新卒採用はなくなる?27卒・28卒が考えるべきキャリア戦略

「新卒採用はなくなるのではないか」「AIによって若手の仕事が減るのではないか」と不安を感じている学生は少なくありません。
特に27卒・28卒の就活を控える世代からは、SNSなどで「就職氷河期が再来するのでは」という声も見られます。
私自身も27卒として就職活動を意識する中で、AIの進化や企業の採用方針の変化に対して、不安を感じる場面があります。
これまで当たり前のようにあった「新卒で入社し、会社で育ててもらう」という流れが、今後も同じ形で続くのかは、同世代の学生にとって大きな関心事だと思います。
実際、生成AIの普及によって、資料作成、文章作成、情報整理、簡単なプログラミングなど、これまで若手社員が担当していた業務の一部は自動化されつつあります。
企業側から見れば、「未経験者を大量に採用して育てる」前提が少しずつ変わり始めているのは確かです。
一方で、現時点のデータを見ると、新卒採用そのものが急になくなる状況ではありません。
2027年卒の大卒求人倍率は1.62倍で、2年連続で低下したものの、企業の採用意欲はなお高い状況です。
だからこそ重要なのは、「新卒採用がなくなるかどうか」だけを不安に思うのではなく、「AI時代に企業がどのような新卒を採用したいと考えるのか」を知ることだと感じています。
本記事では、27卒の当事者である私自身の視点も交えながら、就職氷河期再来と言われる背景、AIが新卒採用に与える影響、大卒ブルーカラーという選択肢、27卒・28卒が今から取るべき行動について解説します。

新卒採用は本当になくなるのか?

新卒採用がすぐになくなる可能性は低い
結論から言えば、日本企業の新卒採用がすぐになくなる可能性は低いと考えられます。
理由は、日本企業の多くがいまだに「ポテンシャル採用」を前提としているためです。
特に大企業では、入社後に研修やOJTを通じて人材を育成する仕組みが残っています。
新卒採用は単なる欠員補充ではなく、将来の幹部候補や組織文化を継承する人材を確保する手段でもあります。
少子高齢化による人手不足も深刻です。
厚生労働省の令和7年版労働経済白書では、日本経済の課題として「労働力供給制約」が取り上げられており、持続的な成長には労働生産性の向上や人材確保が重要だとされているため、企業が新卒採用を完全にやめるというよりも、採用人数や求める人物像が変わると見るべきです。
ただし「誰でも採用される新卒市場」ではなくなっていく
一方で、学生側が楽観しすぎるのも危険です。
2027年卒の大卒求人倍率は1.62倍で、2026年卒の1.66倍から低下しています。大卒求人倍率は2年連続で低下しており、売り手市場の勢いにはややブレーキがかかっています。(大卒求人倍率調査(2027年卒) – リクルートワークス研究所 より)
2027年卒の新卒採用見通しでは、採用が「増える」から「減る」を引いたD.I.は5.4ポイントと5年連続でプラスですが、企業が無条件に採用人数を増やしているわけではありません。
つまり、新卒採用はすぐにはなくならないものの、「とりあえず若いから採る」「未経験でも大量に採る」という採用ではなくなりつつあります。
企業はより慎重に、AIを使える人材、学習意欲の高い人材、現場で成果を出せる人材を選ぶようになる時代に、既になっています。
なぜ「就職氷河期が再来する」と言われているのか

