「ホワイトだけど給料低い」会社はなぜ選ばれなくなった?

かつては、給与が多少低くても、残業が少なく、人間関係が良く、休みやすい会社であれば、求職者から一定の応募を集めやすい時代がありました。
いわゆる「ブラック企業」を避けたい人にとって、ホワイトな職場環境はそれだけで大きな安心材料だったためです。
しかし現在は、働き方改革や労働環境の改善が進み、求職者にとって「ホワイトであること」は特別な強みではなく、求人選びの大前提になりつつあります。
むしろ、働きやすいだけで給与が低い会社は、「将来が不安」「成長できなさそう」「長く働くほど収入差が広がりそう」と見られることすらあります。
この記事では、採用企業向けに、「ホワイトだけど給料低い」求人がなぜ選ばれにくくなっているのか、「職場環境はいいのに辞めたい」がなぜ起こるのか、そして企業が採用力を高めるために見直すべきポイントを解説します。

「ホワイトだけど給料低い」求人が選ばれにくい理由

「ホワイトだけど給料低い」求人が選ばれにくくなっている理由は、求職者の価値観が変わったからです。
以前は、給与が多少低くても「安心して長く働けるならよい」と考える人が少なくありませんでした。しかし現在は、物価上昇や将来不安、キャリア形成への意識の高まりもあり、給料の低さを軽視しにくくなっています。
求職者は求人を見るときに
- この給料で生活が成り立つのか
- 今後きちんと昇給するのか
- 仕事を通じてスキルが身につくのか
- 同じ職種や地域の相場と比べて給与が低すぎないか
- 長く働いたときにキャリアが広がるのか
といった点を確認しています。
今の求職者は「ホワイトかどうか」だけでなく、その会社で働き続けることで将来に納得できるかを見ているのです。
そのため、求人票に「残業少なめ」「有給が取りやすい」「人間関係が良い」と書かれていても、給与が明らかに低かったり、昇給の見通しが書かれていなかったりすると、応募前に候補から外される可能性が高くなります。
自社の給与が競合他社より低めであるなら、その理由や今後の昇給、働くメリットまで具体的に伝える必要があります。
職場環境はいいのに辞めたい人が出る理由

「職場環境はいいのに辞めたい」という社員は、会社そのものが嫌いなわけではありません。
人間関係に大きな不満はなく、上司も優しく、休みも取りやすい。それでも辞めたいと感じる背景には、給与や将来に対する不安があります。
- 給料が低く、将来の生活に不安がある
- 昇給の見込みが見えない
- 仕事を通じた成長実感がない
- 自分の市場価値が上がっていないと感じる
- 仕事内容が自分に合っていない
- このまま今の会社にいてよいのか迷っている
こうした気持ちが重なることで、職場環境が良くても退職を考えるようになります。
つまり、職場環境が良くても、給与やキャリアへの不安が解消されなければ、離職につながる可能性があるということです。
特に若手や中堅社員は、「今の会社でスキルが身についているか」「転職市場で評価される経験が積めているか」を気にする傾向があります。
会社側から見ると「無理なく働ける良い職場」でも、社員本人からすると「このままでは成長できない」「ぬるい環境に慣れてしまいそう」と感じることがあります。
このギャップを放置すると、ホワイト企業であっても離職は起こります。
「ホワイト企業だけど辞めたい」は求職者の甘えではない

「ホワイト企業だけど辞めたい」と感じることは、必ずしも求職者の甘えではありません。
たしかに、職場環境が良い会社を辞めると聞くと、周囲からは「もったいない」「贅沢ではないか」と見られることもあります。本人自身も

