、券売機 など
- 小売業
- タブレット型給油許可システム、印刷物インサーター、食品包覆機 など
- 宿泊業
- スチームコンベクションオーブン、自動チェックイン機、清掃ロボット など
このほかにも、専門・技術サービス業、理容・美容業、自動車整備業、運輸業など、さまざまな業種の省力化を支援する製品が登録されています。
詳しく知りたい方は、公式サイトの「中小企業省力化投資補助金(製品カタログ)」をご確認ください。
カタログ型のメリット
カタログ型の特徴は、投資までのスピードと導入手続きの進めやすさにあります。
申請時は、カタログから省力化製品と販売事業者を選定するため、導入機器や省力化の方向性が固まりやすく、省力化手段選定から申請までをスムーズに進めやすい点がメリットです。
また、カタログ型では販売事業者が申請や事業計画に関するサポートを行うため、補助金申請が初めての場合でも支援を受けながら進めやすいのも特徴です。
カタログ型のデメリット
一方で、カタログ型は省力化製品として登録されているものしか対象にならないため、導入できる製品・要件に制約があり、自由度には限界があります。
また、補助上限額は最大1,500万円で、一般型(最大1億円)と比べると規模が小さく、大規模投資を検討している企業には向きにくい傾向があります。
総合的に言うと、カタログ型は、「早く投資を進めたい」「申請手続きに不安がある」「投資規模や自由度よりも確実な導入を重視したい」という企業に向いている制度です。
※ このブログは創業22年のWeb企業「セルバ」が運営しています。
興味があれば[会社紹介はこちら]もご覧ください。
一般型とは?|メリットとデメリット

一般型は、それぞれの現場や課題に応じて、設備やシステムを柔軟に設計・導入できる投資支援制度です。
一般型の申請は、公募回ごとに受け付けられます。
2026年1月時点では第5回公募が案内されており、申請受付は2026年2月上旬、締切は同年2月下旬が予定されています。
具体的な日程は公表されていないため、最新情報は公式サイトをご確認ください。
カタログ型のように「登録された製品を選ぶ」前提ではなく、自社の業務に最適な設備・システム導入を行える点が特徴です。
一般型の投資には以下のものが想定されています。
- 機械装置費
- 機械装置の購入、機械製作の部品購入、リース・レンタル費 など
- システム構築費
- システム・アプリなどの開発・導入、API連携、セキュリティ対策 など
- 技術導入費
- 事業に必要な知的財産権(ライセンス取得等)の導入
- 外注費
- 専用設備設計の外部依頼(※設備の製作依頼は機械装置費に計上) など
- 専門家経費・知的財産権等経費
- 専門家への依頼、コンサル費用、特許権などの知財の取得に必要な弁理士費用 など
一般型のメリット
一般型のメリットは、投資規模の大きさと自由度の高さです。
カタログ型と異なり、設備やシステムを自社に合わせて設計できるため、部分的な改善に留まらず、業務全体の流れを見直すような取り組みも行いやすくなります。
また、補助上限額は最大1億円と大きく、投資規模や最適な設計により大きな投資効果も期待できます。
一般型のデメリット
一方で一般型は、カタログ型に比べて申請準備や審査のハードルが高くなりやすい点に注意が必要です。
申請の基本要件に、労働生産性の年平均成長率を+4.0%以上とする計画が求められるなど、カタログ型(+3.0%以上)より厳しい要件が設定されています。
また、申請条件に賃上げも定められており、計画と運用の難易度は上がりやすい傾向があります。
申請では、省力化手段から、導入設備、ベンダー、省力化効果などの根拠を一から整理する必要があるため、機器選定や資料作成に相応の労力が必要になります。
総合的に言うと、一般型は、「最適な設備・システムを導入したい」「投資規模を大きくしたい」「業務フローを再設計したい」と考える企業に向いている制度です。
申請前に押さえるべきポイント|補助対象・金額・労働生産性・賃上げ