AIによって若手の入口業務が減る可能性がある
就職氷河期再来という不安の背景には、AIの普及があります。
これまで新卒社員は、議事録作成、資料作成、データ入力、リサーチ、簡単な事務作業などを通じて、少しずつ仕事を覚えていくのが一般的でした。しかし、生成AIはこうした業務の一部を効率化できます。
企業側から見れば、AIを使えば、従来は若手社員に任せていた作業を少人数で処理できる可能性があります。その結果、「未経験者を多く採用して育てる必要があるのか」という見直しが起きる可能性はあります。
ただし、AIがすべての仕事を奪うわけではありません。
パーソル総合研究所の調査では、生成AI活用の成果は、個人の生成AI成熟度と強い相関があるとされています。(生成AIとはたらき方に関する実態調査 – パーソル総合研究所 より)
つまり、AIそのものよりも、AIを使いこなせる人材かどうかが重要になっています。
企業は「未経験者」より「伸びる人材」を見極めようとしている
AI時代に企業が重視するのは、単なる知識量ではありません。知識そのものはAIで補える場面が増えているからです。
これから評価されやすいのは、次のような力を持つ人材です。
- AIを使って業務効率を上げられる
- 自分で調べ、学び、改善できる
- 人と協力して仕事を進められる
- 現場の課題を見つけ、解決に動ける
- 変化に対して前向きに対応できる
つまり、企業は「完成された新卒」を求めているのではなく、「AIや環境変化を前提に、早く成長できる新卒」を求めるようになっています。
就職氷河期再来という言葉はやや強い表現ですが、「何となく大学を出て、何となく就職する」層にとっては厳しい時代になりつつあるということです。
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27卒・28卒は本当に氷河期になるのか

過去の就職氷河期とは状況が違う
27卒・28卒が過去の就職氷河期と同じ状況になるかというと、現時点ではそこまで悲観する必要はありません。
過去の就職氷河期は、バブル崩壊後の景気悪化により、企業が新卒採用を大幅に絞った時期でした。
一方、現在の日本は人手不足が大きな課題です。企業の採用意欲は依然としてあり、初任給の引き上げも続いています。
リクルートワークス研究所の調査では、2026年4月入社の大学卒の平均初任給は月額23.7万円で、4年連続で増加しています。
これは、企業が若手人材の確保に一定のコストをかけ続けていることを示しています。
ただし、業界・職種によって明暗は分かれる
一方で、すべての業界・職種が同じように安泰というわけではありません。
特に、AIで代替しやすい定型業務が中心の職種では、採用人数が抑えられる可能性があります。
たとえば、単純な事務処理、マニュアル通りの資料作成、ルーティン化された分析業務などは、AIや業務システムによって効率化されやすい領域です。
反対に、需要が残りやすいのは、次のような領域です。
- IT・AI・データ活用に関わる仕事
- 営業、企画、コンサルティングなど対人調整が必要な仕事
- 医療・介護・保育など人手不足が深刻な仕事
- 建設、製造、物流など社会インフラを支える仕事
- 現場改善やDX推進に関わる仕事
27卒・28卒が考えるべきなのは、「就職氷河期になるかどうか」を心配することではなく、「どの業界・職種に向かうか」「自分はどんな価値を出せるか」を早めに考えることです。
大卒ブルーカラーという選択肢が注目される理由

ブルーカラーはAIに代替されにくい仕事が多い
ブルーカラーという言葉には、かつて「肉体労働」「学歴が必要ない仕事」というイメージがありました。しかし、現在はその見方が変わりつつあります。
建設、製造、物流、設備管理、施工管理、整備、インフラ関連の仕事は、社会に欠かせない仕事です。
現場ではIT、IoT、AI、ロボット、データ管理などの導入が進んでおり、単純な肉体労働ではなくなっています。
厚生労働省の労働経済白書でも、社会インフラに関連する分野の人材確保には、賃金をはじめとしたスキルや経験に応じた処遇改善が重要だとされています。
つまり、現場の仕事は「AIに奪われる仕事」ではなく、「AIやITを使って高度化していく仕事」と見ることができます。
大卒だからこそ現場で評価される場面もある
大卒でブルーカラー職に就くことに抵抗を感じる人もいるかもしれません。
しかし、現場職の中には、マネジメント力、改善提案力、ITリテラシー、顧客対応力が求められる仕事も多くあります。
たとえば、施工管理、生産管理、物流管理、設備保全、品質管理などは、現場理解と管理能力の両方が必要です。
大卒人材が現場を理解し、さらにITやデータを使って改善できるようになれば、将来的には管理職、事業責任者、DX推進担当、独立・起業といったキャリアにもつながります。
AI時代には、パソコンの前だけで完結する仕事よりも、現実の現場を動かせる人材の価値が高まる可能性が高いです。
AI時代に新卒が身につけるべきスキル