こんなに恵まれているのに、辞めたいと思うのは甘えなのでは?
と悩むことがあります。
しかし、辞めたい理由が給与やキャリアに関するものであれば、それは現実的な判断です。
たとえば、給与が低く生活設計が難しい場合や、昇給幅が小さく将来の収入が見えない場合、社員が転職を考えるのは自然なことです。
また、成長機会が少なくキャリアが停滞していたり、社内では評価されても社外で通用する経験が積めないと感じている場合も、退職を考える理由になり得ます。
このような不安がある場合、ホワイト企業であっても転職を考えるのは自然です。
採用企業側は、「うちは働きやすいのに、なぜ辞めるのか」と考えているなら、少しズレています。
社員が何に不安を感じているのかを分解して考える必要があります。
ホワイト企業を辞めて後悔するケースもある


一方で、「ホワイト企業を辞めたことを後悔する」というケースもあります。
給与アップを求めて転職したものの、転職先で残業が大幅に増えたり、人間関係が悪くなったり、休日対応が増えたりして、後悔した人も中には存在します。
また、成果へのプレッシャーが想像以上に強く、前職の穏やかさや働きやすさが貴重だったと気づく人もいます。
このように、働きやすさは転職後に失って初めて価値を実感しやすい要素でもあります。
ただし、「だから給料が低くてもよい」という意味ではありません。
むしろ、働きやすさという強みがある企業なら、給与や評価制度、成長機会を見直せば、より採用競争力を高められます。
「ホワイトな職場環境」はすでに大きな資産です。そこに納得できる待遇やキャリア設計を加えることで、求職者から選ばれやすい会社になります。
「ホワイトだけど合わない」「ついていけない」と感じる人もいる


ホワイト企業であっても、すべての人に合うわけではありません。「ホワイトだけど合わない」「ホワイト企業についていけない」と感じる人もいます。
たとえば、制度やルールが整っている会社は安定感がある一方で、自由度が低いと感じる人もいます。
意思決定が遅い、挑戦よりも安定が優先される、成果を出しても大きく報酬が変わらない、周囲に合わせることを求められるといった点に物足りなさを感じる人もいるでしょう。
ベンチャー的なスピード感や成果主義を好む人にとっては、ホワイト企業の落ち着いた文化が合わない場合があるのです。
また、採用時に「働きやすさ」だけを強調しすぎると、求職者に「楽そう」「ゆるそう」という印象を与えてしまうこともあります。
その結果、入社後に「思っていたより仕事に責任がある」「結局成果が求められる」と感じ、ミスマッチにつながることがあります。
採用ページや求人票では、働きやすさだけでなく、仕事の難しさ、求める成果、評価基準、成長機会もあわせて伝える必要があります。
※ このブログは創業22年のWeb企業「セルバ」が運営しています。
興味があれば[会社紹介はこちら]もご覧ください。
ホワイトだけど給料が低い求人にも需要はある


ホワイトだけど給料が低い求人は、すべての求職者に不人気というわけではありません。今でも一定の層には需要があります。
たとえば、下記のような事情がある人にとっては、給与の高さよりも働きやすさが重要になることも多いです。
- 子育て中で残業が難しい人
- 介護と仕事を両立したい人
- 体力的に無理なく働きたい人
- 副業や家庭の時間を重視したい人
- ブランク明けでまずは安定して働きたい人
- 高収入よりも精神的な安定を優先したい人
このような人にとっては、給与の高さよりも「無理なく働けること」「生活リズムを崩さず働けること」が大きな価値になります。
ただし、こういった人たちをターゲットにする場合も「誰に向けた求人なのか」を明確にする必要があります。
単に「残業なしで楽に働けます」と見せるのではなく、下記のように具体的に伝えるべきです。
- 定時退社を前提に業務設計していること
- 子育てや家庭と両立しやすいこと
- 個人に負荷が偏らないようチームで進めていること
- 無理なく長く働ける環境があること
- 急な休みにも対応しやすい体制があること
このように示すと、求職者は自分に合う職場かどうかを判断しやすくなります。
採用企業が見直すべきポイント