本章では、申請前に確認しておきたい基本要件や応募条件を整理し、最新情報の見方もあわせて解説します。
補助対象企業
補助金の交付対象となる「中小企業」には、業種ごとに資本金と常勤従業員数の基準が定められています。
該当する業種の 「資本金」または「常勤従業員数」のいずれかが基準以下であれば補助対象となります。
| 業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
|---|---|---|
| ゴム製品製造行(自動車又は航空機用タイヤ、チューブ製造 業、工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 |
| 製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業、情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
| 卸売業 | 1億円 | 100人 |
| 旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
| サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
| 小売業 | 5,000万円 | 50人 |
| その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
また、これら企業以外にも、個人事業主や特定非営利活動法人(NPO法人)、社会福祉法人、医療法人、企業組合など、幅広い事業者も補助対象に含まれます。
詳しい補助対象基準について、カタログ型はこちら(p.14)、一般型はこちら(p.11)をご覧ください。
常勤従業員とは
- 正社員(雇用してから14日以内の使用期間の場合を除く)
- アルバイト・パート・契約社員(2か月以内又は季節業務で4カ月以内の雇用を除く)
- 自社から他社に送り出している出向社員(自社に来ている出向社員を除く)
上記が常勤従業員に当たり、役員・日雇い労働者についてはカウントされません。
補助額と賃上げ要件
カタログ型の補助額

上記の表は、カタログ型における補助上限額と補助率を示したものです。
補助上限額の()内の金額は、賃上げ要件を達成した場合の「上限引き上げ後」の補助上限額です。
賃上げ要件は、次の2点をいずれも満たすことが求められます。
- 事業場内最低賃金を45円以上増加させる
- 給与支給総額を6%以上引き上げる
これらを達成することで、従業員数に応じて補助上限額が引き上がり、最大で1,500万円の交付を受けられます。
ただし、補助率(1/2以下)は上限引き上げ後も変わらない点には注意が必要です。
一般型の補助額

上の表は、一般型における補助上限額と補助率を示したものです。
一般型では、基本要件として賃上げが求められ、次の2点を満たす計画が求められます。
- 1人当たり給与支給総額の年平均成長率(CAGR)3.5%以上
- 事業場内最低賃金:都道府県最低賃金+30円以上
補助上限額の()内の金額は、大幅賃上げ特例を達成した場合の「上限引き上げ後」の補助上限額です。
賃上げ特例の要件は次の2点が求められます。
- 1人当たり給与支給総額の年平均成長率(CAGR)6.0%以上(※基本要件の3.5%に2.5%上乗せする)
- 事業場内最低賃金:都道府県最低賃金+50円以上
これらを達成することで、従業員数に応じて補助上限額が引き上がり、最大1億円の交付を受けられます。
さらに、小規模企業者・小規模事業者および再生事業者に該当する場合、補助率は通常の1/2ではなく、2/3が適用されます。
小規模企業者・小規模事業者の該当基準は常勤従業員数で、基準は以下のとおりです。
| 業種 | 常勤従業員数 |
|---|---|
| ゴム製品製造行(自動車又は航空機用タイヤ、チューブ製造 業、工業用ベルト製造業を除く)、製造業、建設業、運輸業、 | 20人以下 |
| ソフトウェア業、情報処理サービス業 | 5人以下 |
| 卸売業 | 5人以下 |
| サービス業 | 5人以下 |
| 旅館業 | 20人以下 |
| 小売業 | 5人以下 |
| その他の業種(上記以外) | 20人以下 |
再生事業者とは、廃棄物のリサイクル業者ではなく、経営再建(事業再生)に取り組んでいる事業者のことです。
中小企業活性化協議会や事業再生ADRなどの枠組みに基づき、再生計画の策定・成立をした事業者が該当します。
CAGRとは?
CAGRとは、一定期間の平均成長率を表す指標です。
年ごとの成長率にばらつきがあっても、初年度と最終年度の値から一定期間の成長率を一つの数値で表すことができます。
労働生産性
中小企業省力化投資補助金に限らず、多くの補助金で「労働生産性」という言葉が出てきます。
この労働生産性は、1人当たりの付加価値額を指し、付加価値額を労働者数で割ることで算出します。
この2つの式を使って、労働生産性を算出できます。
なぜ「営業利益+人件費+減価償却費」なのか?
売上総利益や営業利益ではいけないのか?
本補助金は、省力化を通じた生産性の向上を目的としています。
そのため、原材料費や仕入価格、外注単価、広告費、家賃など、外部環境で変動しやすい費用を含めて「1人当たりの生産性」を評価すると、生産性の実態が見えにくくなる場合があります。
そこで、外部要因の影響を受けやすい項目を避け、社内で生み出した価値を捉えやすいように、「営業利益に人件費と減価償却費を足し戻した金額(付加価値額)」を用いて生産性を算出します。
申請~導入までの流れ
ここまで補助金について解説してきましたが

