ドラッグストア業界が成長する理由とは?大手3社の経営戦略を比較

近年、ドラッグストア業界は小売業界の中でも特に成長を続けている業界の一つです。
かつては医薬品や日用品を購入する場所という印象が強かったドラッグストアですが、現在では食品、化粧品、ヘルスケア商品、調剤まで幅広く扱い、地域の生活を支える存在へと変化しています。
特に地方では、ドラッグストアがスーパーの役割まで担うケースも増えています。薬だけでなく食品や日用品もまとめて購入できるため、「買い物はまずドラッグストアへ行く」という生活スタイルが定着している地域も少なくありません。
一方で、店舗数の増加によって競争は年々激しくなっています。
各社は価格競争だけに頼るのではなく、食品を強化する企業、美容・化粧品を軸に集客する企業、調剤を入口に継続来店を促す企業など、それぞれ異なる経営戦略を打ち出しています。
この記事では、ドラッグストア業界の成長理由を知りたい就活生や小売業界の担当者、競合分析をしている事業者向けに、業界全体が成長している背景と、ウエルシア・マツモトキヨシ・クスリのアオキがどのような戦略で差別化しているのかを整理します。

ドラッグストア業界が成長している理由

ドラッグストア業界は、店舗数を増やすだけで成長しているわけではありません。
医療・健康需要の拡大に加え、食品や日用品、調剤事業を取り込むことで、利用者が日常的に立ち寄る店舗へと変化してきました。
現在のドラッグストアは、「薬を買う場所」ではなく、生活に必要な商品やサービスをまとめて利用できる店舗へ進化したことが、業界全体の成長につながっています。
高齢化によって医療・健康需要が拡大している
日本では高齢化が進み、健康への関心は年々高まっています。
医薬品だけでなく、サプリメントや健康食品、介護用品、衛生用品など、健康維持に関わる商品の需要は継続的に伸びています。
病院のように受診する必要がなく、コンビニよりも専門性の高い商品を購入できることから、「困ったときにまず相談できる身近な店舗」として利用される場面が増えています。
食品販売の強化で「スーパー代わり」として利用されている
近年、多くのドラッグストアが食品売場を拡大しています。
背景にあるのは、医薬品や日用品だけでは来店頻度を増やしにくいという事情です。
食品は購入頻度が高いため、牛乳や卵、パン、飲料、冷凍食品などを充実させることで、利用者が日常的に立ち寄る機会を増やせます。
特に地方では、
- 広い駐車場がある
- 食品と日用品をまとめて購入できる
- 比較的価格が手頃
といった理由から、ドラッグストアがスーパーの代わりとして利用されるケースも珍しくありません。
調剤併設によって継続的な来店につながっている
ドラッグストア各社は、調剤薬局を併設する店舗を増やしています。
処方箋を受け取る利用者は定期的に来店するため、一度きりの買い物ではなく、継続的な来店につながりやすいです。
また、処方箋を受け取るついでに、
- 食品
- 日用品
- 化粧品
などを購入するケースも多いです。
調剤は薬を渡すサービスであると同時に、店舗全体の来店機会を生み出す重要な入口として機能しています。
ドラッグストア業界の成長を支える3つの戦略

各社は「薬を販売する店」という枠を超え、商圏分析、PB(プライベートブランド)、データ活用などを組み合わせながら、競争力を高めています。
同じドラッグストアでも企業ごとに戦略が異なるため、来店する理由や利用される場面にも違いがあります。
商圏分析とドミナント戦略
多くのドラッグストア企業は、一定エリアへ集中的に出店する「ドミナント戦略」を採用しています。
店舗を分散させるのではなく、特定地域に集中して出店することで、
- 商品配送の効率化
- チラシや広告の費用削減
- ブランド認知度の向上
といった効果を得られます。
例えば、同じ地域で複数店舗を運営すれば、配送トラックが短い距離で複数店舗へ商品を届けられるため物流コストを抑えられます。
また「この地域なら〇〇ドラッグ」という認知も広がりやすくなります。
地方で同じドラッグストアを何店舗も見かけることが多いのは、この戦略によるものです。
単に店舗数を増やしているのではなく、利益を確保しながらシェアを高めるための経営戦略として採用されています。
PB(プライベートブランド)で価格競争から抜け出す
近年は、多くのドラッグストアがオリジナル商品の開発にも力を入れています。
PB商品はメーカー商品より価格を調整しやすく、利益も確保しやすいことが特徴です。
しかし、PB戦略の目的は利益率だけではありません。
例えば、オリジナルの化粧品や健康食品が人気になれば、「その商品を買うために来店する」という動機が生まれます。
特に美容分野はブランドによる違いが出やすく、マツモトキヨシのようにPBコスメを育てる企業は、利益率だけでなく来店理由の創出にも成功しています。
データ活用で地域ごとに売場を最適化する
現在のドラッグストアでは、ポイントカードやアプリを活用し、購買データを分析することが一般的になっています。
例えば、
- どの商品がよく売れているか
- 来店頻度はどのくらいか
- どの年代の利用が多いか
- 地域ごとの購買傾向
などを分析し、店舗ごとに品揃えや販促内容を調整しています。
高齢者が多い地域では介護用品や健康食品を充実させ、子育て世帯が多い地域ではベビー用品や日用品を増やすなど、地域特性に合わせた店舗づくりが進んでいます。
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ウエルシア・マツモトキヨシ・クスリのアオキの戦略を比較

