システム改修とは、現在稼働している既存のシステムに対して、機能の追加や変更、不具合の修正、性能の向上などを行うことを指します。

企業がシステム改修を行う背景には様々な背景があり、法改正や社内ルールの変更などの業務フローの変化や、OSやライブラリのサポート終了、セキュリティの懸念などの、システムの老朽化など、他にも様々な理由があります。
また、近年では、業務の効率化や、競争力の強化を目的としたDX（デジタルトランスフォーメーション）推進の流れが、多くの企業があり、デジタル化やシステムの見直しをする企業が増えてきています。

本記事では、「そもそもシステム改修とは何か？」という基礎から、よくある課題、失敗しない進め方、改修後の効果まで、わかりやすく解説します。

システム改修とは？

システム改修とは、既存のシステムに対して、機能の追加や変更、不具合の修正、性能の向上などを行うことを指します。
改修の規模は、軽微な画面の修正から大規模な構造変更など、規模や種類までさまざまです。

これらの改修は規模や種類も様々ですが、すべてがシステム改修にあたります。
細かなシステム改修の効果は、大規模システムの改修に比べ、軽視されがちですが、社員の満足度の上昇や、生産性の向上につながる重要なものです。

なぜシステム改修が必要になるのか？

多くの企業がシステム改修を行う背景には、以下のような理由があります。

業務フローの変化に追いつかない

企業を取り巻く環境は日々変化しています。

インボイス制度や電子帳簿保存法などの法改正や、テレワークや外部ツールとの連携などのデジタル化などがあげられますが、システムがそれに対応していないと、手作業が増えたり二重管理が必要になってきます。

 技術的な老朽化やセキュリティリスク

OSやサーバーの終了や開発者の退職などの、技術的老朽化や、暗号化されていない通信や二段階認証の未導入などのセキュリティリスク。
こうした状態では、開発速度の低下や開発コストの上昇、脆弱性が問題となってしまいます。

システム改修の流れ

システム改修は、闇雲に進めると手戻りや混乱を招きがちです。基本的なステップを押さえて、確実に進めましょう。

STEP1：現状把握

最初のステップでは、現在の課題を明確にする必要があります。
ここを曖昧な状態で進めてしまうと、開発速度の低下や追加費用、効果のない改修がされることになります。

主な確認内容

• 現場でのヒアリング　
  • 現場で実際に困っていることや要望、非効率なシステム運用を探す。
• 業務フロー分析　
  • 現在行われている作業と、システムの流れにズレがないか。　法改正に対して、システムが対応しているか。
• 老朽化とセキュリティリスク　
  • OSやサーバーのサポート状況とバージョンの確認。　脆弱性の有無、暗号化などのセキュリティ面の検証。

老朽化やセキュリティといったシステムの部分はもちろん、現場での細かな問題を事実ベースで可視化していくことが重要です。

STEP2：設計

現状の課題を明らかにした後は、「どう改善していくか」を考える必要があります。
この設計フェーズが、システム改修の根幹を担うものになります。

主な作業工程

• 画面設計
  • 操作性の改善、入力項目やモバイル端末への最適化
• 処理設計
  • 処理の順番・分岐を明確化、入力チェックやエラー処理の仕様
• データ設計
  • 扱うデータ項目の洗い出し、既存データの移行方法
• 外部連携設計
  • 連携先システムの選定、データの送受信内容と通信方法
• セキュリティ設計
  • 認証・管理の見直し、自動ログアウト、通信の暗号化

この段階では、開発チームや外注先と連携し、改修の目的と実装内容のギャップがないか確認しながら進めていくことが重要です。

STEP3：開発・テスト

開発・テストでは、設計内容をもとに、システムを実際に作り、正しく動作するかを検証する工程です。
プログラムを実装して入力チェックや例外処理の実装、それらの動作を保証するためのテストを行います。

「動けばいい」ではなく、ユーザーが安心して、使える品質を意識していくことが重要です。

STEP4：リリースと保守・運用

この工程ではシステムを実際に導入し、その後の安定的な運用ができる仕組みを整えることが目的です。
導入したもののマニュアルや、関係者へのリリースの連絡、問い合わせの体制、セキュリティのアップデートを行っていきます。

このフェーズではユーザーの声を拾い、改善を行うことができる状態を整備していくことが重要です。

システム改修の自社対応と外部依頼

システム改修を行うには専門的な知識と技術、設計力が必要になる場面が多いです。
中小企業や、非IT系の一般企業には社内に専任のエンジニアや部門が存在しないことも多いため、外部依頼するケースが一般的になっています。

しかし、自社で開発体制を持つIT系の企業や、社内のSEが多く在籍している一部の大手企業などは自社で開発している場合もあります。こうした企業は細かな改修は自社で、大きな改修は外部依頼というハイブリットな方法をとる企業も、多く見られます。