AIを避けるのではなく、使う側に回る
AIを恐れて避けるよりも、早い段階で使う側に回ることが重要です。
たとえば、学生のうちから次のような使い方に慣れておくと、就活でも入社後でも強みになります。
- 業界研究の整理
- 企業分析のたたき台作成
- ESや面接回答の壁打ち
- プログラミング学習の補助
- Excel関数や資料構成の確認
- 議事録や要約の作成
- 自分の考えを深めるための質問相手
ただし、AIに丸投げするだけでは評価されません。AIが出した答えを確認し、自分の言葉で説明できることが重要です。
これから評価されるのは「AI+専門性」
AI時代に強い人材は、AIだけを使える人ではありません。重要なのは、AIと専門性を組み合わせることです。
たとえば、以下のような組み合わせです。
- 営業 × AI
- マーケティング × AI
- エンジニアリング × AI
- 建設現場 × AI
- 物流管理 × AI
- 採用人事 × AI
- 医療・介護 × AI
- 経理・財務 × AI
AIは汎用的な道具です。特定の業界や職種の知識と組み合わせることで、初めて大きな価値を生みます。
新卒の段階では完璧な専門性は求められていません。
しかし、「この分野でAIを活用して成果を出したい」という方向性を持っている人は、企業から見ても育てやすい人材になります。
27卒・28卒が今からやるべき就活対策

業界選びは「人気」より「構造」で見る
これからの就活では、人気企業ランキングだけで進路を決めるのは危険です。
大切なのは、その業界が今後も人材を必要とする構造にあるかどうかです。
見るべきポイントは、次の通りです。
- 人手不足が続いている業界か
- AIで代替される業務が多すぎないか
- IT投資やDX投資が進んでいるか
- 若手に経験を積ませる文化があるか
- 給与や働き方が改善されているか
- 社会インフラとして必要とされる仕事か
短期的なイメージだけでなく、10年後も必要とされる仕事かどうかを考えることが大切です。
自己PRでは「学習力」と「改善力」を見せる
AI時代の新卒採用では、資格や学歴だけでは差がつきにくくなります。
もちろん、基礎学力や資格は重要です。しかし、それ以上に見られるのは、学び続ける力と改善する力です。
たとえば、自己PRでは次のような経験が評価されやすくなります。
- 自分で課題を見つけて改善した経験
- AIやツールを使って作業を効率化した経験
- チームで成果を出した経験
- 失敗から学んで行動を変えた経験
- アルバイトやインターンで現場課題に向き合った経験
企業は、入社時点で完璧な人材を求めているわけではありません。
変化の速い時代だからこそ、「この人は入社後に伸びそうだ」と思ってもらうことが重要です。
キャリアに関する情報をもっと知りたい方は、こちらのメディアもご覧ください。
まとめ
- 新卒採用がすぐになくなる可能性は低いが、採用基準は変わっていく
- 27卒・28卒が見るべきなのは、就職氷河期という言葉よりも、業界・職種ごとの構造変化
- AI時代には、AIを使える力、現場理解、学習力、改善力を持つ人材が評価されやすい
新卒採用がすぐになくなるわけではありません。
しかし、AIの普及によって、企業が新卒に求めるものは少しずつ変わっていくはずです。
私自身も27卒として、これからの就職活動に不安がないわけではありません。だからこそ、ただ「売り手市場だから大丈夫」と考えるのではなく、AIでは代替しにくい強みや、自分なりの専門性を早い段階から意識しておきたいと感じています。
27卒・28卒の学生にとって大切なのは、周囲の不安に流されすぎることではなく、変化を前提にしながら、自分がどのような力を身につけ、どのような働き方を選びたいのかを考えることだと思います。
私も同じ就活世代の一人として、受け身で情報を待つのではなく、自分から学び、考え、納得できるキャリアを選べる状態をつくっていきたいです。