ドラッグストア業界では、どの企業も医薬品や日用品を販売していますが、成長のために重視している分野は大きく異なります。
3社の違いは、「何をきっかけに来店してもらうか」にあります。
ウエルシアは「調剤・地域医療」で継続来店を増やす
ウエルシアの強みは、調剤薬局を併設した店舗が多いことです。
処方箋を受け取りに来る利用者は定期的に来店するため、一度きりではなく継続的な利用につながります。
また、健康相談や介護サービスとの連携なども進めており、単に薬を販売する店舗ではなく、地域医療の一部として利用される店舗づくりを進めています。
マツモトキヨシは「美容・都市型」で高付加価値を生み出す
マツモトキヨシは、駅前や繁華街など都市部への出店が多く、美容分野に強みを持っています。
化粧品やスキンケア商品は単価が高く、利用者も商品を比較しながら選ぶ傾向があるため、PBコスメや限定商品を充実させることで、「マツキヨで買いたい」という来店理由を作っています。
代表的なPBブランドには、
- THE RETINOTIME
- ARGELAN
- MQURE
などがあります。
都市部では薬だけを目的に来店する人よりも、美容やトレンド商品を探して来店する人が多いため、マツモトキヨシは立地と商品構成を組み合わせた戦略で差別化しています。
クスリのアオキは「食品」で毎日の買い物需要を取り込む
クスリのアオキ最大の特徴は、食品売場の充実です。
地方ではスーパーまで距離がある地域や、高齢化が進む地域も少なくありません。そこでクスリのアオキは、
- 生鮮食品
- 冷凍食品
- 飲料
- 日用品
をまとめて購入できる店舗を増やし、「普段の買い物先」として利用されることを目指しています。
食品を充実させることで来店頻度が増え、そのついでに医薬品や日用品も購入してもらう流れを作っています。
3社の違いは「来店理由の作り方」にある
3社ともドラッグストアですが、目指している店舗像は大きく異なります。
ウエルシアは調剤を入口に継続来店を増やし、地域医療との接点を強化しています。
マツモトキヨシは美容・コスメを軸に、都市部で高付加価値の商品を販売することで差別化しています。
クスリのアオキは食品を充実させ、日常の買い物需要を取り込むことで地域に根付いた店舗づくりを進めています。
つまり、同じドラッグストアでも、
- 健康を入口にする企業
- 美容を入口にする企業
- 食品を入口にする企業
という違いがあります。
この「来店理由」の違いこそが、各社の経営戦略を理解するうえで最も重要なポイントです。
ドラッグストア業界の今後の課題

ドラッグストア業界は今後も成長が期待される一方で、各社が共通して向き合わなければならない課題もあります。
店舗数を増やすだけでは競争力を維持できない時代になっており、出店戦略や人材確保、ECとの競争への対応が必要になっています。
出店競争の激化で「どこに出店するか」がより重要になる
ドラッグストアは全国で出店が続いていますが、その一方で競合店舗も増えています。
特に人口が多いエリアでは複数のドラッグストアが近距離に出店するケースも珍しくなく、単純に店舗数を増やすだけでは売上を伸ばしにくくなっています。
そのため今後は、新しい店舗を増やすこと以上に、地域特性を分析しながら最適な場所へ出店する重要性が上がってくるでしょう。
既存店舗についても、食品や調剤、美容など地域のニーズに合わせて売場を見直し、「その店舗を利用する理由」を明確にすることが求められます。
人材不足への対応が成長を左右する
ドラッグストアでは、薬剤師や登録販売者をはじめとする専門人材の確保が大きな課題となっています。
店舗運営には接客や品出し、調剤補助など幅広い業務があり、人件費の上昇も経営課題の一つです。
そのため各社では、セルフレジの導入や発注業務の効率化、データ活用による店舗運営の最適化などを進め、人手に依存しすぎない運営体制づくりにも取り組んでいます。
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ECとの差別化には「店舗だからできる価値」が必要
日用品や化粧品、健康食品は、Amazonや楽天市場などのECサイトでも手軽に購入できます。
価格だけで比較されれば、実店舗は厳しい競争にさらされます。
だからこそ、ドラッグストア各社は「店舗へ行く理由」を作ることを重視しています。
調剤サービスや健康相談、美容商品の提案、食品を含めたまとめ買いのしやすさなどは、実店舗ならではの強みです。
今後は価格競争だけではなく、「相談できる」「すぐ買える」「生活に必要なものを一度で揃えられる」という価値を高められる企業ほど、競争力を維持しやすくなるでしょう。
流行やサービスのヒットは偶然ではなく、プラットフォーム設計やユーザー心理の積み重ねで生まれます。
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まとめ
- ドラッグストア業界は、高齢化による健康需要に加え、食品販売や調剤事業の拡大によって生活インフラとして成長を続けています。
- ウエルシア・マツモトキヨシ・クスリのアオキは、それぞれ調剤・美容・食品を軸に、異なる来店理由を作ることで差別化を図っています。
- 今後は出店競争や人材不足、ECとの競争が進む中で、地域ニーズに合った店舗づくりや実店舗ならではの価値がより重要になります。
ドラッグストア業界は一見すると似た業態に見えますが、各社が重視する戦略やターゲットには明確な違いがあります。
業界全体の成長理由と企業ごとの特徴をあわせて理解することで、今後の動向や各社の強みも見えやすくなるでしょう。
マーケティングや経営の考え方は時代や市場によって常に変化します。
今回ご紹介した内容も、一つの視点として参考にしていただければ幸いです。
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