どうやって申請するの?



どんな流れで交付されるの?
と疑問に感じる方も多いと思います。
ここでは、申請から導入・交付までの流れを、カタログ型・一般型それぞれ整理していきます。
カタログ注文型の申請の流れ
GビズIDとは、事業者向けの認証システムで、複数の行政サービスにログインできます。
補助金申請や社会保険料手続き、認可申請などの電子申請に使用できます。
※本補助金は電子申請のため、GビズIDの取得が必要になります。
交付決定通知書に記載された日が事業実施期間になり、この間に省力化設備・システムの導入、稼働を進めます。
その後、請求書・領収書・納品書・事業計画の達成状況を提出・報告します。
実績報告の内容をもとに補助額が確定した後、事務局へ支払い請求を行います。
請求手続きが完了すると、補助金が交付されます。
事業完了後、3年間を効果報告期間とし、以下の項目を報告します。
- 省力化精神の稼働状況
- 事業計画の達成状況
また、導入状況確認のため、実地検査が行われます。
一般型の申請の流れ
GビズIDとは、事業者向けの認証システムで、複数の行政サービスにログインできます。
補助金申請や社会保険料手続き、認可申請などの電子申請に使用できます。
※本補助金は電子申請のため、GビズIDの取得が必要になります。
事業計画の作成では、省力化業務の分析、現状の工数、省力化範囲、投資効果などを整理し、根拠をもとに計画としてまとめます。
あわせて、それらに必要な設備やシステムも検討します。
応募申請は、申請者自身が入力し、電子申請システム操作マニュアルに従って手続きを進めます。
※採択までに3か月程度かかります
交付申請では、価格の妥当性を示すために見積書の提出が必要です。
また原則として、同等の内容で2社以上から見積書を取得し、比較によって価格妥当性を説明する「相見積」が求められます。
事業者の選定後、電子申請システムから交付申請手続きを進めます。
公募申請においても、応募申請と同様に入力し、手続きを進めます。
交付決定日から18か月以内に、省力化設備・システムの導入と稼働を行います。
その後、請求書・領収書・納品書・事業計画の達成状況などの、提出・報告を行います。
実績報告の内容をもとに補助額が確定した後、事務局へ支払い請求を行います。
請求手続きが完了すると、補助金が交付されます。
事業計画の1年目が終了した後、最初の4月から5年間、事業に関する効果報告を毎年行います。
まとめ
中小企業省力化投資補助金は、設備やシステムへの投資を支援し、企業の生産性向上を後押しする制度です。
制度は「カタログ注文型」と「一般型」の2つに分かれます。
カタログ注文型は、公募期間内であればいつでも申請でき、販売事業者のサポートも受けられるため、はじめてでも進めやすいのが特徴です。
一般型は、現場に合わせて設備・システムを柔軟に設計でき、補助額も大きい点が魅力です。
2026年1月時点では一般型の第5回公募が案内されており、締切は2026年2月下旬(予定)とされています。
大規模な投資や、本格的に省力化を進めたい方は、準備を進めることをおすすめします。
「補助金の知識がないから手伝って欲しい」という方は、こちらからセルバにお問い合わせください。