ホワイトだけど給料が低い会社が採用で選ばれるには、働きやすさだけをアピールしても不十分です。
採用企業が見直すべきポイントは、主に次の3つです。
給与が市場相場とズレていないか
まず、自社の給与が同業界・同職種・同地域の相場と比べて著しく低くないかを確認する必要があります。
給与が相場より明らかに低い場合、求人票の表現だけで応募数を増やすのは難しくなります。
すぐに給与を上げられない場合でも、手当、賞与、退職金、資格取得支援、副業可否、リモートワークなどを含め、総合的な待遇として見せることが大切です。
昇給や評価の仕組みを示せているか
給与が低い求人で特に不安視されるのは、「この先もずっと給料が低いのでは」という点です。
そのため、入社時の給与だけでなく、昇給の仕組みや評価基準を具体的に伝える必要があります。
たとえば、
- 年何回評価があるのか
- どのような成果が昇給につながるのか
- 入社後の年収モデルはどうなっているのか
- 資格取得や役職登用で給与がどう変わるのか
といった情報です。
「今は高くないが、成長すれば上がる」と伝えられるかどうかで、求人の印象は大きく変わります。
成長機会やキャリアパスを伝えられているか
働きやすさだけでは、若手や中堅層への訴求として弱くなる傾向があります。
求職者は、「この会社で何ができるようになるのか」「どんな経験が積めるのか」「将来どんなキャリアにつながるのか」を見ているからです。
そのため、求人票や採用ページでは、次のような情報を入れるとよいでしょう。
- 入社後に身につくスキル
- 未経験者向けの育成ステップ
- 経験者に任せる裁量
- 将来的に目指せるポジション
- 社内で活躍している社員の事例
- 評価される成果の具体例
働きやすさと成長機会は、対立するものではありません。
むしろ、これからの採用では「無理なく働けるが、きちんと成長できる」ことが重要な訴求ポイントになります。
求人票で避けたい表現


ホワイトだけど給料が低い求人では、表現の仕方にも注意が必要です。
たとえば、「アットホームな職場です」「未経験歓迎」「残業ほぼなし」「風通しの良い会社です」「ゆったり働けます」といった表現は、今も昔もよく使われます。
もちろん、これらの要素自体が即悪いわけではありません。問題は、表現が抽象的で、求職者に実態が伝わりにくいことです。
たとえば「アットホームな職場です」と書くよりも、
- 入社後1カ月は先輩社員が業務をサポートします
- 月1回の1on1で業務量や悩みを確認しています
- チーム単位で案件を進めるため、個人に負荷が偏りにくい体制です
と書いたほうが、求職者は実際に働いたときのイメージを持ちやすくなります。
「未経験歓迎」と書く場合も、教育体制や入社後のステップを示した方が良いです。
単に未経験でも応募できると伝えるだけではなく、入社後に得られる以下について説明すると、求職者の不安を減らせます。
- どのような研修を受けられるのか
- どのような業務から始めるのか
- どの段階で一人立ちできるのか
まとめ
今は「ホワイトであること」は求人選びの大前提になりつつあります。そのため、ホワイトだけど給料が低い求人は、以前より選ばれにくくなっています。
また、職場環境が良くても、給与や昇給、成長への不安があれば離職は起こります。
社員が「職場環境はいいのに辞めたい」と感じる背景には、会社への不満だけでなく、自分の将来に対する不安があることを理解する必要があります。
「ホワイトな会社」であることは、今でも大切な強みです。しかし、それだけでは求職者に選ばれにくい時代になっています。
給与水準をすぐに上げられない場合は、「低いけれど我慢してください」ではなく、「この働き方・成長機会・将来性に価値を感じる人に向いています」と伝えることが大切です。
人材事業の現場は求職者の価値観や企業ニーズの変化が激しく、対応の幅を広げることがますます重要になっています。
今回の内容が、求職者支援や案件獲得を進める上でのヒントになれば嬉しいです。