この二つの対応の特徴について以下にまとめました。

	自社対応	外部依頼
費用	社員人件費のみ	見積金額＋利益なので高い
スピード感	社内で即対応可	契約などで時間がかかる
品質	担当者のスキルに依存	プロの設計と品質管理
柔軟性	社内で即対応可	契約変更と追加費用
ノウハウの蓄積	社内に蓄積される	社内には蓄積されない
長期運用	人材の退職、異動のリスクあり	複数名で対応で継続性が高い
リスク対応力	担当者のスキルと経験に依存	プロのスキル・経験とチーム体制

自社対応は、社員の人件費のみであるため、費用が安く、スピード感と柔軟性に優れています。
しかし、品質や長期運用には特定の社員のスキルや退職、異動などに依存し、属人化するリスクがあります。
また、担当する社員のスキル不足や他業務との兼任などの理由により、外部依頼よりも時間がかかってしまうケースもあります。

外部依頼では、専門的なスキルや品質管理、チームや専門部署があり、品質や長期運用、リスク対応力に優れています。
しかし、見積もりや依頼先の利益などが加算されることで費用が高くなり、契約や人員の割り当てなどでとりかかるまでの時間がかかってしまいます。
また、ノウハウが社内に蓄積されないので、将来的な改善、改修につながりづらいことも挙げられます。

システム改修にかかる費用

システム改修にかかる費用は、改修の規模や内容、依頼方法によって大きく異なります。

ちょっとした修正のつもりで見積もりを出してもらったところ、かなりの費用が掛かったというケースも少なくありません。ここでは一般的な費用と内容について解説します。

改修規模	改修内容の例	費用目安
小規模改修	文言修正、色・フォント調整、ボタン追加、表示順の変更など	30万円～100万円前後
中規模改修	複数ページの改修、外部サービスとの連携、業務フローの変更など	100万円～1000万前後
大規模改修	基幹システムの刷新、全社的な業務のデジタル化、クラウド移行など	1000万円～数億円

上記のように、システム改修の費用は改修の規模や大きさによって大きく異なります。

ボタンの追加や文言修正といったちょっとした修正でも、実際には対象部分の調査、テスト、リリースという工程を行う必要があります。
さらには、依頼の受付や担当者の割り当て、契約書の作成などの事務作業も伴うため、少しの修正でもかなりの費用が掛かってしまいます。

また、業務フローの変更や外部サービスとの連携になると、現場の担当者や管理者、サービスの提携元など、多くの関係者との確認・調整が必要になり、それに伴って設計工程の増加につながります。

大規模改修となると、業務部門との連携、法令や監査への対応、社内教育やマニュアル作成など、開発以外のコストも多く含まれるようになるため、改修内容によって総費用が数千万円から、場合によって数億円に及ぶこともあります。

システム改修の費用を抑える方法

システム改修をするにはかなりの費用が掛かってしまいます。
特に外部依頼の場合は、自社対応に比べ費用が高くなってしまうため、削れるところは削りたいというのが本音ではないでしょうか。
できるだけ費用をおさえて改修していく方法を紹介します。

改修の目的を整理する

改修内容を曖昧にしたまま進めていくと、見積もりが高くなる原因になります。

初めに、「どこが、どのように困っているのか」「どこまでの対応が必要か」を明確にしておくことで、やり取りの回数を減らせるだけでなく、追加の費用や効果の薄い改修を防ぐことができす。

分担し取り組む

すべての作業を外部に依頼してしまうと、開発費だけでなく調整・契約・管理にかかるコストも増加し、全体の費用が大きくなってしまいます。

ボタンの配置変更や文言修正といった軽微な作業や日常的な運用対応は自社で行い、システム連携やセキュリティ強化、構造的な設計変更など専門的な知識や技術を要する部分は外部の専門家に依頼するといったように、役割を適切に分担することで、無駄なコストを抑えることが可能になります。

依頼方法を調整する

システム改修にも繁忙期があり、特に3月から5月あたりは忙しく費用が高くなる可能性があります。自治体や官公庁、企業で、決算や予算消化、年度末納品などが重なり費用が高騰します。
また、急ぎでの改修依頼や、途中での使用変更を求めることも費用が高くなる要因になります。

1月上旬、7月～10月の、年始直後や夏季休暇、下期準備前などは依頼が落ち着く場合が多く、スケジュールや価格交渉が行える場合もあります。　
依頼する際は1～2か月前に依頼し、追加の変更などがないように具体的に依頼すると費用が抑えられます。

まとめ

システム改修は、既存システムの機能追加や修正を通じて、業務効率化やセキュリティ強化を図る取り組みで、法改正やシステムの老朽化、DX推進などを背景に、多くの企業がシステム改修を必要としています。

自社のシステムを改修する必要があるものの、どの開発会社に依頼すれば受け付けてもらえるのかわからないという場合は、お気軽にご相談ください。